2023共通テスト・国語の振り返り
大学入試共通テストが終わりました。
大学受験業界に身を置く者としては、
まずは「前半戦」終了、といったところです。
担当教科は国語。
全国平均は中間発表で105点。
最終的にはもう少し高くなるのではないかと考えていますが、
なかなかに難しい問題でした。
基本的には、
「文章全体を読む」ことが主眼に置かれていました。
つまり、
細かいテクニックや単語、文法の知識で
「部分的に読む」ことで得点を稼ぐのではなく、
文章全体の要点をつかむことで、
得点の大半を一気に取る、
というスタイルを要求する問題だったと言えるでしょう。
さて。
私が担当する生徒たちは
もちろん健闘してくれましたが、
得点としてはよく取れた人も、うまくいかなかった人も、います。
私たちの予備校では、
共通テスト直前の2か月は、
予備校オリジナルの予想問題を7回ほど解いた上で
本番に臨みました。
その7回の予想問題における正答率や得点の平均を分析。
結果は、
200点満点の国語の得点と最も相関が高かったのは、
第2問文学的文章、つまり小説の得点の高さです。
つまり、
小説の得点が高い人は、国語の合計点も高い、という結果が出ました。
これは、
当然と言えば、当然の結果です。
というのも、
小説は基本的に、「文章全体を読み取る」ことで得点を稼ぐ大問です。
つまり、
「文章全体を読み取る力」、いわゆる「読解力」が
最も重要な大問です。
他の評論文、古文、漢文で、
この「読解力」がいらないわけではないのですが、
傍線部がピンポイントで分かればよい問題、
単語や文法の知識問題が
ある程度幅を利かせています。
そのため、
「文章全体を読み取る」ことができなくても、
ある程度、解けるのです。
一方、小説は、
「部分的」よりも「全体の把握」によって得点を稼ぎます。
したがって、
より「読解力」が重要になるのです。
そして、
この「読解力」がある人ほど、国語全体の得点が高いのは、
納得できる結果なのではないかなと思います。
そして、
今回の共通テストの国語は、
どの大問でも、この「読解力」をより必要とするものでした。
各大問の文章の「全体把握」ができた人は高得点だし、
そうでない人は得点が伸びない、
そんな特徴のある問題だったと考えてよいでしょう。
であれば、
1年後や2年後の共通テストを目標としている場合に、
何を磨けばいいのかは明確です。
「文章全体を把握する」という意味での
「読解力」を向上させる必要があります。
では、どうやるのか。
もちろん、
単語や文法といった「知識」は必要です。
語彙が無ければどんな文章も読めませんから。
かといって、
語彙だけ増やしても、駄目。
特定の文章の特定の箇所で使われている言葉の意味を理解し、
その上で、
特定の作者が書いた特定の文章で示されている趣旨をつかむ必要がある。
そのためには、
「文章の読み方」を身に付ける必要があります。
どんな手順で、どんなポイントに気を付けないといけないのか。
自分の学生時代を振り返っても、
「文章の読み方」を丁寧に教わった記憶がありません。
本を読むことを通して、各自が自然と身に付けていくもの、
そんな先入観があるのかもしれません。
ただ、受験生にそんな悠長なことは言っていられない。
1年や2年という限られた時間の中で、
「文章全体」の意味を把握するための訓練が必要です。
そして、
そのためには「読み方」のモデルと
モデルを身に付けるための方法論が不可欠です。
「読解力」の向上には時間がかかります。
一つの方法をやるだけで飛躍的に伸ばすのは難しいでしょう。
① 語彙力の向上
② 主語・目的語・述語といった文構造の理解(つまり、文法)
③ 文章のつなぎ方、流れの典型パターンの習得
これらを身に付けた上で、
④ 文章の読解
つまり、
様々な文章と向き合い、上記三つのポイントを駆使して、
自分なりに意味を把握してみる。
そして、その自分なりの把握を、他人の把握と比較検討し、
意味の取違いや重要な意味の見落としなどを抽出、
なぜそのようなズレが生じたのかを分析する。
この①~④の流れを愚直に行っていくことが王道でしょう。
既存の受験参考書や動画では
①②はきちんと紹介されていますが、
③はあまり見当たりません。
さらに、
④については、
読み取った生徒個人と他の人間の関わりが必要であるため、
本や動画を相手にするだけでは成立しません。
そこに私の存在意義があります。
私の果たすべき役割は、
受験生たちが①~④の流れを、
より速く、より正確に行えるよう、
指導・監督を行うことです。
まずは
目前に迫った私立大学入試や国公立大学入試に向けて。
さらに
1年後や2年後の入試に向けて。
立ち止まることは許されません。
受験生も、私も。