雄1匹と雌2匹の猫(第2話)
少しづつ書いていける時に書いていきます
前話のあらすじ
ある日、3匹の猫がやってきました。雄の「とわお」、雌の「チャチャ」と「あずき」です。それぞれ特別な出会いがありました。
とわおは、隣人のお孫さんが車のボンネットで見つけた子猫でしたが、家族が猫アレルギーだったため、家にやってきました。一方、チャチャとあずきは多頭飼育の家庭で育ちましたが、家の環境が手狭になり、引き取られることになりました。
3匹はすべて8歳で、とわおは甘えん坊で人懐っこい性格。常に私にぴったりと寄り添います。チャチャとあずきは、人への警戒心が強く、今でもあまり抱っこを好みません。特にあずきは、頭を触られるのを嫌がります。
私はこの3匹を見ていると、自身の過去5年前の不思議な出会いと今とても想いを募らせている女性を当てはめてしまいます。あずきはかつて好意を寄せていた女性とを重ね、チャチャとの不思議な関係性が共に運命的なものだと感じるようになったのです。
前話です。↓
あずきはご飯をほとんど食べず、マイペースに自分の道を進んでいます。
一方、チャチャはとても食いしん坊で、常にご飯を食べたがり、
食に強いこだわりを持っています。
あずきは、2匹が食べ終わった後にゆっくりと残り物を食べるのが日課です。
彼らと出会った頃、私は長い片思いをしていた女性に振られたばかりで、
喪失感に打ちのめされていました。全てに対してやる気を失い、
人生を諦めかけていたのです。
当時、私は接客業をしていたのですが、お客様からの「大丈夫です」という返答に苛立ちを覚えるようになっていました。
何が大丈夫なんだろう、と心の中で叫んでいたのです。
そんなある日、女性二人組のお客様が来店し、
二人とも「大丈夫です」と言ってきました。
私は思わず「何が大丈夫なんですか?」と聞き返してしまいました。
その時、片方の女性が「確かに『大丈夫』って言われてもわからないわねぇ」
と言ったのを今でも覚えています。
その女性の顔を見上げた瞬間、
私は初めて付き合った彼女に雰囲気が似ていることに気づきました。
彼女とは別れましたが、彼女はとても性格の良い女性でした。「
確かに……」と言ったその女性の雰囲気が、驚くほど彼女に似ていて、
懐かしさが込み上げてきました。
彼女は小さな顔に、友人たちから「プリケツ」と呼ばれていた姿が
ふと思い出されました。
大人しく、素朴で、人見知りしそうな雰囲気を持っている女性でした。
あずきもまた、小さな顔とプリっとしたお尻を持ち、
なかなか私に心を開いてくれません。
今でも、あずきの頭を撫でることができず、距離を感じることがあります。
あずきとの関係は、まるで私が過去に失ったものに再び向き合い、
少しずつ築き上げようとしているかのようです。
何か昔のこと、いや、もっと昔というか、なんていうか……。
当時はわかっていなかったのですが、
そのうち、その出会いの意味がわかる時が来るんですよ。
あずきを見ていると、何年か前のことを微笑ましく思い出します。
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