JK時代襲われそうになった時の記憶
高校1年生の真冬、スマホの充電が切れて、お財布の中身は130円くらいで壊滅的、そしてさらにパスモをどこかに紛失。そんな状態の22時すぎ。
家から2駅も離れた場所で私は途方に暮れていた。
幸い、その2駅離れた場所から帰る道はなんとなくわかっていたし、時間かかるけど歩くか、、、と決心し、人通りのまばらな暗い道を歩き始めた。
学校終わりに友達と渋谷で遊んで、そんなワクワクイベントの帰り道。なんでこんな目に、、、と友達と買った服だの小物だのの入ったやけに重い袋を手にひっさげていた。
親に連絡しようにも、公衆電話があったところで母親のスマホの電話番号は覚えていないし、固定電話は不運なことにスマホがあるからもう使わないね〜と解約したばかり。
連絡方法が完全になかった。
今思えば、交番にいけば帰り道分の交通費を立て替えてくれるシステムとかそういったことも知っているが当時は交番!警察のお世話!=親にメチャクチャ怒られる!?と、
そういうイメージで行けなかった。というか、メチャクチャ怒られたくなかった。
バイトで帰りが遅くなることがあっても22:30とか、遅くても23:00には家に帰って母親と今日あったこととか話しながら夜ご飯を食べているだろうに、ひたすら寒い真冬の夜、マフラーをぐるぐる巻きに巻いて、上着のチャックを全部しめて全力で寒さから身を守るが、、、
なんでこんな日にスカートで生足にしちゃったのか膝小僧が冷たくて肌が氷みたいになっていた。
そうして歩き始めて20分ほど、幸いなことに駅から家までほぼ平坦な道が続くので体力的には辛くはなかった。
ただ、駅から離れると建物はいっぱいあるけどすれ違う人はほぼいない。
コンビニはところどころにあるし、寒さが限界になったら一旦コンビニはいって休憩しよう、、、なにも買えそうにないけど、、、。など考えていた時だった。
「すいません、ちょっといいですか?」
ちょうど見ていたファミリーマートから出てきたおじさんに声をかけられた。
「え?どうかしましたか、、、?」
普段道を聞かれたりよくするので、困っている人かな?と思っていた。
12月でメチャクチャ寒いのにスウェットと軽い上着、コンビニの袋片手で、困った人には見えない。
腕を掴まれた。
「え?」
「ちょっと、ちょっといいかな、あっち、あっちの方で、ちょっとだけ、時間ちょうだい?あるでしょ、ちょっと。ほら、見てくれるだけでいいから。ちょっと」
早口で捲し立てるおじさん。掴まれた右腕。
あ、変な人だ。
「え?え!?あの、無理です時間ないですやめてください!」
「ちょっと!すぐおわる!みてくれるだけでいい!へんなことしない!ちょっとだから!ほらこっちきて!!!!」
引き摺るように腕を掴んでどこかに連れて行こうとして、怖くて、寒くて、足に力が入らない。
「無理です!やめてください!そこのファミリーマートに今親が迎えに来るところなので!離してください!通報します!!!!!」
寒くてうまくしゃべれない、それでも振り絞って大きな声をだす。
おじさんは真冬で薄着なのに滝のような汗をかきながら限界まで開いた目をこちらに向けた。
腕を掴む手が緩まった。
チャンスだ!
ファミリーマートの店先まで走る、怖くて、寒くて足が縺れる、うまく走れない、それでも。
ファミリーマートの入店の音が聞こえて、安堵した。おじさんがいないかゆっくり振り返って確認したら、もう誰もいなかった。
怖い
ここから出て、歩いている最中に襲われたら?あのおじさんじゃなくても別の人に襲われるかもしれない。でも家に帰らなきゃ行けない。
今思えば、ここでファミリーマートの店員さんにお願いして警察を呼ぶべきだった。
気が動転してしまって、あのおじさんが戻ってくる前にここを立ち去らなきゃ!となってしまい(大バカ)走ってファミリーマートからはなれ、中間地点の駅までなんとか辿り着いた。
中間地点の駅では、まだ終電前だからか賑わっていて、人もそこそこ多く、道は明るい。
ちょっと気が抜けて駅のベンチに座り込んでしまった。
そうして少し休憩して、早く帰らないと怒られる、、、もう少しだ、と気を強くもって歩く。
なるべくさっき起こった事件を思い出さないように、当時ずっと聞いていた大森靖子さんの絶対絶望絶好調を頭の中で無限ループして記憶をボヤかしてひたすら歩いた。(おかげで10年経った今でも歌詞を全部覚えている。
そうして黙々と歩き続けて、人通りが少なくなっても、怖いトンネルを通らなきゃいけなくなってもどうにか乗り切って。
家の前までついた。
安心感と疲労感と、そして怖かった思いが全部一気に押し寄せてきた。
ドアノブを回して、玄関に入るとあったかい。
思えば玄関の灯りがついてた。母親が私の帰りを待ってたんだ、と思うと泣けてきて、無事(?)に帰って来れた安堵で、力が抜けていく。
「ただいま!」
「おかえり、帰り遅い!どうしたの?連絡もなくて、心配した。」
母親がリビングでずっと待っていてくれて、もう限界だった。
泣きながら
スマホの充電がなかったこと
パスモを紛失してしまったこと
小銭がたりなくて歩いて帰るしかなかったこと
帰り道に不審者に腕を掴まれて変なことをさせられそうになったこと
それでもどうにか家に帰ってこれたこと
全部話して、母親が通報するかどうか聞いてきて、今日はもう限界なので明日警察に話に行くと決め、お風呂に入った。
冷え切ってひざが真っ赤になっている、お湯があつくて、安心する。
シャワーヘッドを掴んだ時、右腕にあざができているのに気付いた。
あのおじさんに掴まれた時にできたあざだとすぐわかった。
あの時は必死で痛みがなかったけど、見てしまうとどうしても痛くて、見えてしまうとどうしても怖い思いをしたという事実が残っていて。
もう2度と夜1人で出歩かないと誓った。
それから6年後、私は終電を逃して約20キロ歩いた話はまた別の機会に。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?