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自分で考えずとも幸せになる道を用意してくれるシステム。(言いなりで良いのか?)


(※PSYCHO-PASSシリーズのネタバレを含みます)

あなたの “幸せ” を教えてくれるシステム

PSYCHO-PASSという作品に登場する〝シビュラシステム〟というものがある。

© サイコパス製作委員会
精神の健康状態・個人の能力を最大限生かした職業適性を示し、人々が最適で充実した人生を送れるように支援を行う包括的福祉システム。
(https://twitter.com/lichtfreude1/status/1277076109830483968?s=21&t=xuMMqTe9yB7oQEWQth8Ffw より)

このシステムは、衣食住も就職も結婚も、絶対に幸せになれる道を割り出してくれる。自分で考えて選ぶ必要がないということに魅力的を感じる人も多いかもしれない。

しかし当然ここで、『果たしてそれは本当に幸せなのか?』という問いが生まれるわけである。

思考停止の幸せ

考えるということは労力を使うし、とても大変なことだ。だから考えることをやめたくなる。PSYCHO-PASS 3期では「認知負荷」ということがテーマとなる回がある。
脳は判断を行う際に負荷がかかり、それを苦痛に感じている。これを「認知負荷」というが、それによって脳は1日でかなりのカロリーを消費している。だから脳は常に楽をする、考えないようにする、という方向に向かっていきがちなのだ。
つまり、思考停止することはとても楽なことだし、本能的であるとも言えるかもしれない。

© サイコパス製作委員会



シビュラの言いなりで生きるのか

シビュラシステムは、表向きにはAIというような説明になっている。しかしその正体は、人間の脳を繋ぎ合わせた超知能であった。ただ、AIにしても人間の脳にしても「超知能」による支配であることに変わりはない。
こうした世界観は「マトリックス」などでも描かれてきた。そこで毎回テーマに上がるのが、幸せを何と捉えるかという議論である。

システムによる支配を受け入れ用意される幸せを享受するか、それとも支配ではなく自由を幸せとするか。

前者はシビュラシステムに依存した社会であり、後者は4期以降シビュラの崩壊後に訪れるかもしれない社会である。
自由を幸せとするなら、悩み、自らで選択し、不確定な未来を歩むということになる。それは大変でしんどいことだ。しかし、考え、悩み、選ぶことに意味があるのではないかと私は思う。

© サイコパス製作委員会



しかしPSYCHO-PASSの世界では、人は自分で考えるという行為をことごとく奪われてきた。そうして楽をしてきた人は、果たして「自分のことを自分で選ぶ社会」を選ぶことが出来るのだろうか?4期以降の展開に期待しよう。


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