「マジカルガール」
ストーリー構成 ★★★★★
虚無感 ☆☆☆★★
鬱 ☆★★★★
グロ ☆☆☆★★
総評 ☆★★★★
白血病の少女と失業中の父親のお話です。
日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファンである娘、アリシア。彼女の憧れはユキコのコスチュームを着て歌って踊ること。白血病で余命が僅かな娘のためにとても高額なコスチュームを買ってあげたいと思う父、ルイス。
失業中の身であり当然そんなお金も無いルイスは意を決して宝石店への強盗に向かいます。しかし強盗を決行しようとした直前、精神疾患を持つ人妻バルバラという女性に出会います。
バルバラと身体の関係を持ったルイス。千載一遇のチャンスと考えたルイスは身体の関係を持った事をエサに、「旦那にバラされたく無ければお金を用意しろ」と脅迫。バルバラは何とかまとまったお金を用意しようとしますが…
あらすじはこんな感じ。
実際はキーとなる人物はもう数人おり、様々な人たちの過去のしがらみや欲が渦巻いて取り返しのつかない事になっていきます。これがもう観てられないくらいキツい。
『娘のために強盗する』という前提がもう不幸。そこからのバッドエンドルートは約束されたも同然、誰が観ても結末は絶望と分かっていても観続けなければならない苦痛。シンプルな鬱エンドの作品とはまた違うベクトルでメンタルを壊しにかかってきます。
そして何よりこの映画は観る側へ解釈を委ねるシーンが多いです。視聴後理解できなかったり腑に落ちない箇所はぜひ自分なりの解釈をしてみてください。
話は変わりますがこの作品、監督カルロス・ベルムトは江戸川乱歩や安部公房を愛読しているという大の日本カルチャー好き。日本の魔法少女アニメに影響を受け、この作品を作ったとのこと。作品内にも日本のカルチャーが随所に散りばめられていますので監督の日本愛も見つけながら観てもらえるとさらに楽しめるかと思います。