順列組合・漫才【悪酔いするための話】
順列組合・漫才【悪酔いするための話】
しあ「ウチのお爺ちゃんがコッソリ作ってるお酒余ってるんだケド、いる?」
率子「どうも順列組合です。挨拶の前に密造酒の話やめて。よろしくお願いします」
しあ「ひい爺ちゃんとひいひい爺ちゃんも張り切って手伝ったから、作りすぎちゃったらしくて配ってるんだよ」
率子「元気だなお前の家系。でもそのせいで、遵法意識の低い世代がいっぱい活動しちゃってる問題が発生している」
しあ「まぁみんな作り立ての不老不死の酒飲みながら暮らしてるからねぇ」
率子「……酒造法をさらに飛び越えた、もっとヤバいモノ製造してたな」
しあ「昔からの健康の秘訣ってヤツだね」
率子「不老不死という異常を健康のジャンルで考えてるの怖っ」
しあ「しかも体にいいのに結構美味しいんだよ?」
率子「え? 飲んじゃったの? もうお前、不老不死なの?」
しあ「いや、効能が出るほどの量は飲んでないから」
率子「あ、ちょっとでも飲んだら効果出るタイプじゃないんだ」
しあ「不老不死の効能得るには50リットルくらい飲まないとダメらしいよ」
率子「せっかく不老不死にする成分を実現できたのに、必要摂取量が現実的じゃないの皮肉すぎる」
しあ「毎回みんな不死身になる前に寝ちゃうんだ」
率子「何かわいいエピソードみたいな言い方してんだ。
ってかそれ、不老不死になる前にアルコールの致死量が先に来るじゃん」
しあ「肝臓の強い選ばれし者だけが不老不死になれるんだね」
率子「こんな超常アイテムをもってしても、結局は超健康な奴しか寿命を延ばせないの、なんか夢が無いな」
しあ「そして飲み切れた人も、不老不死の状態で結局アルコール依存症になる」
率子「永遠に続く依存症死ぬほど嫌だな。もう死ねないのに」
しあ「だからまぁみんな少し健康になる程度にだけ飲んでる感じ」
率子「じゃあもうコレ養命酒じゃん」
しあ「実はさっき楽屋前の階段でガッツリ転んだんだけど、昨日のお酒がちょっと残ってたからすぐ治った」
率子「最高の二日酔いだ」
しあ「良いでしょ? ケース単位であげられるんだけど」
率子「そんなにあるのかよ。ゲームクリア後の世界か」
しあ「味的にも色んな飲み方できるやつだしね。コーラとかで割ってもよし」
率子「安酒の飲み方をするな。不死性に申し訳ないだろ、なんかさぁ」
しあ「個人的にはソルティドッグ的なのがオススメ」
率子「禁断の効能が塩で浄化されて無に帰しそう」
しあ「あとつまみは生しらすとかが合うね。このお酒飲んでる時だと、そこまで新鮮じゃないやつでも美味しく感じるんだよ」
率子「口の中で先にしらすが不死身になったりしてない?」
しあ「なるほどそーゆーカラクリで美味しかったのか!」
率子「食った後も生きてそうなヤツ飲み込むの怖いな。生きて腸に届いても大丈夫なのかな」
しあ「あ、そー言えば不老不死の効能が出るのはそれこそ生きて腸に届くタイプの奴が入ってるかららしいよ」
率子「身体への影響の及ぼし方、乳酸菌のパターンなのかよ」
しあ「そう。悪玉菌とも戦ったりしてくれるの、めっちゃちっちゃい人魚が」
率子「まさか過ぎるタイミングで最重要キャラ出てきた」
しあ「え? 不老不死の話が出てきてたら、人魚が出てくるのは割と想定の範疇でしょ?」
率子「でも腸内細菌のウチの一つとして名を連ねてくるとは思わないじゃん」
しあ「最強の善玉菌です」
率子「そっかぁ、八尾比丘尼って人魚を善玉菌として腸に飼ってる人のコトだったんだ……」
しあ「いわゆる人魚の肉を食べて不死身になるって伝承もさ、本当は人魚の稚魚を丸飲みしたんだと思うよ」
率子「お前ホント神秘性台無しにする絵イメージさせまくるよな、もうずっと。私のファンタジーに対する夢を返してくれ……、今日の話全部忘れてぇ……」
しあ「じゃあ今日はこの後、記憶無くなるまで飲み明かしにでも行く?」
率子「もうお前の提案でお酒飲めるわけないでしょ。いい加減にしろ」
しあ&率子「「どうも、ありがとうございました」」
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