ロシア連邦における21の共和国~第5回
15、カレリア共和国→地図#10
先住民族:カレリア人(フィン・ウゴル系)
首都:ペトロザヴォーツク(Петрозаводск)
面積:18万㎢(北海道(8万3千㎢)2つ分(約17万㎢)より少し大きい)
人口:52万人(北海道2つ分の人口は500万人×2=1000万人)
人口密度:2.9人/㎢(北海道2つ分の人口密度は約59人/㎢)
地理と自然:西側はフィンランドと国境を接し、東側は白海に面している。丘陵地帯が広がり、西へ行くほど高地となる。鉄鉱石やチタン、ダイヤモンドや金、セラミックの原料など多種類の鉱物資源が豊富。
川は約2万7千、湖は約6万(ラドガ湖はヨーロッパ最大、オネガ湖はヨーロッパで2番目・ロシアでは3番目に大きい、いずれも淡水湖)。領土の80%以上が森林地帯。
水力・火力発電所の他、ディーゼルや太陽光による発電所もあり、エネルギー供給システムが発達。自国の工業生産に必要な大量の電力を賄う。人口密度が低いため、道路整備は未発達。鉄道輸送が主流。
農業には不向きな土地で、その割合はわずか1.2%(畜産、養豚・養鶏、飼料作物の栽培など)。
きれいな自然を満喫できる観光も人気。ロシアで最初のリゾート地「マルスの水」は、1719年にピョートル大帝の勅令により設立された保養所で、鉱泉療法が受けられる。
気候:天気は変わりやすいが、比較的温暖で降水量が多い。冬は雪が多いものの、寒さはそれほど厳しくない(-15℃程度)。
公用語:ロシア語
★特別な地位を持つ言語:カレリア語・フィンランド語・ヴェプス語(いずれもバルト・フィン諸語。ラテン文字の言語であるため、キリル文字の使用が義務である連邦法の要件を満たさず、公用語とはなっていない。ただし、国家の支援を受け保護されている。)
住民構成:ロシア人86%、カレリア人5%、ベラルーシ人2%、ウクライナ人1%、フィンランド人0.7%、ヴェプス人0.5%など
宗教:ロシア正教、ルター派やカトリックなどのキリスト教
主な産業:工業(冶金、鉱業、林業・木材産業、建材産業、パルプ・製紙業など)
16、コミ共和国→地図#11
先住民族:コミ人(フィン・ウゴル系)
首都:スィクティフカル(Сыктывкар)
面積:42万㎢(北海道(8万3千㎢)5つ分(約42万㎢)程)
人口:72万人(北海道5つ分の人口は500万人×5=2500万人)
人口密度:1.7人/㎢(北海道5つ分の人口密度は約59人/㎢)
地理と自然:広大な原生林で覆われたこの共和国は、大半がタイガで北部はツンドラである(ウラル山脈北部にある「コミの原生林」はヨーロッパ最大で、1995年にユネスコの世界遺産に登録された)。湖は7万8千以上あり、沼地は領土の約8%に及ぶ。
古代都市の遺跡や洞窟も多数あり、マンモスなど様々な化石が発掘・調査されている。貴重な自然が多く残るこの共和国では、動植物の種類も非常に豊富であり、自然保護区を設け保全に努めている。
石油・石炭・ガス・金・ダイヤモンドなど多数の天然資源を豊富に産出。鉄道が発達。水上・航空輸送網も整備されている。一方で、道路は未舗装の割合が高い。領土内には大規模なガスパイプラインが通っており、周辺地域へのガス輸送に重要な役割を果たしている。
気候:冬は長く厳しい。夏は短く、気温は最高15℃程度。
公用語:ロシア語、コミ語
住民構成:ロシア人54%、コミ人17%、ウクライナ人1.5%、タタール人0.5%、アゼルバイジャン人0.4%、ベラルーシ人0.3%、ドイツ人0.3%、チュヴァシ人0.2%、キルギス人0.1%など他多数
宗教:大半がロシア正教
主な産業:工業(石油・天然ガス・石炭・宝石といった鉱物の抽出と一次加工、木材加工、製紙業など)、農業(トナカイの飼育など伝統産業、飼料用作物の栽培、野菜や穀物の栽培、畜産、ホッキョクギツネやミンクなどの飼育)
17、サハ共和国(ヤクート共和国)→地図#14
先住民族:ヤクート人(自称名はサハ人、テュルク系の民族)
首都:ヤクーツク(Якутск)
面積:300万㎢(日本列島(38万㎢)8つ分(約304万㎢)より若干小さい)
人口:100万人(日本列島8つ分の人口は1.2億人×8=9.6億人)
人口密度:0.3人/㎢(日本列島8つ分の人口密度は約315人/㎢)
地理と自然:ロシアのアジア地域で約1/4を占め、地方行政単位としては世界最大(ロシアのヨーロッパ地域全体よりはわずかに小さい)。また、過酷な気候の面においても世界有数の地域。ロシアで最も人口密度の低い場所の一つ。
領土の大部分(約4/5)は森林ツンドラとタイガで、土壌はほぼ永久凍土。領土の40%以上が北極圏に含まれる。
非常に多様な天然資源(石油・天然ガス・石炭・金・ダイヤモンド・森林など)が豊富であり、経済的発展の可能性は高いにもかかわらず、領土のわずか5%しか探査・開発されておらず、依然として貧困率が高い(貧困層は16%程)。
多様な動植物が生息しており、アンモナイトなどの化石が発見されるなど、手つかずの自然が多く残る。河川は70万以上(最長はレナ川(4,400㎞)で、デルタ(三角州)と合わせてロシア最長、世界では11番目に長い。他にも巨大な河川多数あり)、湖は80万以上と、水資源の多さではロシア有数の地域。
貨物輸送は河川を利用した水上ルートが主流。旅客輸送は主に航空機で首都ヤクーツクには国際線ターミナルもある。一方で、道路は永久凍土のためにアスファルト舗装が困難で、粘土で舗装されているものの、雨が降ると道がぬかるむなど整備は不十分。
ロシアで唯一3つのタイムゾーン(標準時)を使用する共和国。
気候:年間を通してほとんど凍結し、極端に寒い
★平均気温は、10月で-25℃、11月で-45℃、12月で-52℃、1月で-54℃以下、2月で-50℃、3月で-39℃、4月でも-28℃など。
★夏はわずか3か月ほどで、最も暖かいのは7月(平均気温は地域差があり、最高3~19℃)、夏と冬の気温差は平均して70~75℃。
公用語:ロシア語、ヤクート語(ただし、北部の先住民族が密集する地域では、各民族の言語がそれぞれ公用語となっている。)
住民構成:ヤクート人(サハ人)55%、ロシア人30%、エヴェンキ人(ツングース系の民族)3%、エヴェン人(ツングース系の民族)1.6%、キルギス人1.3%、ウクライナ人0.8%、タタール人0.5%など他多数(シベリアの先住民族であるユカギール人やチュクチ人なども居住する多民族地域)
宗教:多神教など伝統的信仰やシャーマニズムが約半数、ロシア正教は40%未満、他多数
主な産業:工業(ダイヤモンド・金・石油・ガス・石炭などの採掘、宝石や木材などの加工業、林業、造船、皮革・毛皮などの軽工業、トナカイの放牧、漁業など)、畜産(牛と馬の飼育は伝統産業で、極寒の気候条件に適応した「ヤクート牛」と「ヤクート馬」として有名。また牛の繁殖は減少傾向にあるものの、馬の繁殖は年々増加しており、2021年には馬の数が牛の数を初めて上回った)、農業(飼料用作物の栽培、ジャガイモや野菜の栽培など)
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