シュヴァンクマイエル『ファウスト』 現実と幻想の巧みなつながりを見る
ヤン・シュヴァンクマイエル『ファウスト』( チェコ・フランス・イギリス 1994年 97分)
見始めは混乱する。
飛び出してくる鶏、割っても空の卵、一瞬だけの嵐。
謎の地図をもとに、中庭のある打ち捨てられたような建物に男が入っていくところから本筋が始まる。飛び出してくる男。ニヤニヤ笑いの老婆。
階段を地下に降りればそこは散らかった楽屋。男は衣装を身につけて、鏡の前で舞台化粧を始める。ここまでセリフはない。
拾った台本を読み上げる。演目はファウスト博士のようだ。不意に、けたた