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<続>“ヘビ遠足”の学びが年賀状デザイン制作にどう繋がったのか?を探ってみた

今年の1月に、社内のデザイナーが中心となって開催された“円山動物園へび遠足”。この記事から約8ヶ月が経ちますが、この時の学びが年賀状サービスを運営するソルトワークスの実務にどうつながったかについてお届けします!


1.遠足後のデザイン制作の流れ

動物園見学によって生態への理解を深め、ヘビへの愛着さえ沸いた参加者たち。
ヘビを主役とする巳年年賀状のデザイン制作は2月頃から本格的にスタートしましたが、それぞれがヘビ遠足で得た知識や体験を活かして制作に向き合いました。

ヘビ遠足に参加できなかったメンバーも、参加者の話を聞いたりnoteの記事を読んだりすることで「なるほど」「面白い!」と感じた部分も多かったようです。

年賀状制作のスケジュールはざっくりと以下のような流れ。

     1月 ヘビ遠足
2月〜3月 デザインの数や制作の方針決め
4月〜5月 第1期制作
6月〜7月 第2期制作
    8月 第3期制作
  10月 年賀状サイトオープン

第1期〜第3期の制作期間内で、グラフィックデザイナー各々が設定した目標数を目指し年賀状デザインを制作していきます。

個々のデザイン制作は
【ラフ作成→本制作→テンプレートとして成立するようにデータ整理】
という一連の流れを、アートディレクターやチェック担当者とのやり取りをしながら進めていきます。

各制作期間中は、デザイナー同士で週1回デザインを見せ合う場(レビュー)が設けられています。お互いに意見を出したり、アートディレクターからフィードバックを受けたりし、修正へと繋げていきます。

年賀家族」や「つむぐ年賀」はデザインそのもののクオリティはもちろんですが、テンプレートの豊富さも魅力の一つ。お客様がデザインを選びながらワクワクできるよう、多種多様なデザインがサイト上に並ぶことを意識して制作に取り組んでいます。
レビュー時には、似た雰囲気のものばかりになっていないかも注視し、デザイン全体のラインナップも調整していきます。

また、社内全体に声をかけてデザイナー以外が参加するレビューも実施。マーケティングやカスタマーサポートといったさまざまな視点で意見を出し合うことで、よりお客様目線での商品作りを目指します。

2.実際のヘビデザイン(今年の新作)

では一体どんなヘビデザインが出来上がったのでしょうか?
今年(巳年)の新作デザインは各サービスで数百にのぼり、つい最近サイトがオープンしたばかりの「年賀家族」とアプリ「つむぐ年賀」で販売中です。

今回、その中でも特にヘビ遠足の学びや発見が活きたデザインをピックアップしてご紹介します!

🐍しめ縄はヘビを模したもの

しめ縄はヘビが由来しているという話を参考に制作したデザイン。パッと見ではわからないがこっそりヘビが隠れているので、思わずうんちくを話したくなりそう♪


🐍ヘビの習性によって口の形が異なる

ヘビは種類や習性によって口の形が異なり、正面から見ると口の形が「へ」の字でとっても可愛いのだそう。アヒル口のような愛らしいヘビに癒される1枚。


🐍ヘビの目は想像以上につぶらな瞳で可愛い

鋭い目つきのイメージが強いヘビだが、実物は意外にもつぶらな瞳で可愛い印象。大きめ&まんまるを意識してヘビの目を描くことで、ポップなイメージのデザインに。


🐍細かな背骨のおかげで体がくねくねと曲がる

ヘビは200個ほどの背骨を持っているので自由自在に体を曲げて動き回ることが可能だそう。そんな特徴を意識して、ぐるぐると動くヘビをたくさん配置した賑やかなデザイン。


🐍「指ハブ」なる沖縄の郷土玩具がある

ハブの口に指を入れて抜こうとすると逆に締めつけられて抜けないおもちゃ「指ハブ」。見学の際にガイドの方からお土産としていただいた指ハブをヒントに生まれたデザイン。


3.デザイナーの声

前回のヘビ遠足記事でインタビューに答えてくれたデザイナーのサヨエルマチネに、実際の制作を振り返ってもらいました。

───ヘビ遠足での学びはデザイン制作に活かせましたか?

サヨエル:ガイドさんが金具を用いたヘビの模型を見せてくださったのですが、おかげでヘビの骨格への理解が深まりました。
ヘビって軟体動物ではないのに、200個近くある背骨のおかげで自由自在に動けるんです。そのくねくね曲がる体のつくりを知り、デザインにも活かせそうだなと見学時から感じていましたが、制作時もかなり参考になりました。

マチネ:具体的な知識ももちろんですが、ヘビ遠足によって自分自身のマインド面にも良い影響がありました。
元々ヘビは好きでしたが、よりヘビ愛が増したので“ヘビが魅力的に見えるには?”をこれまで以上に意識するようになりました。
社内レビューで“ニョロニョロしている姿が苦手”と意見をいただいた時も、逆に可愛く見えるニョロニョロってなんだろう、どうすればユニークに活かせるだろうとポジティブな方向に考えながら制作することができたと思います。

───1番ヘビ遠足の影響を受けたご自身のデザインを見せてください

サヨエル:とぐろを巻いたり、前進するために波打ったり(蛇行)、体を自在に操るヘビの姿から着想を得て作ったこちらのデザインです。
「年賀家族」のデザインには、幾何学模様や具体的なモチーフを抽象化して表現したものが多くありますが、ヘビを模様に例えたら面白いのではと思い描きました。
ヘビの目の色が多種多様ということも知り、デザイン上でもヘビの色はシンプルな1色に揃えて目の色をカラフルにしました。ちょっとしたことですがアクセントになっているかなと思います!

(design by サヨエル)

マチネ:ヘビの生態を知って、隠れ上手だという特徴を表現したこのカモフラ柄デザインが私のイチ推しです。
ヘビが展示されたケージを覗きながら、「どこにいるんだろう?」「いたいた!」という参加者たちの会話を耳にしてインスピレーションを受けました。
ヘビのクールな雰囲気を意識して、ヘビだからこそ説得力のあるデザインに仕上げることができたと感じています。

(design by マチネ)

4.制作現場のウラ話

誰もが使いやすいヘビデザインを目指して

年賀状デザインにおいて巳年や辰年は鬼門と言われるほど、ヘビや龍のグラフィックを苦手とするデザイナーは多いそう。(こわさや不気味さを感じるのかお客様からの人気も他の干支に比べるとあまり良くないとか)

ヘビ遠足で学んだことや個々が感じたことに加えて、デザインチームでは以下の共通認識を持って取り組みました。

・ヘビの怖さや気持ち悪さが出ないようにする(特に目は注意)
・文字をグラフィックに取り入れる際は漢字の「蛇」は使わない

ただ一方で、元々ヘビに可愛さや愛着を感じていたメンバーも多かったデザインチーム。一般のお客様の中にはヘビに苦手意識を持っている方も多いはずなので、そんな方でも「可愛い!」「怖くない!」と思ってもらえるように、社内の“ヘビが苦手な人”を集めたレビュー会を実施しました。

「目が赤いと怖さを感じる」
「鱗がちょっと気持ち悪いからもう少しリアルさを無くしてもいいかも」
「このデザインのヘビなら可愛いかも、逆にこっちは怖い」

ヘビが苦手だと感じる人たちのリアルな声に耳を傾けることで、また新たな気づきを得ることができたデザイナーたち。レビュー会で出た意見をもとに修正を重ね、より親しみやすい可愛いヘビデザインに仕上げることができたようです。

<Before>

例えばこちらはラフ(Before)からレビューと修正を経て最終デザイン(After)に。テーマはメデューサだが、怖い印象を受ける人もいたので「ユニークなアイデアは生かしつつ怖くならないためにどうしたらいいか?」を意識して修正を重ねました。

<After>

ヘビの数を調整しうじゃうじゃ感をなくす、コミカルさや可愛らしさをヘビの表情やタッチで表現、などによってポップで柔らかい雰囲気のデザインに仕上がりました。


巳年のネガティブイメージに変化あり・・?

“巳年のデザインは難しい” 
“ヘビデザインは人気がない”

昨年の時点ではどことなくそんなネガティブイメージが漂っていたデザインチームですが、ヘビ遠足に行ったことで制作期間前からヘビデザインの制作が楽しみになっていたメンバーも多かった様子。

実際に制作期間に入ってみると、想像よりもポジティブなイメージのヘビデザインがたくさん出てきました。
今期は写真を入れないイラストのみのデザイン制作も例年以上に力を入れましたが、ヘビが堂々と主役をはれるデザインを多数生み出せたことは、デザインチームにとっても自信に繋がったようです。

ヘビの魅力的な部分を見つけてそれをデザインに活かそうという意識がひとりひとりに芽生えたのが、結果として良い制作に結びついたのかもしれません。


ヘビ遠足が実務に存分に活かされたことを知っていただけたでしょうか。

ヘビが好きな方はもちろん、苦手な方でも思わず手に取りたいと思えるデザインを多数取り揃えた「年賀家族」と「つむぐ年賀」は、10月1日(火)に無事にオープンいたしました!

今年もたくさんの方の大切な年賀状づくりをお手伝いさせていただきます。
ぜひ実際のウェブサイトやアプリをご覧ください。