
読書記録『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎
2023/1/14 読了
【あらすじ】※若干のネタバレを含みます
『オーデュボンの祈り』は、伊坂幸太郎のデビュー作であり、
その独特な世界観と巧妙な構成で多くの読者を魅了した作品です。
物語の主人公・伊藤は、現代日本に住むごく普通の青年。
しかし、コンビニ強盗を犯して逃げる途中、謎の孤島にたどり着きます。
その島には独自の文化が根付き、普通の社会とは異なる価値観とルールが支配しています。
島で出会うのが、未来を予見する能力を持つ不思議なカカシ。
このカカシとのやりとりが物語の大きな魅力であり、
ユーモアと哲学的な深さを併せ持つ会話が読者を引き込みます。
しかし、そのカカシが突如として殺される事件が発生。
未来を予見できるはずの存在が、なぜ殺されたのか? 誰が? という謎が、
物語の核心へと読者を導いていきます。
【感想】
記憶を消してもう一度読みたい!
この作品の魅力は何と言っても、独自の文化が息づく孤島と、
その中で繰り広げられる非日常的な物語への没入感です。特にカカシとの会話はユーモアがありながらも深く、読者に強い印象を残します。
物語の中に散りばめられた伏線も見事で、特に後半にかけて
加速度的に回収される展開は圧巻です。
読んでいる最中はなかなか核心に近づかず、設定や物語をじっくり咀嚼する必要がありますが、それだけに全てが繋がる瞬間のカタルシスは非常に強く感じられます。
さらに、読後感が素晴らしく、最後にはしっかりとした満足感を得られる終わり方がに感動しました。
デビュー作にしてこの完成度は、まさに天才的!!
伊坂幸太郎作品には、他の作品とリンクしているかのような描写も多く見られるため、もしこれから初見の方はこのデビュー作から順番に読み進めることで、より楽しみが味わえると思います。
伊坂幸太郎らしい緻密な構成と伏線回収、独自のユーモア、そして深いテーマ性が詰まった一冊。
ミステリー好き、伊坂作品ファンもこれから読もうかと思う人にも
必読の名作です。
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