文劇前日
『舞台「文豪とアルケミスト」戯作者の奏鳴曲』。
二月の東京公演を駆け抜け、この週末の大阪公演でフィナーレを迎える。
六作目になる今作の主演は、織田作之助。
私の"推し"である北原白秋も今作の出演メンバーに含まれており、劇場に足を運ぶ予定をしている。
『舞台「文豪とアルケミスト」』は、いわゆる2.5次元と呼ばれる舞台作品だ。
通称は"文劇"。
ゲームを起点とする「文豪とアルケミスト」のメディアミックスのひとつでもある。
私は三作目『綴リ人ノ輪唱』が、生観劇の最初だった。
それまでに別作品の2.5次元舞台はライブビューイングで観ていたが、実際に劇場で観たときの衝撃は忘れられない。
『綴リ人ノ輪唱』の上演は2020年9月。
コロナ禍の真っただ中で文化芸術の存在意義を問うた本作品は、まさか2.5次元で取り扱う内容なのかということも含めて賛否もあったが、私としては非常に好ましかったと思う。
内容についてはあまり触れないようにしたいが、このときは白秋先生の『桐の花』を入れたカバンを抱きしめてガタガタ震えている私を、友人が劇場まで迎えに来てくれた。
ありがとう友人。
来てくれなかったら多分劇場から家までの間で死んでた。
舞台作品を観に行く人の目的はいろいろあると思う。
物語自体が好きな人、出演キャストのファンの人、2.5次元であればキャラクターのファンの人、あるいは演出が好きな人。
文劇において私は『キャラクターのファン』にあたる。
次点で物語と演出が好きだ。
ときに今回、東京公演を観終えたファンのうち、私と同じく北原白秋を推している人たちが、何やら軒並み精神的ダメージを受けているようである。
どうしたのかと尋ねても「何を言ってもネタバレになるから言えない」と言われてしまう。
え、なにそれ、怖い。
これは私もダメージを受ける覚悟をして行かないといけないのか?
三作目のときのように『桐の花』を持っていくか?
(何の精神安定剤にもならないが)
なんだか落ち着かない気持ちのまま、明日ついに観劇日を迎える。