でも一応グッズ化お待ちしております(ニッコリ)
順列組合・漫才【マスコット製作会議】
しあ「順列組合のマスコットになるようなゆるキャラを考えて、グッズ収益で儲けられるようにしよう」
率子「どうも順列組合です。挨拶の前に本業以外での収入拡大の話やめて。よろしくお願いします」
しあ「何があってもビジネス的に持続可能にするための多角的な収益化って大事だと思うの」
率子「それはそうなんだけど、楽屋で2人の時にしてくんない? そーゆー話題は」
しあ「今どきは企画会議自体もコンテンツとして観に来てもらう形にするもんよ?」
率子「だとしても金銭的な収支の話はもうちょい隠せ」
しあ「ちょっとオブラート甘かったかぁ。夏場のドロドロオブラートだったかぁ」
率子「言葉を覆うイマジナリーオブラートを現実の気温で溶かすなよ」
しあ「んじゃ金銭的な話はもう広げないとして、キャラの詳細とか詰めてこうよ」
率子「そーゆーとこに比重置いてくなら、まぁいいか。じゃあまず、どういうモチーフ? 言っとくケド猫とか小鳥とか、そんなひねりの無い奴だったら納得しないからね」
しあ「ケルベロス」
率子「ひねり過ぎて地獄の怪物来ちゃった」
しあ「超カッコいい地獄の番犬、ケルベロス」
率子「こんなにコンビのマスコットに向かないモチーフ他にいないよ? 確実にトリオ向きだもん」
しあ「名前はイヌーピー」
率子「人気取りに節操が無さすぎるパロディっぷり。なのにダサい。ネーミングセンスが壊滅的」
しあ「右手側がルルシア・ライト・イヌーピー」
率子「首ごとの名前もあるんだ」
しあ「性格は穏やかだけど、何気ないことを言う感じで爆弾発言を放り込むので基本的にトラブルメーカーです」
率子「この感じで盛り込むべき性格の自己分析完璧なの怖いんだよな」
しあ「左手側がリツメイカン・レフト・イヌーピー」
率子「おい私由来のネーミングになったらセンス無くなるのズルいぞ。自分のとこだけカッコイイの採用しやがって。コッチ側にだけ1ミリも縁のない大学組み込むなよ」
しあ「無茶苦茶言ってくる反対側の頭に逐一小言を返す神経質。でも人の話を簡単に切り捨てたりせず、毎回ちゃんと最後まで聞いてくれる。ちょっと潔癖症」
率子「何でそんな性格診断の結果みたいな所を盛り込むの? 好きな食べ物とか口癖とか採用しろよ」
しあ「そして真ん中がサンパチ・マイク・イヌーピー」
率子「1番重要なポジションに機材モチーフなんだ」
しあ「生前、ハチと呼ばれていたその寡黙な犬は、ジャパニーズマフィアの家で飼われていた。彼は飼い主であるボスとその家のことが大嫌いであったが、犬の本能ゆえ手懐けた相手には逆らえず悪事に加担し続け、どうしても暮らさなければいけない家というモノは選べないのだと嘆いていた。だからこそ、自分と同じように家を選べず、周りから避けられる運命を背負わされて生きなければならないこの家の一人娘のことだけは守ろうと心に決めていた。そして娘を殺さんと放たれた銃弾から自分の身を挺して庇ったあの日、初めて心の底から満足して地獄に堕ちたのであった」
率子「おい何だコイツ急に尋常じゃなく良いイケおじ設定抱えてきたじゃんか。絶対私らモチーフの犬なんぞで挟んだふざけたケルベロスにしちゃダメだって……」
しあ「いつかあの娘も地獄へ来るから、その時に一番に迎えてあげられるよう、門番の魔物にしてくれと自分から頼んだのです」
率子「こんな激重な決意ある御仁、せめてちゃんとしたメンバーのガチケルベロスに入れてあげてよ。マスコット用のなんちゃってケルベロスじゃなくてさぁ」
しあ「犬種はそれぞれ右から、パピヨン・アフガンハウンド・ロングコートチワワ」
率子「首ごとにわざわざ犬種を違うのかよ」
しあ「ほら、一応多様性の時代だから」
率子「無意味に登場キャラの種族バラけさせるのは作る側がやらなくていいんだよ。言いたいだけのクレーマーが調子乗るだけなんだから」
しあ「そう?」
率子「あとバラけさせるなら1匹はビーグルにしろ。名前引っかけたんだから1匹くらい責任持ってヌーピー感出せ」
しあ「じゃあリツメイカンがビーグルね」
率子「よし、これ以上イケおじに魔改造の毒牙が向かわいのであればこのくらい全然請け負うわ。まぁでも物理的なバランスは悪くなっちゃったかな? 小型犬・大型犬・小型犬の並びが左手側だけ中型犬になっちゃったから」
しあ「確かに」
率子「ってか、そもそも身体は誰に合わせんの?」
しあ「あ、胴体の子紹介するの忘れてたね」
率子「えっ? 4匹目? もう1枠あんの?」
しあ「シアンフェルト・ネタカイテマス・イヌーピー」
率子「おいズルいぞお前だけ余分にもう1枠取るなんて。しかもネタ書いてること盾にしながら話押し進めようとしやがって」
しあ「犬種はオグロプレーリードッグ」
率子「…………いや、プレーリードッグってそれ、ネズミだよ? 犬みたいな齧歯類」
しあ「因みに首が3分の2メスなのでメスの身体が採用されています」
率子「多数決で女体化させられたイケおじ可哀想過ぎる」
しあ「あ、いや。多数決じゃなくてオセロシステムです」
率子「もっとグレードの低いルールだった。尊厳が奪えるだけ全部奪われていく」
しあ「いつもみんなで仲良く地獄ライフを満喫しています」
率子「本当に仲良くできてる? 多分お前モチーフのキャラも私モチーフのキャラも他人と仲良くするには向いてない性格してるよ?」
しあ「確かに仲良く百合営業できた方が人気出るよね」
率子「性的なふれあいのコトを隠語で仲良しって言ったつもりはねぇよ。大体それをやるにはもう、致命的な位置に百合に挟まる男が存在しちゃってるじゃん。この上さらに人々から嫌われるような属性をあの御仁に課すなよ」
しあ「……………………いや。むしろ、『百合に発展しなさそうなヤツらの間を穏やかで優しい気性で取り持って、2人きりでいる時よりも百合を加速させてしまうイケおじ』だとしたら?」
率子「……………………成立しそうな感じになっちゃった」
しあ「むしろ百合本編を差し置いて一番人気になるキャラじゃない?」
率子「うわぁー、センターにふさわしい活躍っぷりだぁ」
しあ「自分から堕ちた地獄でしっかり徳を積む、最高に日本人ウケの良さそうなキャラが仕上がったね……!」
率子「絶対報われて欲しくてみんな応援しちゃうヤツだ」
しあ「よぉし、報われ展開も考えていくよ」
率子「よっしゃよっしゃ」
しあ「こうしてマスコットの犬の頭部のみならず、元ネタになった私たちまで意気投合させたイケおじ犬のサンパチ・マイク、いえ、ハチさんは想い人に出会えることになったのです」
率子「やったねっ」
しあ「83年の生涯を大往生で締めくくった1人のお婆さんが、高齢とは思えないほどシャンと背を伸ばし、仕立ての良い着物の袖をなびかせながら、どこかの誰かと同じように地獄の門まで歩いてきました」
率子「カッコ良……!」
しあ「何十年ぶりの再会を前にして言うべき言葉が吹き飛んでしまった真ん中を差し置いて一言目を奪う右首。『初めまして素敵なレディ。貴女のナイト様は見ての通り余計なメスが寄りつきようのない形で今日まで守っておいてあげたわよ。ま、アタシの恋人とイチャつくついでだケドね』」
率子「カッコ良さで張り合いた過ぎて洋画の台詞回しになっちゃってるな右首」
しあ「『今日付けでアンタはケルベロス引退よ。これからは彼女のためだけの黒妖犬になりなさい』」
率子「飼い主が死んだ後も寄り添い続けて墓守とかを務めるヨーロッパのマイナー怪異に転職だ」
しあ「突然ケルベロスの任を辞めていいモノなのかと戸惑う彼に左首も後押しをしてきます。『アナタのコトを好きでもない地獄の人たちに向き合う必要はもう無いハズだ。だってアナタはこれからアナタを大好きでいてくれる人を大好きでいることに忙しすぎるから』」
率子「コッチの台詞回しはヌーピーだ。くそう、こんな見せ場に限って私よりヌーピー感の方が前に出てるのめっちゃ悔しい」
しあ「『って言うかいい加減、私たちもちゃんとフツーにイチャつきたいのよ』右首がそう言うと、ケルベロスは元になった犬たちに分離したのです」
率子「イケおじの功徳で残りのメンバーも異形から下に戻るのしれっと便乗しちゃってる感ちょっとある」
しあ「『今こそ私は私であること幸せを謳歌しよう』『あっしもそう思うでヤンス』」
率子「左首の後に喋ったお前誰だよ突然」
しあ「『いやぁ良かったでヤンスねぇ、真ん中のアニキがそこの着物の姐さんに似た人を見かけるたびに、腹を痛めていたのをあっしは誰よりも知っているでヤンス」
率子「……お前、胴体担当してたプレーリードッグか? 分離して初めて喋れるようになったオグロプレーリードッグなのか?」
しあ「『へへっ、アニキが幸せになってくれるなら妹分としてこんなに嬉しいことはもう無ぇでやんす』」
率子「とんでもないしたっぱ感だなプレーリー。げっ歯類にキャラ引きずられ過ぎだわ」
しあ「こうして文字通り地獄での苦楽を共にした3匹の仲良し妹分に見送られながら、想い人に仕える守護者になったのでした」
率子「良かった良かった。周りに変なのいっぱい出てきたケド、本筋がしっかりハッピーエンド直進してて本当に良かった。珍しくちゃんとストーリーテラーやりきったじゃん」
しあ「…………あ、ストーリー進行に夢中になり過ぎて、マスコットにするべきケルベロス解散させちゃった……」
率子「いや今回はそんな目的忘れるくらい良い結末辿り着けたし、もういいんじゃね?」
しあ&率子「「どうも、ありがとうございました」」
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