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[津軽弁]突然の来客

おばんでございます。サムカフェオーナーのオサムです。

今日は突然の来客がありました。

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「だが!」

「だが!」

「んっ?」何やら声がする。

「いだが」

耳をすましてみると、玄関から人の声がする。

「ハルエいだが~」

「んっ?ハルエって誰だ?」
我が家にはハルエという女性はいない。母親の名前は八千代(やちよ)である。間違ってもハルエとは読めない。

不思議に思って玄関に出てみると、全く知らないおばあちゃんが立っていた。
頭にほっかむりをして、杖をつき、長靴を履いている。顔中シワだらけの優しい表情が印象的だ。
おそらく80歳は越えているだろう。

「はーい。どしたべ~」と声をかけると。

「あれま~。。あんた誰だっけ?」とニコっと笑顔をくれた。

いやいや。こっちが聞きたいよ(笑)

どうやら、訪ねる家を間違えたらしい。

しかし、おばあちゃんはひるむことなくそのまま話を続けた。
(リアルな津軽弁をそのまま文字にしているので、あしからず)

「あれま~。えさ電話っこきて、乾がした大根とば漬け物さするやりがだしかふぇでけーじゃー、てさいだはんでろ~。乾がした大根だっきゃ漬け物ささいねんだね~。ってしかふぇでけねばまいど思って来たんだね~」
「したけども、わ、ハルエの家ここいらへんだど思って来てみだけど、まんずまいねの~。わがんねぐなってまったじゃ~」
「あんだ、ところで誰だっけ?」

いやいや、こっちが聞きたいよ(笑)

事情を聞くと
乾かした大根を漬け物にするやり方を教えてほしい、とハルエさんから電話があったそうだ。でもおばあちゃんいわく、乾かした大根は漬け物に出来ないとのこと。それを教えてあげようと思って家を訪ねてみた。しかし、ハルエさんの家だと思って来たけど、忘れてしまって分からなくなった。とのこと。

なんとも心優しいおばあちゃんではないか!とその姿に感動を覚える。
「漬け物に出来ない」という事実を伝えるなら、電話をすれば済むことだ。しかし、こんな寒い中、わざわざ、杖をついて家まで訪ねて来るとは!

「おばあちゃん優しいんだね~。でもここはハルエさんの家でねーよー」と声をかけた。

「んだのが~。あんだ、ハルエって人しらねが~?」と聞かれたが、残念ながら僕はハルエさんという女性を知らない。

「いや~?申しわげないけど、ハルエっていう女の人は知らないな~」と答える。

「なも!ハルエだっきゃ、わーの同級生の男だね」と笑っている。


「んだったんだぁ。ごめんごめん。」と笑いあう。どうやら、ハルエさんは80歳程の男性のようだった。男性の方からおばあちゃんに漬け物の漬け方を電話で聞くなんて、よっぽどおばあちゃんの漬け物が美味しかったんだろう。

「おばあちゃんの漬け物がよっぽど美味がったんだべね~」と返す。

そして、「ところで、その電話いづきたの~?」と聞いてみた。

「いずだったがな~?たしか1ヶ月くらい前だったべが~」とかなり時間が経過しているようだ。

「あっ!んだの!一ヶ月前の電話だったんだ。へばだっきゃ、もう忘れてるんでね~?」と80歳を越えた男性が一ヶ月前の事を覚えているか疑問に思った。

「んだの~」とおばあちゃんは玄関に背を向けた。どうやら、もうこの場を去ろうとしている。
そして去り際に「ハルエ、もう死んだべが~?」と言って帰っていった。

ハルエさんが亡くなっていないことを切に願う。

へばね~。

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