-二兎-
友人に誘われて、友人の知り合い主催というお見パに参加した。
↑「お見パ」とは、「お見合いパーティー」の略語だが、「おみぱ」と入力すると「お見パ」と検索結果に表示された。「婚活」も「お見パ」も市民権を得たのだなぁ、と少し感慨深い。
男女共に飲食代を一律支払い、食事をしながらの合コン形式のそのパーティーで、一瞥しただけでターゲットはオンリーワン。
会話を経ても終始ターゲットはその一人で、見事その彼とカップル成立を果たした。
彼と彼の友人と、私と私の友人と、4人で飲み直そうという話が挙がるも、私の友人がお見パ後の女子会を誇示したため、その日は連絡先を交換するだけに留まった。
その週末、トントン拍子でドライブデートすることが決まった。
会話の中から、地元の大手優良企業勤務だろうなと推測していた彼が、待ち合わせ場所に高級外車で来たことが判った時は、正直驚いた。
聞けば、その会社で彼くらいの年齢(40前後)になると、高級外車を所有していることは珍しくないと言う。
母が昔から、付き合うならこの会社の人にしなさいと言っていた理由が少し解った気がした。
彼とは会話のテンポもフィーリングもとても合った。
私が思うことを彼も思う、彼の思うことを私も思い、それを確かめ合って笑い合った。
離婚歴があり、元妻に引き取られてはいるものの子供がいるということが少し引っ掛かったが、それを加味しても結婚相手候補としては十分に残留組だ。
どこに行くとも決めていなかったが、調べつつ隣の県に足を伸ばし、プロジェクションマッピングとか見れたりして、既に恋人同士かのようなデートとなった。
そのまま夕食を摂るために入った焼肉屋さんにて、会話の流れで付き合おうかと彼に言われたが、笑って流してしまった。
打ち解けた後のはずの帰りは、行きの車よりお互いどことなくよそよそしかった。
なぜ、恋愛体質の私が、結婚相手になりうる彼の誘いに乗らなかったのか。
実はこの時、妹からある人を紹介されていたから。
そのまだ見ぬ相手にも、将来の望みを掛けていた私は、そこで答えを出すことはできなかった。
結果、妹から紹介された人と上手く行くかと思いきや、そうはならないことが確定し、彼とのことを後悔した時には遅かった。
二兎追う者は一兎をも獲ず。
私に幸あれ。