【障害児教育③】特別支援教育を受けるまでのプロセスとは
こんにちは、Samoakiです。
「学びのアウトプット」障害児教育編の3回目となります。
子どもに障害があると分かったとき、どのような基準で特別支援学校に入ることを許可されるのでしょうか。また、そこではどのような支援を受けることができるのでしょうか。
今回は、特別支援教育を受けるためのプロセスと、そこでの支援内容について解説していきます。
前回の記事をまだご覧いただいていない方は、下のリンクからどうぞ。
子どもに障害があると分かったら
日本では、原則「障害が分かったとき」から特別な教育を受けることができます。
それが就学前であっても、地域の療育センターや障害児支援施設で支援を受けることができます。
地域の療育センターは、障害の早期発見・早期療育のための拠点となっており、通園施設と障害専門の診療所が併設されており、リハビリ等も行っていく施設も多いようです。
また障害児施設では、通園または入所ができ、日常生活における基本的動作や知識、技能を身につけ、集団生活に適応できるよう、こどもの状況に応じた支援が行われています。
その後、就学期になった段階で、障害の程度に応じてどの校種で教育を受けることができるかが決まります。(図1参照)
図1 障害のある児童の就学先決定の流れ
(出典:特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議(2009)参考資料16)
ここで特別支援学校に入学するかどうかの基準の一つになるのが、学校教育法で定められている「就学基準」になります。(図2参照)
図2 就学基準(学校教育法施行令第22条の3)
しかし、就学基準に該当したとしても、通常学校で適切な教育をうけることができると認められれば、「認定就学者」として通常の学校で、特別支援学級、通級などの支援を受けていくことができます。
また、近年では、当事者の意見を踏まえ、ニーズに応じた柔軟な進学先の決定が求められており、障害のある子どもにとって本当に良い教育や支援を受けることができるよう、総合的に判断することが必要です。
それぞれの障害に合った適切な支援のために
障害の種類や程度は人それぞれです。したがって、一人ひとりの子どもに合わせた教育的支援をしていく必要があります。
そこで重要になるのが、「個別の教育支援計画」です
個別の教育支援計画とは、子どもの現状や長期的な見通し、支援内容についての計画を記したもので、保護者の同意のもと作成をし、各進学先にも引き継ぐことで一貫した支援を行うことが可能となります。
さらに、教育支援計画に基づいて、より具体的に短期間で指導していく内容を明記した「個別の指導計画」というものもあります。
文部科学省は、特別な支援を必要とする全ての児童生徒にこれらを作ることを義務化しています。
また、各学校において特別支援教育を推進するために、「特別支援教育コーディネーター」と呼ばれる人がいます。
各学校に所属する教員の中から、障害についての知識のある人、カウンセリングマインドのある人、関係者との連絡・調整がはかれる人、などが校長から指名される仕組みとなっています。
必ずどの学校にも配置されており、以下のような役割が求めらています。
図3 特別支援教育コーディネーターの役割
(出典:井澤・小島(2013)p.17)
今日のまとめ
●障害があることが分かった時点で、特別支援教育を受けることができる
●就学前に障害があることが分かった場合、地域の療育センターや障害児施設で支援が受けることができる
●特別支援学校に入学、または転学するための基準となる「就学基準」というものがある
●就学基準に該当しても、当事者の意向など、相互的に判断して入学・進学先を決める
●特別支援教育コーディネーターが中心となって、個別の支援教育計画に基づき、一人ひとりに合った支援が行われている
<参考・引用文献>
・井澤信三,小島道生 障害児心理入門[第2版],ミネルヴァ書房,2013年
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