母、倒れる。
母が倒れた。
日曜日(27日)の朝でした。
ベッドに寝ている母が、トイレに行くため体を起こし
何度も勢いをつけ立ちあがろうとするも、なかなか立つことができずにいた。
気づいた私が手を貸して立ち上がらせたが、足元がおぼつかない。
トイレまで支えながらついて行き、用を済ませたところで、また体を支えてベッドに戻った。
その間も、体が震えまっすぐ歩けない。
ベッドに辿り着くや否や、うつ伏せに倒れ込み体を小さく縮こまらせさらに「ブルブル」と大きく振るわせ始めた。
驚いて「寒いの!?どっか痛いの!?」と聞くも、言葉にならない反応が返ってくるだけ。
とても苦しそう。
「なんとかしな!どないしたらええの?」
激しく動揺するとともに混乱して最悪の事態が頭をよぎりパニックになる。
震えているので体温を測るが平熱。
おでこを手で確かめても熱くはない。
それでも震えが止まらない。
思い当たることを色々聞いて、症状を聞き出そうとするも、自身の状況を把握したり言葉にするのは到底無理なほど、母は苦しんでいた。
もうどうにもならない。
すぐに119番通報。
事故か救急かの問いに、救急と伝え、電話の向こう側の問いに答えていく。
「このまま救急要請をしますか?救急相談の方へ回しますか?」と聞かれた。
動揺している自覚があるので自分を落ち着かすためにも救急相談の方を選択。
電話が救急安心センターに回され、担当の声がする。
色々と質問されるが、全く要領を得ない。
「それくらいで慌てない。」
「大したことはない。」
「救急車呼ぶほどじゃない。」
「しばらく様子見てもいいんじゃない?」
そんな印象を受ける言葉を浴びせかけられる。
その間にも、目の前の母親の状況は改善どころか、状況は悪化の一途。
ことらから「申し訳ない。切ります。」と。
受話器の向こうから「ダメダメ!切らないで!」と会話中一番真剣な声で訴えるのが聞こえたが、言葉の途中だったが通話を強制終了した。
この救急安心センター、コロナの時もそうだったが、すぐにでも診察を受けたいくらい苦しいのに電話の向こうでは
「私、もっとひどい人じゃないと救急に繋ぎません。近くの病院を言うのでメモって。メモれない?録音でもいいけど?何にもできないの?」
と会話するだけでもやっとなくらい苦しい患者にやたらと鞭を打ってくる制度のようだ。
制度ができた経緯は承知しているが、経緯にそぐうような成功例は1万件に1件くらいあればいい方じゃないか?
その1件を鬼の首取ったように大喜びしてるんだろうと邪推してしまうくらいポンコツな制度だ。
さておきすぐさまもう一度119番。
もう待てないほど、さらに悪化した状況を伝えようやく救急車を手配してくれた。
救急隊が来るまで、着替えて保険証など準備。
様子が変わらない母に絶望を感じながらも寄り添った。
救急隊到着。
すぐに母の体温などの様子を確認して質問を繰り返すも、はっきりしない。
すぐに救急車に乗せられ病院へ要請。
幸運にも、2駅ほど向こうの病院がすぐ受けてくれた。
車が動き出す。
まもなく母の様子に変化。
隊員の一人が「急に熱が上がってきたな。」と。
さっきまで平熱だったのに、計器が39.4度をを指していた。
病院へ到着。救急処置の部屋で診察を受ける。
小一時間ほど救急の待合で待つ。
看護師に呼ばれ処置室の医師のところへ。
先生の所見を聞く。
胆嚢に石が見られ炎症を起こしている。
日曜日なので専門医が不在だから翌日専門医のもと診察して手術か否かを決めることになるとの所見。
家での様子からは少し落ち着いた母。
少し会話もできるようになったが、苦しそうなのは変わらない。
すぐに入院。母は病室へ。
入院手続きの話を聞いて病室に向かうつもりだったが、面会時間外のため、一度帰宅して気がついたものを持って午後の面会時間に病院へ向かう。
病室の母。
徐々に落ち着きは見えるものの、苦しそう。
入院したという認識はあるようだが、家に救急隊が来るまでの顛末は記憶にない様子。そりゃそうだろう。
少し様子を見ていたが、疲れも出てきたので休んでもらうためにも帰宅。
家にいても動揺がおさまらず母が気になり一睡もできない。
眠たいのに眠れないではなく、目が冴えて眠たくならない感じ。
それが1日目の様子だった。
翌日、2日目の朝、早速診察してくれた担当の専門医の先生から電話。
診察の結果、所見を説明してくれて、今回は手術は
避けて投薬で様子を見る。
最悪改善が見られないと手術になるが、そうならないと予見できるのでひとまずそのように、とのこと。
少し先が見えた感じがして気持ちも少し楽に。
母が何を必要としているか、気が回らない自分にとって推測が辛い。
とりあえず日用品と退屈しのぎに、母愛用のテーブルに読みかけの小説とメガネがあったので持参。
面会で母も安堵したようだが、熱が下がらず解熱剤で対処。
胆嚢への点滴の間は数日間絶食。
栄養も点滴されているようで空腹は感じないようだ。
一日置いて3日目。水曜日。
まだ点滴生活。食事もまだ。
熱は下がり、ずいぶん楽になった様子。
会話も正常にほぼ戻り、トイレも自分で行き来できる。
読書はさくさくできるようで、続きの小説も届ける。
快方への目処がたった今、
支払いは気にせず。
と言いたいが。
無職の俺が一番気にしているところ。
そこが今苦しいところ。
なんとかしよう。
できるのか。
暗い未来。
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