移民のせいにすんな
前回、移民のことでMAGAが仲間割れしていることを書きました。
この記事が簡素に成り行きをまとめています。
が、具体的ではないですね。
批判しているのはMAGAだけではないんですよ。多くの米国人が批判しているのです。自称リベラルな方々も意見が割れています。日本人の多くは、合法的で大卒以上の移民がどうしてそんなに問題なのか?と不思議に思うことでしょう。
というわけでその辺を説明します。個人的な見解です。
私は米国人との婚姻によるグリーンカードという、ビザの面からすると楽なコースですが、他人のビザの状況など米国人には知ったこっちゃないですから、米国籍になった今でも一時的な「移民」と同じような扱いされがちです。
日本の大学院をドロップアウトしてこっちに来たので、米国の教育は受けたことがなく、それがコンプレックスにもなっていますし、若い頃は言語で苦労もしました。今でもネイティブと同じようにはいきませんので、仕事の文書などは苦労します。AIのおかげでだいぶ助かるようになりましたけれどね。それ以外にも文化的にこっちの人には当たり前のことがわからなかったり、色々と大変なんですよ。失敗もたくさんします。
移民になるということは、ビザのステイタスがどうのってだけでなく、様々なチャレンジを乗り越え、一生「移民」として異質な扱いを受け続けながら生きるってことなんです。もちろん思いっきり差別される事もあります。
それでもなぜそうするのか。
答え:自分の出身国より良いから。
私の場合は団塊ジュニア氷河期女性という、若い時にまだまだ男尊女卑社会で詰んでいたのが大きいわけです。日本人は綺麗におしとやかにして痩せろプレッシャーがあり、女は家庭に入る前提でうまくいきませんでした。笑
諦めて自由奔放な私を何の疑問もなく応援してくれたのが今の夫だったわけで。(かわいそう)
私にとっちゃ、アメリカ人の適当さはありがてえんだ!
しかしそんな適当なはずのアメリカ人たちの移民批判が大きくなったのは、どうしてなのか。
答え:移民の質が上がったから。
どうしてイーロン・マスク氏やヴィヴェック・ラマスワミ氏のH-1Bビザ(会社が提供する米国人で埋めることができない仕事をする人のための大卒以上の労働ビザ)擁護が批判されているのかというと、そのビザでやってくる移民の多くがインド人ITエンジニアだからです。
労働ビザをエサに特別優秀でもない安いインド人を釣って、過剰に労働させ、米国人の仕事を奪い、労働賃金を下げているという批判なのです。
確かに明らかにインド系のIT会社が不正にそういうことをやっているとしたら問題ですし、法的に是正しないとならないでしょう。
しかしH-1Bビザは別に天才用のビザではありません。他の業界のプロフェッショナルも使います。私が働いている建設業界では、米国の大学や大学院を出た留学生が卒業後に申し込むケースもあります。医療系もそういう方が多いのではないでしょうか。もちろん天才も使うことがあります。教育機関でもH-1Bの人はたくさんいらっしゃるでしょう。それでも抽選に外れて泣く泣く帰国する人も多いです。
なぜそんな残酷なビザがあるのか。私はそっちの方が疑問です。
そしてなぜH-1Bビザばかりを批判するのか。
どのビザも何かに紐づいていますので、ビザが労働環境悪化の問題になっているというのなら、全ての移民を批判するべきです。
なんだかんだ言って、いつもの「優秀なアジア人」を叩きたい現象なのでは?羨ましいだけでは?と言われても仕方がありません。
どうして米国人が必要な職業に足りないのかというと、仕事の場所を転々としたり、パッとしない地味な仕事をしたがらないというのがあります。そういうところで下積みして這い上がるよりも、どんどん転職して華やかな世界で高所得になりたいというトレンドになったのです。確かにスタートアップやビジネス界ではそうかもしれません。
しかし実際の世の中は地味な仕事をちゃんとこなす人間の方が大量に必要です。
インド人のITの方々も、そういうところをやってくれているのでしょう。もしここを米国人に置き換えられるのであれば理想的ですけれどね。
仕事を奪っている!と文句をいう米国人に、「じゃあどうぞ。給料も上げます」って言っても、たぶんやりたくないと言うのではないでしょうか?
米国は歴史的に移民でエッセンシャルワーカーを補ってきた国です。だからいわゆる「不法移民」にも目をつぶってきたわけです。ビザの問題は確かにありますが、使われ方の問題であり移民のせいではありません。
そして自分もそうですが、移民の多くはコネが無いところからのスタートで一生不利です。だから多くは必死で働きます。白人移民でもです。英語圏の白人カナダ人やイギリス人とも働いていますが、彼らでも人一倍頑張る傾向があります。別に会社にビザを人質に取られているからではありません。仕事を変えようと思えばできる立場の移民もたくさんいます。
ここは米国人に申し訳ないと思います。
なのでできるだけ怠けるようにしています。笑
もう一度言います。