元優等生より愛を込めて

いっぱいいっぱい頑張って走って、ガソリン切れになっちゃった子はどうしたらいいのかな

世に言うサクセスストーリーって、落ちこぼれだった人が、人並みもしくは、それより先に行けることを言うと思うし、そういう意味で出来ない人を励ましてくれる。
一方、なんでもそつなくこなせて順調に社会を渡っていける人はそれでいいと思う。素晴らしいことだと思う、正直羨ましい。

じゃあ、優等生だったのに、ちょっとしたキッカケでゴロゴロ坂道転がり落ちちゃったもと優等生はどうしたらいいんだろう。

これはわたしの話でもあるし、わたしじゃない誰かにも十分当てはまる話だと思う。

自分で言うのはなんだけれど、俗に言う優等生だった。
たぶん努力することが苦じゃなかった、勉強をすることも楽しかった、勉強ができる家庭環境に恵まれていた。まああとはぶっちゃけ勘が良かった。先生や両親、大人が求めるものを読み解くセンスがあったのかもしれない。
いろんな理由があると思うけど、小学校では常にテストの点は9割以上、体育も人より出来たし、たくさん◎が並んでいる成績表を他の子から羨まれた。
中学高校に入ってからもそれは変わらず、苦手な科目もあったものの、勉強量でカバーできた。
5で埋められた成績表を、先生からの褒め言葉で飾られた成績表を、両親に渡しては褒められるのが最高に嬉しかった。自分でも頑張った分の成果が出てると思っていたし、自分は無敵だと信じて疑わなかった。

「人間、努力すればなんだって叶えられる、結果が出ない人は自分に甘いんだよ。」

こうやって本気で思っていた。そんなことを公言もしていた。

でも、努力だけじゃどうにもならない、ちょっとしたきっかけで転落していくことを、大学受験の時に知ることになった。

まあ有り体に言えば、大学受験に失敗したのだ。当日熱を出したわけでも、お腹を下したわけでもないのに、いつもの半分程度しか点数が取れなかった。
センター試験の次の日、高校でみんなと自己採点しているとき、やばい、なんて感想なんか出てこなくて、ただただ頭がクラクラした。
私がこんな惨敗だったんだ、周りだって、平均点だって、きっと低いだろう、と思った私の勘は、半分当たって、半分間違ってた。
確かに平均点は例年より低かったけれど、きちんと点数が取れている子は取れていた。

あんなに努力したのに、私頑張ったのに、どうして、どうして、どうして、
家に帰れない、母になんて言おう、国立が絶望的、センター利用もこんな点数じゃできない。

泣きそうだったけれど、やばいわぁ、と友達には笑ってみせた。
それからどうやって家に帰って、なんて母に報告したのかはもう覚えてない。

まあそんなこんなで、浪人が決まった。
私の友達は、皆ほぼ第一志望に合格していた。

他にも何人か私と同じ、もしくはもっと辛い思いをした子達もいた。
彼女たちも頑張っていた、だけど、結果がついてこなかった。

浪人が決まって、みんなにそれを報告して、親とこれからの一年について相談しているとき、親は全く心配していなくて、アンタなら大丈夫、東大だって行けるよ!と言われた。

わかってもらえていなかった。

過呼吸になるまで泣いた、最大限努力したのに、それが叶わなかった。
今までとは全く違うシナリオ、それがどんなに不安なことなのか、わかってもらえなかったんだ、と悟った瞬間、なにに対してかもわからない涙が出てきた。

そのあと一年浪人して、大学生になった。第一志望には受からなかった。
2回目の不合格通知には、涙も出なかった。優等生は、消えた。

とても辛かったな、と思う。今思い出しても涙が出ちゃうワ!ウフフ!って感じ。

私は、大学生活は無気力だったけれど、周りに恵まれて、そこそこ立ち直れたと思う、生きてて良かったとおもうくらいには、元気。

だけど、そうなれなかったら…と考えるとゾッとする。

無気力になってしまった原因はきっと色々あったけど、一番の原因は、自分でかけた呪いだ。


「努力は必ず叶う、結果が出ないやつは自分に甘いんだ」

そんなことなかった。


きっと、この長ったらしい文章をここまで読んでくださった方の中には、正しい努力をしなかったのでは?とおっしゃるかたもいるだろう。

私の中の誰かも、もうかれこれ四年間くらい、ずっと同じことを言っている。

でもね、

なんとなくなんだけど、
あの呪いに疲れちゃったんだよね。
って、今の私はあの時の私に言いたいなと思う。

頑張ってきたんだよ、今まで。
優等生でいて、素行も良くしてたし、褒められるように、自分が無敵でいられるように、ずっとずっと一生懸命走ってきたんだよ。
もうガソリン切れなんだ、ガソリンスタンドとか行ったことないからどこにあるかもわからないんだ、
最初から頑張らなければよかった、力を温存しておいて、後から追い上げて成功するシナリオを書けばよかった。

こんなふうに、ちょっとしたつまづきで、もしくは一度きりの大失敗で、もう走れなくなってしまった子は、どうしたらいいのかな。

きっと、沢山こういう思いをしている人はいると思う。
そしてきっと、無気力になってしまった自分を、自分に期待できなくなった自分を、正しい努力ができなかったのかもしれない自分を、呪っていると思う。

キッカケは勉強じゃなくてもいい、ヤバい異性につかまった、両親が離婚した、兄弟がドロップアウトした、親友と喧嘩した、、多分、キッカケなんてなくて、ただ突然飽和してしまう人だっていると思う。

わたしたちは、どうしたらいいのか、どうやったら、また自分を認められるのか。

失った自己肯定感を取り戻すべく、どうしたらいいか考えたりしたいなと思う。わたしにも答えはわからない。
誰か、答えがわかる人がいたらどうか教えてほしいなと思う。



記念すべき第1回目の投稿は少し暗いなあ、なんて。でも、今のわたしを作っているのは、間違いなく、無敵時代の私と、挫折で自己肯定感を打ち砕かれた私なのです。

少しずつ、思っていることを形にできたら、いいな。



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さとうの塩漬け
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