「ボーはおそれている」
不愉快 ☆☆★★★
喪失感 ☆★★★★
虚無感 ☆☆★★★
監督 ★★★★★
私が映画史上最も敬愛するアリアスターが監督、脚本、原案を務めた長編映画。3作品目にしてホアキン・フェニックスとA24の最悪のタッグが実現した大出世作。
強迫性障害を患う男性ボーと毒親の共依存を描いた不条理ハートフルコメディ胸糞ホラーです。(強迫観念から来るであろう)妄想と現の曖昧な境界線の綱渡りをしながらボーの恐怖心を覗き込む極めて悪趣味な作品です。これは現実なのか妄想なのか分からなくなり、進んでくストーリーと反して理解が追いつかず置いてけぼりにさせられるアリアスター監督の独特すぎる世界観には相変わらず頭が下がります。
約3時間の視聴後、得たものは喪失感。1800円で買える地獄。3時間の悪夢を見せられる一種の加害行為。心のざわつきと追いつかない頭の整理でため息すら出る始末。この人の映画観た後はいつもこうだ…と思いながらも、ブレないアリアスター節に惚れ惚れ。前作とは違ったアプローチの仕方にも新鮮さを感じました。
A24が巨額の制作費を投じてアリアスター監督に自由に映画を作らせたところ、このやりたい放題っぷり(本人はホラー映画を作っている自覚は無し)
そしてアリアスター作品の楽しみ方として欠かせないのが作品中の『映画探し』
有名タイトルから監督が影響を受けた作品まで、毎回いろんな映画のオマージュを各所に隠しています。ミッドサマーではかなり分かりやすく大体は見つけられましたが、悔しいことに今回はほとんど見つけられず…。
公式サイトの解説ページにてオマージュ作品の答え合わせやストーリーの詳しい解説が載っているので、必ず本編を視聴してから見てくださいね!