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(旧)N国党 (現)NHK党 令和2年11月27日公表 政治資金収支報告書

先ず最初に、本記事の内容は不正経理等の告発ではないことを予め申し上げておきたい。本記事は、総務省より令和2年(2020年)11月27日公表されたNHKから国民を守る党の政治資金収支報告書を読み解いたものである。

※以下、年号は和暦ではなく西暦で統一します。党名を「(旧)N国党」と表記します。政治資金収支報告書は「報告書」と表記します。
※報告書の写し(スクリーンショット・画像)は、ページによっては一般の個人の方々のお名前があるため、一部を除き使用は控えております。

(旧)N国党が国政政党となった2019年07月の参議院選挙、今回取り上げる報告書はその前後の期間(2019年01月~12月まで)が対象のものであり、この報告書を詳しく分析された方からの情報提供を基に簡単に解説したものである。詳しく理解されたい場合は、上記の総務省ホームページより該当の報告書を開いて(または印刷して)、内容を見比べながら同時に本記事を読み進めていただくと良いだろう。(WEBブラウザ や Adobe Acrobat などのソフトをお持ちの場合は、そちらで開くとページ数などが目視できる)

尚、今回の情報提供者の方からは氏名の公表を承諾していただいている。
その方は、元(旧)N国党公認立候補予定者であり、党の中から実態を見てきた人物だ。

借入金

報告書には、入ったお金と出たお金は原則記載されている。
2019年の参院選後、立花孝志氏がYoutubeで「次の衆院選のために」と言って募集を行った際、それに応じて貸し付けた貸主氏名が記載されているのが報告書の03~17ページである。
このときの借入れ金額は、最終的に2020年11月に「総額で5億5,530万円」であると発表されている。

この借入金総額の中には、立花孝志氏個人から党に貸し付けたとみられる 4,330万円と、衆院選時の供託金分とみられる3名からそれぞれ 600万円ずつが記載されている。

2019年衆院選後、「お金貸してください。100万円単位で利息は年10%です。借りるのはNHKから国民を守る党という法人で」という当時の募集動画は、その後削除されている。動画で応募を募った後、4億8,700万円集まったと涙ながらにお礼を述べていた動画も、その後削除されている。

上記の立花孝志氏の4,330万円と、供託金分3名の合計 1,800万円 を除いた総借入金額は、報告書上は 4億9,400万円、借入先は212人となっている。この中には党公認候補予定者やスタッフの名前も見られるが、概ね例の動画で集まった借入金と見てよいだろう。

「次の衆院選のために」と言って集められたお金であるが、その後この中から「籠池夫妻に8,400万円寄付をするのに使った」と立花孝志氏自身が語っている。(8,400万円はその後返却されている)明確な人数と金額は公表されていないが、「貸主から返却を求められた場合は速やかに応じている」とした。実際に2021年衆院選でいくら使用されたのかは、現時点で明らかにはなっていない。

そして、党からの支出の多くを占める「貸付金」(後述)も、もちろん上記で集められたお金で賄われていることになる。

政党交付金と寄付

報告書18ページ、(旧)N国党の収入の政党交付金 3,491万5,500円×2ヶ月分と、選挙の供託金変換分が 1,200万480円である。
1件10万円未満のものを合わせて、計 8,183万1,503円となっている。

報告書19ページ目からは寄付金収入である。
当時、党に所属している地方議員から党費(1人12.5万円/月)を徴収していた。2019年参院選では、地方議員に1人頭130万円を寄付させて供託金や選挙運動費を捻出。この130万円は、国政政党となって政党交付金が入金された後に、65万円を2回、支部交付金として返還している。(後述)

この1人130万円徴収の際、複数の地方議員が異議を唱え、離党している。

また、上記のような地方議員のそれとは別に、比例当選した立花孝志氏の辞職後、繰り上げ当選となった浜田聡氏が毎月の文書交通費や立法事務費相当額を党に寄付し続けている。

上記した地方議員からの寄付・徴収、浜田聡氏の寄付、政党交付金の総額は 
4,305万円である。

借入金+政党交付金+寄付金の合計は 約6億8,166万円。それが2019年度のお金の入りとなっている。

支出

報告書24ページ目からは支出である。
2019年08月~12月までの5か月間で約2億7,399万円。月平均で約5,400万円の支出となっている。では、内訳を見ていこう。

人件費が381万5,000円。
立花孝志氏の党首としての報酬は、月額で240万円であるとされている。参議院であった期間の2019年07月29日~10月10日までの議員歳費は2ヶ月分が満額で支給されるが、11月~12月はいくらで計上したのかは、この報告書の金額からは読み取れない。
私設秘書や党コールセンター職員の給与等も支出されているはずだが、形式上、彼らは2019年12月までは派遣会社からの人員とされており、その派遣会社から支払われていることになっているため、この人件費には計上されていないとみられる。(一部は党から支払った可能性はある)

報告書25ページ目は経常経費(弁護士費用)である。
立花孝志氏と(旧)N国党といえば裁判が絶えないことで知られているが、裁判に関わる費用なのかどうかは不明である。
金額 34万1,000円。

報告書26ページ目に記載されているのは、「イベントユニフォーム代」。
これは、立花孝志氏や党に所属する地方議員、職員を集めて行っている草野球のためのユニフォーム代金である。福利厚生の一環であろうか。何人分で何着なのか等は不明である。
金額 35万9,600円。

報告書27ページ目には、飲食代や会場費が計上されている。
金額 51万1,695円。
実際にはこれ以上に使用しているはずであるが、法人・個人で支払いを巧みに回す会計手法でこの金額に収まっているとみられる。「党・法人・個人の財布は一体だ」と語った立花孝志氏ならではの手法だろう。

報告書28ページ目は「会員投票システム構築」費用である。
金額 97万2,840円
これは、2019年参院選当選後に(旧)N国党が党を挙げて打ち出した「直接民主主義」のための投票システム構築費用だ。システムの内部がどのような設計になっているのか詳細はわからないが、一般的なシステム構築費用と比較するとかなり安い部類である。この「直接民主主義投票システム」では、パスポートやマイナンバーといった重要個人情報が必要であったため、「データ管理が外部の無認可民間企業だと個人情報保護法違反ではないか」との指摘が飛んでいたが、それに関する説明や発表はなされなかった。結果、正式運用が実現できるだけの利用希望者が集まらず、計画は早々に頓挫した。
2020年09月末公表の政党交付金収支報告書によると、このシステム開発を請け負った会社には、別途240万円と22万円が6回、計372万円が支払われていることが記載されているが、それは依頼したときの当初の契約に従った支払いかと思われる。

報告書29~30ページには、政治活動費(選挙関係含む)としてポスターやビラ代が記載されている。2019年09月以降、党が事実上の出資者であるネット選挙株式会社に約536万円の支払いがある。ここから、選挙で供託金没収ラインを上回っていた場合、選挙ポスターやビラなどの原価を選挙公営費から差し引いた額がネット選挙株式会社の儲けになる。

※選挙公営費
公職選挙法で定められた税金投入のこと。選挙で、定められた得票を超えた場合に供託金が返還され、その場合に、その選挙で作成・使用したポスター等(選挙カー等も含む)の費用を国・自治体に既定の範囲内で請求することができる。
(例)
原価:ポスター1枚10円×1万枚 = 10万円
請求:ポスター1枚200円×1万枚 = 200万円
利益:200万円 - 10万円 = 190万円の利益
これが立花孝志氏の言う「選挙ビジネス」である。尚、この手法を行っているのは(旧)N国党だけではない。(立花孝志氏談)

報告書31ページ目は、政治活動費として党が負担した2019年05月~12月までの選挙の供託金である。なかなか興味深いので内容を紹介しよう。
※()内は供託金を用意した該当の選挙と結果。
2019年05月23日 推薦料 240万円 立花孝志氏(大阪府堺市長選 落選)
(2019年07月 参院選、33ページで記載)
2019年08月05日 推薦料 300万円 浜田聡氏(埼玉県知事選 落選)
2019年08月21日 推薦料 30万円 信時一智氏(大阪府交野市議選 落選)
2019年09月17日 推薦料 100万円 浜田聡氏(大阪府東大阪市長選 落選)
2019年10月07日 推薦料 300万円 立花孝志氏(参院埼玉補選 落選)
(2019年10月10日 立花孝志氏が参院埼玉補選に立候補、参議院議員を自動失職)
2019年10月31日 推薦料 100万円 立花孝志氏(神奈川県海老名市長選 落選)
2019年11月14日 推薦料 100万円 立花孝志氏(奈良県桜井市長選挙 落選)
2019年11月27日 推薦料 100万円 立花孝志氏(東京都小金井市長選 落選)
以上。
2019年07月の参院選以降で記載のあるものは7件であるが、実のところ(旧)N国党の選挙は2019年08月~12月までの間、私が把握している限りでは上記含め 21件 にのぼる。上記の立花孝志氏の埼玉参院補選以外は全て地方選挙であるが、21 - 7 = 14 件の選挙での公認候補者たちは全て自腹で供託金を支払ったのだろうか。(うち当選者6名、後に1名当選無効)

報告書32ページ目には、「記者会見準備代」と記されている。
2019年07月の参院選投開票当日に赤坂で借り切った会場の費用。
金額 45万2,844円

報告書33ページ目は、2019年07月の参議院議員選挙の供託金である。
金額 2,400万円
比例候補者 600万円×4名 =2,400万円という計算になる。
このときの(上記比例の4名を除く)各都道府県選挙区立候補者全37名のうち11名が自腹で300万円、残りの26名は立花孝志氏個人が各立候補者に寄付する形で支出した。このときの寄付について、2020年03月に立花孝志氏がそれらにかかる贈与税を支払ったことで、「贈与」であったことを追認する形となった。この件に関し、2021年02月に共同通信社から立花孝志氏へ”公職選挙法第199条2項”に違反しているのではないかとの問い合わせがあったと立花孝志氏自身が公表している。
政治資金規正法では、個人から公職の候補者に対しては 1,000万円/年、同一の受領者への寄附は 150万円/年 までと定められている。この問題に関し、内々では立候補前の書類作成時から話には上がっていたが、立花孝志氏の「なんかあったらその時はその時や」と、鶴の一声で場は収められた。
また、贈与税送金前に「贈与・寄付ではなく貸付扱いにしておいたほうが」という進言があったものの、そのまま贈与・寄付を行ってしまったという。

報告書34~36ページ目も政治活動費である。
レンタカー代:金額 15万0,002円
ホームぺージ作成:金額 33万0,000円
ラインスタンプ作成:金額 9万3,500円

報告書37ページ目は、「撃退シール発行費用」である。
総額 186万4,026円
これは、政治活動の時に街頭で配ったり、Web経由で市民から欲しいと依頼を受けて配布している、あのよく知られた”撃退シール”のことだ。
この撃退シール、郵送でも基本無料で配布しているが、ある1枚の紙が同封されており、その紙にはこう書かれている「視聴料のお願い(任意)」。

視聴料2

その結果、党本部には市民から切手や金券が送られて来ており、当時開封を行っていたのが自身であったと、今回の情報提供者は語る。
また、”撃退シール”の名目で政治資金として支出したもの(それに同封した紙面)に対し、議員控室やコールセンター・党本部に送られて来たものを、収支報告書に未記載でよいのかという指摘もある。
これを見たとき、私が思ったことは「視聴料という名目の実質寄付(党直接ではなく自身の会社を迂回させているが)のお願いではないのか」ということだが、この視聴料に関しては、立花孝志氏は以前から動画等で呼び掛けており、”お願い”行為が隠されているというわけではない。

報告書38ページ目は、「コールセンター関連費用」である。
総額 289万8,157円(2019年06月~12月)
事務所費(家賃)と電話機設置(工事)費用 約80万円が含まれている。

報告書39ページ目は、「電気工事代」となっている。
総額 166万8,160円

報告書40~43ページは、「支部交付金」がズラッと記載されている。
上記「政党交付金と寄付」で記述した130万円×2に該当すると思われる金額と支部名がしっかりと報告書に記載されている。
総額 4,645万9,184円

ページは飛ぶが、報告書49~54ページも同様の内容である。
総額 4,590万2,120円

以上が報告書に記載されている「支出」にあたるものだ。
ここで、情報提供者は1つ不思議なことに気が付いたという。立花孝志氏がお付き合いをしていたとされる司法書士の女性への、依頼料や顧問料等の記載が見当たらなかったのだ。(女性個人、司法書士事務所ともに)
情報提供者は、「政治資金収支報告書に添付する領収書等の開示請求」によって、報告書期間内での上記を示す”党名義の振り込み明細”2通は確認できたが報告書には記載が無い、と語る。私も確認したのだが、確かに見当たらない。党名義で明細があるということは、党関連の会社や個人から支払っていたわけではなさそうなので、単純に記載漏れなのだろうか。

貸付金

報告書 44~48ページは、上記「支出」とページ内容の分類としては同じものだが、44~48ページは全60件すべて貸付金である。
貸付金総額 1億3,331万5,787円

この貸付金については、「支出を受けた者の氏名」が立花孝志氏個人とその関連会社のみであるため、報告書の写しを掲載しておこう。

貸付01
貸付02
貸付03
貸付04
貸付05

※2019年 = 令和元年(上図表記では R1 )
(旧)N国党が公党となり、初めて政党交付金を受けたのが2019年10月18日で約3,500万円、2回目が12月20日で同じく約3,500万円。立花孝志氏がYoutubeで募集して、多額の借り入れを行ったのが2019年11月22日、報告書では約4億9,000万円の借り入れである。

では、1回目の政党交付金を受けた2019年10月18日~12月末までの支出と貸付、寄付も合わせて日付順に並べてみよう。
※2019年09月以前は、所属地方議員から毎月寄付が行われていたが、09月04日を最後にその後記載が無いため今回は考慮しない。
※太文字は収入(寄付・借入含む)。
※合計の支出に貸付は加算せず、貸付とその他の支出は別で表記します。

10月18日 政党交付金 34,915,500円 国
10月18日 支部交付金 5,179,592円 N国党近畿支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党栃木県宇都宮市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党埼玉県春日部市支部
10月18日 支部交付金 500,000円 N国党新潟県魚沼市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県柏市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県八千代市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県船橋市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県市川市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党兵庫県西宮市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党北海道苫小牧市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党東京都台東区支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党東京都目黒区支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党東京都北区支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党兵庫県川西市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党東京都町田市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県松戸市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党東京都墨田区支部
10月18日 支部交付金 92,936円 N国党東京都新宿区支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党東京都板橋区支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党兵庫県尼崎市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党東京都練馬区支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党東京都立川市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県流山市支部
10月18日 支部交付金 650,000円 N国党東京都中野区支部
10月23日 支部交付金 650,000円 N国党東京都世田谷区支部
10月23日 支部交付金 650,000円 N国党東京都荒川区支部
10月23日 支部交付金 650,000円 N国党埼玉県川口市支部
10月18日 会員投票システム構築 972,840円(外部企業)
10月18日 ポスター代 1,726,920円 ネット選挙株式会社
10月28日 供託金返還 12,000,480円 東京法務局
10月28日 ビラ代 699,136円 ネット選挙株式会社
10月28日 ラインスタンプ作成 93,500円(外部企業)
10月28日 貸付金 3,637,900円 立花孝志ひとり放送局(株)
10月28日 貸付金 330,000円 立花孝志ひとり放送局(株)
10月31日 支部交付金 650,000円 N国党品川区支部
10月31日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県習志野市支部
10月31日 推薦料 1,000,000円 立花孝志氏

上記が、10月18日に政党交付金を受けてから31日までのお金の動きである。
(10月合計※18日以降)
収入 = 4,691万5,980円
支出 = 2,716万4,924円
貸付 = 396万7,900円
差引 = 1,578万3,156円(残)

ズラっと並んだ支部交付金は、2019年の参院選前に所属地方議員から徴収していた130万円の半分の返金であり、残りの半分は12月に支払われている。この10月ですでに立花孝志ひとり放送局(株)へ400万円近い貸付が行われている。そして、これは翌月以降も続いていく。

11月05日 貸付金 300,000円 立花孝志ひとり放送局(株)
11月06日 貸付金 300,000円 立花孝志ひとり放送局(株)
11月06日 コールセンター事務所費 238,000円(不動産会社)
11月11日 寄付 1,000,000円 浜田聡氏
11月11日 貸付金 99,239円  立花孝志ひとり放送局(株)
11月11日 貸付金 89,312円  立花孝志ひとり放送局(株)
11月11日 貸付金 124,080円  立花孝志ひとり放送局(株)
11月14日 推薦料 1,000,000円 立花孝志氏
11月22日(~)一般募集借入金 490,000,000円
11月27日 推薦料 1,000,000円 立花孝志氏
11月20日 ホームページ作成 330,000円(外部企業)
11月28日 貸付金 50,000,000円  立花孝志ひとり放送局(株)
11月29日 ポスター・ビラ広報代 2,313,068円 ネット選挙株式会社
11月29日 コールセンター事務所費 238,660円(不動産会社)

(11月合計)
収入 = 4億9,100万円。
支出 = 511万9,728円
貸付 = 5,091万2,631円
差引 = 4億3,496万7,641円(残)
10月残高+11月残高 = 4億5,075万0,797円(2ヶ月分残高)

11月07日(と後日もう一度)、立花孝志氏は名古屋のNo.1キャバクラ嬢のお店を訪ね、そのときの会計総額が 約5,300万円だったことが話題となった。この件に関し、立花孝志氏は「私は1円も出していません。ある方のおごりです。」と発言。「そのNo.1キャバクラ嬢の婚約者が出したらしい」という話が広まったが、真偽は定かではない。誰が出したかはさておき、立花孝志氏の「1円も出していない」が本当だとするならば、当時11月10日投開票の海老名市長選挙に立候補していた立花孝志氏への”おごり”は寄付に該当する恐れがあり、公職選挙法違反の可能性が指摘されていた。この報告書を見る限りでは、それに該当するとみられる内容の記載は無い。
11月28日に、立花孝志ひとり放送局(株)に 5,000万円が貸付られているようだが、それとこれとは無関係だろうかと勘繰ってしまうところだ。

また、この11月の一般募集借入金が無かった場合、前月分の残高 約1,578万円と、浜田聡氏の寄付の100万円を合わせた 約1,678万円 - 約512万円 = 約1,166万円が残高となっていた。

12月04日 寄付 1,000,000円 浜田聡氏
12月10日 貸付金 111,156円 立花孝志ひとり放送局(株)
12月10日 貸付金 450,069円 立花孝志ひとり放送局(株)
12月10日 貸付金 122,990円 立花孝志ひとり放送局(株)
12月12日 貸付金 300,000円 立花孝志ひとり放送局(株)
12月13日 会場費 84,700円(外部企業)
12月16日 寄付 1,000,000円 浜田聡氏
12月18日 貸付金 300,000円 立花孝志ひとり放送局(株)
12月18日 忘年会会場費 323,323円(カラオケ店)
12月20日 政党交付金 34,915,500円 国
12月20日 ポスター代 212,300円 ネット選挙株式会社
12月20日 支部交付金 5,179,592円 N国党近畿支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都品川区支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党栃木県宇都宮市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県習志野市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都世田谷区支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党埼玉県春日部市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県柏市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県船橋市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党兵庫県西宮市支部
12月20日 支部交付金 500,000円 N国党新潟県魚沼市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都荒川区支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都北区支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県八千代市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県市川市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党北海道苫小牧市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党埼玉県川口市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都町田市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都台東区支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都板橋区支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都目黒区支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都中野区支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党兵庫県川西市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県松戸市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党兵庫県尼崎市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都墨田区支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都新宿区支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都練馬区支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党千葉県流山市支部
12月20日 支部交付金 650,000円 N国党東京都立川市支部
12月24日 貸付金 450,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 450,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 3,225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 3,225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 6,450,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 3,225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 3,225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 3,225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 3,225,000円  立花孝志氏
12月24日 貸付金 3,225,000円  立花孝志氏
12月25日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月25日 貸付金 225,000円  立花孝志氏
12月25日 貸付金 4,655,000円  立花孝志氏
12月30日 コールセンター事務所費 238,660円(不動産会社)

(12月合計)
収入 = 3,691万5,500円
支出 = 2,408万8,575円
貸付 = 3,923万9,215円
差引 = - 2,641万2,290円(残)
10月残高+11月残高+12月残高 = 4億2,433万8,507円(3ヶ月分残高)

ひと際目を引くのが、立花孝志氏への多額の連続貸付である。
24日~25日の二日間だけで、その額 3,795万5,000円。額も額だが、自分へのクリスマスプレゼントにしては不可解である。わずか二日間で小刻みにしなければいけなかった理由はなんなのだろうか。日付を見ると、2019年12月24日~25日。この日は、様々な騒動を巻き起こし、後に裁判へともつれ込んだ、選挙ウォッチャー”ちだい”氏の「例の記事」が公開された翌日である。
12月23日深夜に記事が公開され、界隈が騒然としたまま迎えた24日。このタイミングは偶然であろうか。このような同日中の小刻みな貸付、個人に1~2日で貸し付けるには大きいと言える金額。この奇妙な貸付の記録の詳細が語られる日が来ることを、私は期待している。

さて、この立花孝志氏個人への24日~25日の貸付と、11月の一般募集借入金が無かった場合の金額をそれぞれ見てみよう。
まずは、一般募集借入金込みの12月の党のお金は、前月までの残高が 約4億5,075万円、浜田聡氏からの寄付が2回で 200万円、政党交付金が 3,491万5,500円。合計 約4億8,766万円である。
仮に、立花孝志氏への二日間の貸付が無かった場合、12月末の残高は 約4億4,970万円であった。
さらに、11月の一般募集借入金が無く、立花孝志氏への二日間の貸付が無かった場合では、前月までの残高は  約1,166万円、浜田聡氏からの寄付が2回で 200万円、政党交付金が 3,491万5,500円。合計 約4,857万円。このお金だけで12月の支出を賄ったと仮定すると、残りは 約2,449万円である。11月中旬(一般募集借入金を行う前)に立花孝志氏は、「党の預金残高は2,400万円」と公表していた。そのお金と合わせると 約4,849万円となる。
一般募集借入金が無くとも、立花孝志氏への二日間の貸付を賄える金額ではあるのだが。

報告書上の金額では、翌年への繰越額は 約4億0,767万円となっている。
立花孝志氏が「借りたお金は手をつけずにそのまま残っている」と語っていたのは、いつの頃だったか。

ところで、2019年08月10日に幹事長兼選挙対策委員長に就任した上杉隆氏への役員報酬(もしくは契約金)、コンサルタント契約を結んだとされている上杉隆氏の会社 株式会社NOBORDERとのコンサルタント料が、どのように支払われていたのかも気になるところである。
(コンサルタント契約は2020年08月31日で解除されている。)

2021年11月末には、2020年度の政治資金収支報告書が公開される。そこにはいったいどんなドラマが詰め込まれているのだろうか。

情報提供者の指摘

情報提供者はこう語る。

立花孝志氏は、個人として参院選時に9,000万円(利息10%)、立花孝志ひとり放送局(株)から短期貸付金として7,000万円(認定利息2%)の借金がありましたが、2019年参院選で公党党首となってからは、240万円x12ヶ月=2,880万円/年の党からの報酬のほか、立花孝志ひとり放送局(株)から40万円x12ヶ月=480万円/年の役員報酬を得ています。
2019年11月、党の資金がショートすると見るや一般募集借入を行い、その中から貸付金として多額のお金を個人と会社に移して自由に使っています。その傍らで、「党の宣伝になるなら」と当選の見込みの無い選挙に自腹で立候補をしていた(当時の)仲間たちを「バカ」「ガラクタ」呼ばわりをし、国政選挙に自腹で600万円を出して立候補した者に対しても、「返還する」と最初に交わした約束を反故にして「あいつは夢を買ったんだ」と言い放ちました。

それでも立花孝志氏を信じて、自腹で供託金を出してまで当選できないと分かっている選挙に出馬し、党に貢献しようとする者たちはいました。そのような者たちの頑張りを蔑ろにし、自分は党から全て供託金を出して選挙に出て遊ぶ始末。その結果、悪名は無名に勝らず、悪名は悪名のまま、党と立花孝志氏の評判は落ちていきました。ところが、立花孝志氏の口から出る言葉は、「みんな選挙がへたくそ」「立候補者の質が悪い」と、罵倒するに至りました。そして、2019年の参院選で協力(立候補)してくれた者たちへあてがうとしていた地方議員の椅子の約束も実質反故され、おかしさに気付ける者たちは党を離れました。今はもう”ここまできたら付いていく”という選択肢しか残されていない者たちばかりが残ったのが現実だと思います。

立花孝志氏は、その都度もっともらしい正論を並べます。それを見た過去の彼の言動・行いを知らない人々は、彼を「天才」「正義」と称賛してしまいます。例え今そのときの彼の発言が「天才」や「正義」であったとしても、過去と、その後の発言を注視してほしいと思っています。多くの場合で言っていることが変わっているか、口にすら出さなくなっているからです。

まだまだ世の中には、立花孝志氏という人間をよく知らない人も多いと思います。よく知らないまま投票する人も後を絶たないでしょう。そういった人々に気付いてほしいと思っていたところ、モンキーポッドさんの「私に届いた(旧)N国党 元支持者からの1通のメール」の記事を拝見しました。
この人なら、と思い、今回ご連絡をさせていただきました。

この情報を公開したところで、すぐに何かが変わるわけではないとは思いますが、少しでも不自然さや不可解な部分に気付いてくれる人が出てきてくれることを願っています。


※上記は、資料とともに私に寄せられたメールの内容を一部要約・校正したものです。

最後に、今回この情報を提供してくださった方をご紹介しておきたい。
2019年参院選立候補者、(旧)N国党 元公認候補予定者であった 林大祐氏、その人である。
※2019年12月 公認辞退、博士(医学)・毒性学者・産業コンサルタント。


NHKから国民を守る党 令和2年11月27日公表 政治資金収支報告書(終)