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読書会『さるべーじ』

みなさん、はじめまして!
私たちはいま、「ひとつの物語を通して、自分の言葉を見つけていく小さなきっかけ」となる場を目指して、『さるべーじ』という読書会をしています。それまで活動報告やメンバー募集などを行っていなかったのですが、『さるべーじ』1周年ということもあって、この度noteにて紹介していくことにしました。

今後は、noteに活動の告知や報告を行なっていきたいと考えています!

では、さっそくですが読書会『さるべーじ』の紹介をしていきますね。


1. 読書会『さるべーじ』について

【正式名称】 
さるべーじ

【設立】
2020年7月

【代表】
ホリカワユウタ (慶應義塾大学文学部2年・男性)
メールアドレス: hy.Gonchan2763@gmail.com 
※問い合わせや参加の希望の連絡はこちらからお願いします!

【これまでに扱ってきた物語】
・カズオイシグロ『私を離さないで』
・宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
・ジョン・アーヴィング『ガープの世界』
・レイ・ブラッドベリ『華氏451』
・ロバート・A・ハインライン『夏への扉』
・レイモンド・カーヴァー『大聖堂』
・小川洋子『密やかな結晶』
・武者小路実篤『友情』
・カフカ『変身』

【メンバー】
 さるべーじには、都内の大学生やご退職された国語の先生がメインで参加しています。
普段は2〜3人で行うことが多いです。じっくりと対話を深めていきたいので、多くても人数は4人までで読書会をします。

学生だけではなく、誰でも参加できます!
普段本をあまり読まないけど、読書会のようなものには参加したいと思っている方や、物語を通して深い話をしてみたいと考えている方など、誰でも大歓迎です。
メンバーの募集については、後ほど詳しく紹介していきますね。

【活動日時】
月に2回(理想は毎週…)
参加者の予定を考慮して日程を決めます。読書会自体はいつも2時間くらいです。
5人以上参加を希望してくださった場合は、人数を分けて読書会をおこないます。

【活動場所】
主に東京の多摩地区で読書会をしています
・陶工房「己流庵」(平日)
・喫茶店(土日)

*コロナ禍ということもあってオンラインでやることも考えましたが、さるべーじではできるだけ対面でやっていきたいと考えています。

【活動内容】
さるべーじは、ひとつの物語を通して自分の言葉を見つけるきっかけとなる場を目指しているので、主に「物語」を読んでいきます(自己啓発やビジネス書を扱う予定はないのですが、今後、詩やエッセイを扱っていきたいと思っています)

参加していただく条件として、本を読んでの参加をお願いしております。
それ以外はいつも自由に、それぞれが話し合いたいことやその場で出てきた「問い」などをもとに話し合っていきます。
勉強会やディベートではなく、物語を通した対話なので、事前の知識や準備はとくに必要ありません!気軽にご参加くださいね。


2.読書会を始めたきっかけ


「きれい」「楽しかった」「美味しい」。感想を求められた時、私たちには言語化するさまざまな「言葉」が用意されている。
でも、本を読み終わった時の感覚は、言葉にしようと思っても、なかなかそれを言葉にするのは難しい。物語の中で言葉の海に飛び込んで、たくさんの言葉に出会ったはずなのに、いざその時の気持ちを表現しようと思っても、言葉が出てこない。もどかしい気持ちになる。
本を読んで、このような感覚を抱いたことはありませんか?

私自身、小さいころから読書が大好きで、生活にはいつも本がありました。待ち合わせのとき、公園、旅。物語の中ではいつも「ここにいていいんだよ」と言ってくれる友達や「もっと面白いものを見せてあげよう」なんてことを言ってくれる探偵がいて、物語があるから、私たちがいきる現実に対して、そんなに悪くないと思えるようになっていきました。それなのに、です。
それなのに、本を読み終わった時の感覚を言葉にできないもどかしさはいつもありました。友達に「おすすめの本を教えて」と言われた時も、喜んで大好きな一冊を紹介するのですが、話しているうちに物語のあらすじだけを話していたなんてことも結構ありました。どうして言葉にするのが難しいのか、それを考える日々が続きました。

そこで、思い至ったのが、読書会でした。読書会なら、言葉にできないもどかしさを解決できるきっかけがある気がして、それができなくても、少なくともこの気持ちを共有できるかもしれないと…。

それから、高校の同級生と話をしていた時に、前からやりたかった読書会をしてみようと声をかけて始めたのが読書会『さるべーじ』です。

3.なぜ、さるべーじなのか?


salvageとは、沈没船の引き上げ作業のことをいいます。
読書会とsalvage。もちろん本当のさるべーじが引き揚げるのは沈没船ですが、読書という行為には、読むことと同時に、言葉を拾い上げることでもあります。

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そして物語を読むことは、大海原への航海に似ています。時には溺れてしまって、物語から戻ることができなくなり、自分が今どこにいるのかわからなくなってしまいます。でも、耳をすませば、物語には登場人物の声や物語が伝えようとしている言葉で溢れていて、それはまるで海のようです。そんな言葉たちから自分にだけ訴えてくる声を聞いた時、私たちは「自分の言葉」を見つけるのではないでしょうか?
これが、どこか沈没船を引き揚げるさるべーじに似ていませんか?

物語という言葉の海から「自分の言葉」を見つけ出す。そこで、私たちはこの読書会をさるべーじと名づけたのです。


4.さるべーじが「自分の言葉」を大切にするわけ


読書会を始めてから、半年が過ぎようとしていました。お互いに予定があったり、コロナ禍ということもあったりと、なかなかできない時もありましたが、それでも、大体月に一冊、私たちは物語という深い穴の中で対話をしていきました。例えば、小川洋子さんの「密やかな結晶」を読書会で取り上げたときは、「モノの記憶とモノ自体が消えてしまうことの違い」を話し合ったり、レイモンドカーヴァーの「大聖堂」では、「盲人ロバートの髭を触る仕草」だけについて話し合ったりと、1人では気づかなかった問いを、読書会という場があったから、気づかせてくれました。

こんなに素敵な時間を共有できる読書会でしたが、2ヶ月ほど行えなかった時があります。
それは、決して忙しかったからとか、外出が制限されていたからなどではなく、私自身の個人的な理由からでした。年が明け、2021年になって、私は体調を崩してしまったのです。大切な家族や友達と話している時でさえ、どっぷりと疲れてしまう。そして理由もなく、落ち込んでしまう日々。
しまいには、大好きな読書も、文章を書くこともできなくなってしまいました。

そんな状態でしたが、2ヶ月ぶりくらいに読書会をしました。いつものように課題図書(この時はロバート・A・ハインラインの『夏への扉』でした)を読み、読書会に臨みました。

体調の悪い時にはうまく話せないことがよくあります。なんとか言葉を見つけて話しても、まるで自分の口から出た言葉ではないみたいに話してしまうことや言葉を見つけられなくて何も話せなくなる。そんなことがよくありました。
でも、この時の読書会では全く違いました。

物語を話し合いながら、最初はなかなかうまく話せなかったのですが、一緒に読書会をやった仲間の言葉を聞いているうちに、私が聞き逃していた登場人物の声が聞こえてきたのです。それはまるで訴えのようでもあり、励みのようでもありました。自分の思考の中では聞くことができなかった声が、読書会という場があったから聞くことができたのです。そして、私は語り始めました。それは誰かの言葉ではなく、紛れもなく「自分の言葉」だったのです。

読書会が終わって、今までが嘘のように、話すことができるようになりました。それはきっと物語が語ろうとしている声から自分の声を「さるべーじ」したのだと思います。そんな気づきを読書会が、同じ物語という深い穴に入った仲間が、教えてくれました。

これからも、さるべーじでは「自分の言葉で話す」ことを大切にしていきます!


5.読書会の流れ


さるべーじでは、後ほど述べる2つのグラウンドルールを除いて、決まりごとなどは設けておらず、物語を自由に話し合えるように心がけています。そのため、事前準備や知識などは必要ありませんが、読書会の前までに扱う物語を読んでおくことは前提です。

同じ物語でも、読んだ人や環境、時間によって感じとってくるものは違っています。それぞれが感じとってきたものを共有できるのが、読書会の醍醐味なので、参加をご希望される方は一読をお願いします。

読書会当日は、それぞれが、物語の深い穴の中に入って、感じたことや考えたことを話し合っていきます。この読書会でいつも楽しみなのが、それぞれの読み方が全く違うことです。時には、同じ物語なのに、そんなところを目につけてたの?って思うこともあって、なかなか面白いですよ!

それから、これは読書会さるべーじならではなのですが、人数は多くても4人以内でやっていきます。(ファシリが大人数を進行していく実力がないのもあるのですが)一人ひとりの発言を尊重したいことはもちろんのこと、それぞれの言葉に「聞こえていますよ」と、しっかり耳を傾けることを大切にしたいからです。人数が多いと、「誰が」言った言葉なのかが、うやむやになってしまいがちです。自分の言葉で話すことにおいて、入れ替え可能な「誰でも」ではなく、「誰が」という主体は、とても大切です。それは、「私が話している」という事実の重さとともに、自分の言葉に責任を持つという誠実さにもつながりますので…。さるべーじでは、どんなことがあってもこの人数にはこだわっていきたいので、大人数で話すのが苦手な方やじっくり話を聞きたい方、大歓迎です!


そんなさるべーじの読書会ですが、2つほどグラウンドルールを設けています。
1.人格否定や差別はしない
読書会は答えの出ない問いに対して考える営みですので、人格否定や差別は読書会に参加する言葉を愛する者にとって、全うな態度ではありません。もちろん、意見が違うことなんてしょっちゅうあります。ですが、自分の言葉と同様に、相手の言葉として受け入れることは、何に於いても誠実なことだと思います。

2.知のマウントはとらない
「パスカルが言うには…。」「〜らしいよ」
日常生活を生きている上で、ついつい大きな声をや権威のある人の発言をまるで自分の意見であるかのように言ってしまいがちですが、さるべーじでは、自分の言葉で話すことを大事にしているので、物語の中から自分の声を見つけてほしいのです。それに、読書会はディベートではなく、あくまでも「対話」なので、勝敗や答えのようなものはありません。誰かの言葉ではなく、自分自身の言葉で話すこと。それを実践できる場にしたいと思います。

6.メンバー募集


ここまで読んでくれてありがとうございます!
きっとここまで読んでくださった方は、ちょっとでも読書会「さるべーじ」に興味を持っていただけたと勝手に思っています!

そこで、さるべーじでは、メンバーを募集します!

現在、メインで参加しているのは学生ですが、読書会さるべーじは、大学のサークルではないので、そういった縛りはありません。さるべーじの活動に共感してくださった方や、読書会に興味がある方、深い話をしてみたい、など広く募集しております。
【連絡先】 hy.Gonchan2763@gmail.com
※3回以上参加してくださった方は、正式メンバーとして次の会の本を選ぶことができます〜

まだまだ色々なことを試しながらですが、だからこそ、メンバーになったら、自分の好きなようにできるという魅力もありますよ!

ひとつの物語を通して、自分の言葉を見つける

豊かな言葉が広がる土壌を一緒に作っていきませんか?ぜひ、ご参加お待ちしております!


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