思い出話:ヴィレヴァン

ヴィレッジヴァンガードという、雑貨てn……書店を知っている人は多いと思う。
そう、あのなんだかごっちゃりしている店は、ああ見えて書店だ。
最近はイオンモールに行ったらテナントとして入っている店というイメージがある。

どうも最近は業績が思わしくないとのことで、ライブドアニュースにも取り上げられていたので(記事のリンクを置いておく)かつて私が足を運んでいたヴィレヴァンの思い出話をしようと思う。

私が高校生だった10数年前、ヴィレヴァンは学校帰りに時々行く大津パルコの(滋賀にパルコがあった時代の話だ)めちゃくちゃ上の階に入居していた。
エレベーターかエスカレーターでめっちゃ上まで行かないといけない店で、しかも入り口にはシルバーのゴツいアクセサリーとかボディピアスとかジッポとかがガラスケースの中にディスプレイされていた。
店の中の方も薄暗くごちゃごちゃしていて、アングラみの漂う店構えに恐れおののいた田舎育ちで当時一年生の私は、尻尾を巻いて帰ってしまった。

翌日、友人にその話をすると、地元民の彼女は「あそこはただの雑貨屋だ、そんなに怖い場所ではない」と笑い飛ばし、それでもまだビビッていた私を放課後にまたパルコに連れていった。
彼女についていく形で店の中に入っていくと、薄暗くごちゃごちゃしているのは間違いなかったが、なんともユニークな商品があふれ返った場所だった。
アミューズメント用みたいなめちゃくちゃデカい箱に入ったデカくて長いポッキーとか、その辺のコスメショップでは見かけないようなエッジの効いた色と香りの入浴剤、キャラクターもののアイテムの数々、電源を入れると虹色に光る加湿器、正直使いづらそうなデザインの文房具、そしてややマニアックなテーマを取り扱った本や漫画や写真集やCDなんかが、派手で目立つPOPと共に所狭しと並べられている。
いや、並べられているというよりは、詰め込まれていると言った方が状況としては適切かもしれないくらいに、フロアや棚の面積に対して多すぎるのではと思うほどの商品がそこにはあった。

「誕生日プレゼントとか探すのにいいよ。面白いものも多いし」
まるでコンビニの商品を選ぶくらい普通の顔をして、友人は言った。
結局そのときは、何か珍しい海外のお菓子(ハリボーの珍しい味か何か)を買って帰ったような覚えがある。

そのうち店構えにも慣れてくると、私はひとりでヴィレヴァンに入れるようになった。
部活に入っていたので、仲間や先輩へ誕生日プレゼントを用意するときに、ヴィレヴァンで少し変わった雑貨を選ぶようになった。
先輩が引退するときには同級生たちと共にヴィレヴァンに行き、ふたつ並べると手をつなぐような感じにできる、ペアのマグカップをプレゼントに選んだ。
逆に私の誕生日に、ヴィレヴァンで見繕ったらしい意味の分からない色のバスボムや、巨大な箱入りのお菓子なんかをもらうこともあった。
何か少し刺激がほしい気分のときには、用もないのにヴィレヴァンに足を運んだ。
ごちゃごちゃした店内で、POPや商品を眺めているだけで楽しかった。

高校を卒業すると、私は県外の大学に進学した。
わざわざ途中の駅で降りて少し歩かないといけないし、大学でも部活に入っていて帰宅が遅いので、大津パルコには行かなくなった。
同時にヴィレヴァンにも行かなくなった。

社会人になってしばらくした頃、大津パルコは閉店した。
今は何か全然別な名前の商業施設になって、そこにヴィレヴァンは入居していない。




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黄瀬白玖
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