幸せな介護職の作り方。 [ノウハウ編]
全国の介護職員の平均年収、約350万円。
全産業の平均年収、約440万円。その差はおよそ90万円。
命を預かる仕事。
誰かの人生に深く関わる仕事。
誰かの助けがなければ生きていけない人々に、自らの手を直接差し伸べる誇り高き職業、それが介護職員だ。
しかし、その実態はどうだろうか?
「やりがい搾取」といった言葉に代表されるような低賃金、重労働、不規則な勤務形態などの厳しい環境下で働く介護職員の話が、一部のメディアやSNS等でも取沙汰されている。
介護人材の不足は今や社会問題だ。
こうした状況を背景に人知れず焦りをかかえる業界人も多い。
「転職」か「独立」か。いや、その前に考えることがあるのではないだろうか?
そもそも「働いてお金を稼ぐ」ということは、私達が幸せに生きていくために、どういう意味を持つのか。
今回は誰もが忙しい中に忘れてしまっている「働く」という本質的な営みについて、皆さんと一緒に、深く深く掘り下げていこうと思う。
*
「介護の仕事…?」
「…きらいじゃないよ。
どうしても介護職がよかったわけでもないけど、やってみると嫌な事ばかりではないし…やっぱり、人から感謝されるのって嬉しいし」
「給料は決して高くないけど、夜勤手当もつくしそれなりに生活はできてるわけで」
「このままいつまでこの仕事ができるかって?
そりゃあ、体を使う仕事だし不安はあるさ。でも、今はリーダーも任されていて自分ばかりキツイなんて言ってられないんだよ」
「先の事は分からないけど…今の仕事のほかに自分に何ができるんだろって…正直わかんないから」
年齢にして30代後半から、40代前半。
就職して5~10年以上の中堅職員と言えば、介護施設で言うならフロアリーダーを任されたり、居宅系のサービスなら、相談員やケアマネジャーといった役職に配置されることも多いだろう。
部下もでき、それなりの責任も感じる時期にさしかかっている。
時に自分の時間を犠牲にして、仕事のことを考えている者もいるかもしれない。
日々の暮らしの中心に仕事がある。
「ワークライフバランス」といった言葉に一抹(いつまつ)の疑念を抱きつつも、やるべき仕事をこなさなければいけない。
「中間管理職とはこういうものなんだろう」
そうやって自分を納得させている者も居るかもしれない。
しかし、こうした思考の着地点はいつも同じだ。
「私は今のままこの仕事を続けていて、本当に幸せなのだろうか?」
このぼんやりとした不安は、言葉だけが宙に浮いたまま、ふわふわと常に頭の片隅にちらついている。
そう、そんな介護職員に今回の記事は贈りたい。
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今回、私「さんかくしおハッカ」は、”たけのこ社労士”こと「おかげさま社労士事務所」代表の山本武尊(やまもとたける)さんと”介護職の幸せな働き方”について徹底的に話し合う機会を得ることができた。
山本さんは社会福祉士、介護支援専門員として地域包括支援センターで働きながら、社会保険労務士やファイナンシャルプランナー(FP)といった資格を取得し、令和3年にはなんと現職を維持しながら個人事業主としての道もスタートさせた。
そんな”たけのこさん”(Twitterでの愛称がお馴染みなのでそう呼ばせていただく)の監修のもと、現代の介護職員が身につけるべきキャリアアップ方法や、特に中堅職員として組織内の地位を固めつつある介護職に対する人生設計(独立、起業など)についてひとつの記事をまとめあげることになった。
今回の記事はまさに、冒頭に列挙したような自問自答を繰り返している、そんな貴方にこそ贈りたい。
一般的には、薄給で、重労働、ストレス過多な職場とイメージされやすい介護現場において、一人の介護職が希望を持って働けるような、そんな道しるべのような記事になれば幸いだ。
今回の記事を執筆するにあたり、たけのこさんと記事の構成を何度も話し合った。
その中で、まずは具体的なアクションプランを提示していく「ノウハウ編」と、人生を豊かに生きるための土台となる価値観を解いた「哲学編」に分けることが、記事としてのまとまりも良く、読者のみなさまの理解も得やすいのではないかという結論に至った。
今回はその第一部「ノウハウ編」と題して、冒頭のような悩みを抱える全ての介護職員が実践するべき具体的なアクションプランを項目別に解説していきたい。
通常なら、山本さんのクライアントでもない限り聞くことのできない”たけのこ社労士”の丁寧な見解を余すところなくお伝えしていくことが、今回の私の使命なのである。
それでは、ぜひこの先を読み進めてほしい。
まるで霧が晴れていくように、自分の思い描く未来に光が差してくることだろう。
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