アシとマクラは個人持ち出し「五輪ボランティア」の問題点

5月22日のNHKニュース。

まずこの部分である。以下引用。

組織委員会は、ことし3月、8万人を募集する大会ボランティアについて、1日の活動時間が8時間程度交通手段や宿泊場所は各自が手配し、費用も自己負担とするなどの募集要項の案を公表しましたが、ネット上では「こんな条件ならやりたくない」といった批判の声などが上がっていました。

組織委は正気か?

普段は自分に石が当たらないだろうところから投石するくらいしか能のないネット民なら、当然五輪の名に威を借りた傲岸不遜な行為であると言い切ってしまうが、ネット民でなくとも普通の人はそんな悪条件ではやりたがらない。時間にもお金にも余裕が有って、アシとマクラは全部自分で持っても五輪のためになるのなら、と言えるのは多分リタイア世代だけだ。

そもそも組織委がボランティア募集要項案にて「大会ボランティア」に求めている人物像がすごい。これは公式サイトより引用。

積極的に応募していただきたい方
1. 東京2020 大会の大会ボランティアとして、活躍したいという熱意を持っている方
2. オリンピック・パラリンピック競技に関する基本的な知識がある方
3. スポーツボランティア経験をはじめとするボランティア経験がある方
4. 英語やその他言語のスキルを活かしたい方

完全に高度人材じゃねぇか。

特に問題なのは 4. だ。欧米圏ならいざしらず、ことこの日本と言う島国に於いて英語力がスキルだと言える人材は確実に高度人材であるにも関わらず、五輪の威を笠に着てボランティアとして募集するのだと言う。どうして日本人は自分ができないことができる人を安く使おうとするのだろうか。五輪のボランティアだけの話じゃないぞ、この辺の問題。

そもそも組織委は「ボランティア」と言う語の意味をご理解なさっておられるのでしょうか? あ、敬体になってきちゃいましたね、紗水さんのスイッチ入っちゃったと思って良いですよ。国民の「善意」を煽動して運営経費を少しでも浮かせようとするそのしみったれた運用っぷり、そのくせPR経費はお手盛り、とっても日本的で素晴らしいですね! 諸外国だったら痰唾吐きかけられて、翌日にはゴミ捨て場に送られててもおかしくないほどの「熱意」の押し出しっぷり、お見事です。その上でお聞きしたいことがあるんですけど、

お前らは正気か?

しかも大会組織委員会は明らかに、「熱意」と言うものを自己都合に合致するものに書き換えて話をしている。以下も引用だ。NHKさんごめんなさい。

こうしたことを受けて、ボランティアの在り方などを有識者が検討する初会合が都内で開かれ、会議では「募集にあたってはボランティアのやりがいをわかりやすくPRしていくことが必要だ」といった意見が出されたということです。

あれ、渡邉美樹さんって組織委におられましたっけ?

おう、もうこれ完全にダメじゃん。言ってることが完全にワタミのとっつぁんと変わんねぇよ。

そもそもの話として「ボランティア」って何なのよ、と言うことになるわけだが、煎じ詰めると「志願兵」である。要は自ら望んで死地に赴き、母国のために戦うことを決意した者たちである。これが時代の流れから、或いは戦争状態そのものの減少から次第に「自発的な無償の奉仕行動」と言う意味合いを呈するようになって現代に至っている。その点に於いては、組織委の言うボランティアの意味合いは正しい。そう思っているのなら

ところが恐らく組織委は、本来のボランティアの本質を意識していないだろう。何となればボランティアの行為は「なにしろ自発的」であって、すべてに於いて優先されるべきものとは限らない。従って明確にオーガナイズされた組織ではないと言うことだ。それならアシとマクラを組織が補償する義理もないし、逆にアゴは保証してくれると言うのだから願ったり叶ったりかも知れない。だが組織委が描いているボランティア像は滞在経費を持ち出しで働く奴隷だ、と誰もが思っているから組織委に対して批判が巻き起こったと言う事態を認識すべきなのだ。

例えば災害時、ボランティアは呼び掛けずとも被災地に赴き、中には単なる自己顕示欲のために行く不届き者もいるようだが、概ね被災地における緊急期に対して奉仕する集団として活動するが、これに自治体が何かを補償したと言う話は聞かない。だから同じ様に東京五輪にもボランティアがわんさか集まって、と思っていたのだろうね。違うでしょ。五輪と激甚災害を同じように考えちゃダメでしょ。でも、いまアピールすべきは「やりがい」などと言う、一見ポジティブだけど実情が曖昧模糊としたものであってはいけない。組織委が提示すべきは

ボランティアで賄う「意義」だ。

そこに少しでもあなた方の懐勘定が関わっているのなら、確実にほとんどの人間はその動員要請に外方を向くであろう。もはや東京五輪と言う世紀の大イベントさえ首都圏住民の一部は鬱陶しがっている。五輪がすべてに優先されて、蔑ろにされ続けた市民生活のしっぺ返しは、五輪が終わってから確実にやってくる。五輪が来れば景気が良くなる? むしろ五輪が始まる前から景気の悪い話ばかりじゃねぇか。ちゃんと組織だってボランティア運用したいんだったら、日当くらいは出してやれよ。いいじゃねぇか「有償ボランティア」で何が悪い。それができねぇなら返上しちまえ、めんどくせぇ。

オリンピックの面目(カオ)と金銭(カオ)~♪



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