新しいアイディアの出し方
オーストラリアのアデレードにて休暇を満喫しております。
マジシャンのサリトです。
またもや更新が遅れてしまいまして申し訳ないです。
2週間の休暇中なのですが、新しいネタを構成中でございまして、アイディアが止まらないのです。完成した物、未完成の設計図みたいな感じができただけの物、新しい演出、表現方法、細かい小ネタとかも入れれば、おそらく20個以上は出来ました。
それで、またもや完全に忘れていました。
前回に引き続き、言い訳スタートで申し訳ないです。
今日はタイトルにある通りに、このアイディアの出し方を、サリトなりに解説しようと思います。
一言にアイディアと言ってもたくさんの意味がありますので、まずは「最初の閃き」、ネタの種のような、「0から1」を作る方法を解説します。
最初のきっかけとなるものは、サリトの場合、基本的にはオチから作る事が多いです。「これがこうなったら面白いんじゃない?」とか「血でカード当てられたら面白いんじゃない?」とか「ピザの箱から腕を出してびっくり箱みたいにしたい」とか・・・。あと、歌とか音楽を聴いて。「この曲でこんなマジックしたい」「このフレーズでこんな風に動きたい。この動きはこのマジックに合いそう。」などと音楽からインスピレーションを受けて、新作が閃く事が多いです。
今、オーストラリアでやってるメインアクトとして、ガムテープを巻いた口からお客様のサインされたカードが出てくるというマジックをやっているのですが、これも最初はそのオチだけが生まれました。なぜその発想が生まれたかと言うと、単純にカードインレモンをサリトの体でやりたいと思ったからです。「カードインサリト」みたいな感じです。ちょうどその頃、よく口を使ったマジックをしていました。針飲んで糸に繋がって出てきたり、風船飲んだり、マウスコイル出したり、火を食べたり、トイレ用洗剤を飲んだりと・・・口に何か入れたり、口から何か出せば面白いと思っていた時期でした。(今でもそうですが・・・)なので、口からサインカードもよく出していましたが、もっと不可能設定をあげたい。ならガムテープで巻けばいいじゃん。と、こんな感じで単純な発想です。
そこで大事なのは、新しい発想の前の「気づき」です。
ピザの箱にしてもピザが好きで「毎回ピザの箱を捨てるの勿体ないな。この箱で何かできないかな?」この気づきから生まれました。
「カードインレモンってウケるけどサリトなりのレモン以外からのカードインレモンをしたい。」この気づきがとっても大事です。
そして、その「気づき」から「閃き」が生まれ、それが新しいアイディアとなります。「閃き」の作業は良いアイディアを出す作業ではありません。ボツアイディアを出す作業だと思っています。そのボツネタが尽きるまで出すのです。「出る」「出ない」ではなく「出す」のです。
たくさんのボツネタ、良くないアイディアを出しまくると、その内良いアイディアが出ます。その時が来るまでボツネタを出し続けるのです。
そして、それらは常に考えています。「気づき」と「閃き」は続ければ癖になります。それをしなくては落ち着かなくなってきます。「何か閃きたいなぁ・・・あ、雑貨屋でも行こう。何か閃くかも」となり、それらを探しに行く時間を作るようになります。
何を見て、何を経験して、何を得るのか?
以前の記事「楽しむ気持ちを捨てました」でも書いたように、エンターテイメントを楽しんでいる暇はないです。少しでも多くのボツネタが閃くようにして下さい。サリトは全てを勉強、そして「気づき」と「閃き」の作業だと思っています。サリトにエンターテイメントを楽しんでいる時間はありません。もっとたくさんの「気づき」と「閃き」と「新しいアイディアの発想」の時間にしないと勿体無いんです。
ちなみに先日、アデレードの美術館と博物館に行きました。たくさん閃きました。
例えば一つここで、閃いたアイディアを公開してしまうと、たくさんの動物の剥製があったのですが、そこで一つお客様が選んだとします。それを無惨にぶち壊します。それを剥製が最後の一つになるまで繰り返します。そして最後に残った剥製だけが実は本当の動物だった。みたいなマジックを思いつきました。まぁ、剥製では無理なのでマネキンと人間とかならできそうです。(方法はわかりませんけどねっ)
そしてそのアイディアの、少しでもダメな所を探し、より活かせる方法を考えます。意外とこれができない方が多く、よく自分のアイディアに固執、執着してしまう人を見かけます。新しい演出、自分の考えたオリジナルテクニック、画期的なギャグ、それらがそのマジックに適していないのにやってしまう方。本当に多いです。勿体ないです。適した使い方をしなければ、そのアイディアがかわいそうです。
何故そのアイディアをやるのか
⬇︎
閃いたから
⬇︎
何故閃いたから使いたいのか?
⬇︎
使わないと勿体無い
こういった思考回路になっている事に気づいていないのでしょう。
例えるなら、サリトは風船飲みをよくやるんですが、その際にお客様から「飲んだ風船どこに言ったの?」と聞かれます。そこで「明日・・・」と言いながら、風船がお尻から出てくるようなジェスチャーで伝えます。これ、日本でもそうなんですが、オーストラリアでは、確実にバカみたいにウケます。これをお客様から聞かれてもいないのに、「飲んだ風船は明日・・・」とやってもウケません。多少はウケますが、本来のウケは得られません。お客様から風船の行方を聞かれてからやるから、ウケるのです。聞かれてない状況で笑いが取りたいのであれば、別のセリフを使うべきです。もっと効果的なギャグがあるはずですから、それを考えて、使わなくてはなりません。
適していないアイディアに執着してしまうというのは、こういう事が起こってしまっているのです。また、こういった事をしてしまう人はアイディアが乏しい傾向があります。ボツネタを出すのに慣れていないのでしょう。なのでボツネタにする事が出来ず、アイディアを無駄に大切にしまっているのでしょう。どんなに良いアイディアでもボツネタにする勇気を持って下さい。
ただ、気持ちはわかります。せっかくのアイディアを捨てるのは勿体ないです。ただ、適していない状況にそのアイディアを持ってくる事の方が勿体ないです。より良いショーをするのがマジシャンの役割です。自分のアイディアを見せびらかすのが目的ではないはずです。その為に、自分の画期的な発想はガンガンとボツにする、もしくは変えていかなくてはなりません。
それと、そのボツネタはちゃんとメモしておいて下さい。もちろん、最初に述べた「気づき」だけでもいいです。メモ帳に規則は一つだけ。常にどんな物でも事書く。それのみです。自由に書いて下さい。
・ピザの箱で何かやりたい
・ストッキングを被った状態でマジック
・4コマでマジック
・トランプをぶちまけて紙吹雪のように見せる
などと気づきだけを書いたり。また、
・ペンキの入った何かをわる→ペンキが飛び散る→トランプの柄になる(主観的輪郭)
などと閃いた具体的な流れを書くだけでもいいです。
・何かのゲームをしてその勝敗が最初からある何かに予想されている
などと抽象的な事だけ
・クラッカーを引っ張ったら万国旗が出てくる
などと新しいアイディア
・メンタルマジックの矛盾
1、読心術は超能力であり、タネのあるマジックと言っている時点で成立はしていない
などと、ふと思ったことでも良いです。
ただ、絵が書いてあるだけ、ギミックのなんとなくの設計図だけ
サリトはネタ帳を持ち歩いています。何か思いついたら書いています。ノートは丁度3冊目に貼りました。Googleドキュメントに300件以上、iPhoneのメモのアプリには200件以上残しています。そしてそれをたまに見返します。すると、「あれ?この2年前のボツネタとこの一週間前のボツ演出、一番適してるんじゃね?」となる時が来ます。
そして、大事なのは新作を作る時間を設けて下さい。1日の内、何時間でも、休みの日の午前中は必ずその時間を作るとか。どんな状況でも大丈夫です。サリトの場合は、朝起きてからと、夜寝る前、1時間ほどこの時間を基本的に毎日設けています。そのタイミングで過去のボツネタとボツネタが、新しいアイディアに導かれたかのように集まって、一つの新しいアクトになる事があります。ボツネタが寝かせた事によって熟成したように、いつか実る時が来ます。なのでボツネタは財産なのです。この世に完全なボツネタは存在しないと思って下さい。
今回は長くなったので、まとめますと・・・
1、「気づく癖」「閃く癖」をつけるように心がける
2、アイディアをボツにする事を恐れない
3、一番浮かびやすい方法、場所、環境を探す
4、新作を作る時間を設ける
5、全てメモをする
これらのたった5項目を徹底して、気づき、閃き、発想、新しいアイディア、画期的な演出、使いたい音楽など、ガンガンとボツにして貯金を増やしていきましょう。誰にも真似できないあなたのショーがいつか作れるはずです。
わーわー言っていますが、お時間です。
でわ、またっ!!