見出し画像

読書記録『フィッシュストーリー』伊坂幸太郎

2023/1/16 読了
【あらすじ】
『フィッシュストーリー』は、伊坂幸太郎の短編集の中でも特に印象的な作品であり、表題作は映画化もされたことで知られています。
物語は1975年、解散寸前のロックバンドが最後に録音した未発表曲から始まります。この一見未完成に思える曲が、時を超えて、数十年後に地球規模の危機を救う鍵となるのです。

物語は複数の時代と登場人物の視点が交錯しながら展開します。
1975年のバンド活動から始まり、1982年のある青年の日常、2000年のある出来事、そして2012年の地球滅亡の危機に至るまで、すべてが一見無関係に見えるエピソードとして描かれます。
しかし、それらが最後に一つの線として繋がる瞬間、物語は驚きと感動に満ちた結末を迎えます。

【感想】
この作品の面白さは、何と言っても伊坂幸太郎らしい伏線の貼り方と、その巧みな回収の過程にあります。
最初はそれぞれのエピソードがどのように繋がるのか見えにくく、
状況を把握するのが少し大変だと感じました。
しかし、物語が進むにつれて少しずつピースがはまり、
ラストに向けて一気に物語が加速する展開は、まさに伊坂作品ならではの醍醐味です。

まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざのように、些細な出来事が連鎖して思わぬ結果を導く展開が見事に描かれています。
小さな出来事が時を超えてつながり、大きな奇跡を生み出す過程は、まさにこの作品の最大の魅力のひとつです。

また、映像化された作品も視聴しましたが、「よくこの複雑なストーリーを映像化できたな」と感心しました。原作の複雑さや深さをうまく表現しつつ、映像ならではの迫力と感動が加わっており、非常に見応えがありました。

伊坂幸太郎の作品が好きな方はもちろん、ミステリーや伏線回収の妙を楽しみたい方には特におすすめの一冊です。「小さな行動が未来を変えるかもしれない」というテーマに胸を打たれる、深く心に残る作品です。

いいなと思ったら応援しよう!

さめの子
よろしければ応援お願いします! いただいたチップは飼ってる猫のおやつ購入費に使わせていただきます!