邦楽の知識浅浅の僕氏が選ぶ「すごいアウトロ」3選
こんにちは。
Mr.ChildrenといきものがかりとBUMP OF CHICKENとRADWIMPSとOfficial髭男dismと、その他割と流行ってる数アーティストしかろくに聴かない音楽の趣味偏向野郎がまた難しそうな議題を持ってきました。
今回は曲においての「アウトロ」に照準を絞って語っていきたいと思っています。
「アウトロ」って多分ちゃんとした日本語じゃない気がするんですよ。「イントロ」の反対として作られた造語だった気がするんですよ。ちょっとあやふやなんですが、まあ要するにアウトロというのは一般的にイントロの反対で歌手が歌詞の最後の一言を歌いきってから再生終了時間までの演奏のみなされる場所です。
日本には「終わりよければ全てよし」という便利な諺がありまして、どんなにメロディがメチャクチャだろうが歌詞が支離滅裂だろうが、アウトロがなんとなく纏まっていたらそれっぽい曲になるのです。大袈裟すぎました。もちろんイントロも大事です。「第一印象で全てが決まる」という言葉もあるように、イントロのよさは曲全体のよさに直結します。それらとは逆に、これらイントロやアウトロをわざと省略することで曲の独立性を企てるパティーンもありますが。
さて、そんな奥深い「アウトロ」の世界において、特に唸った、特に凄いと僕が感じたものを3つ、紹介したいと思います。
① Worlds end/Mr.Children
一発目はミスチルです。
このアウトロの凄いところといえば、まさしく「余韻」です。
Worlds endは終始疾走しまくりのロックソングです。ジェンさんがバスドラムをドンドン打ち鳴らし、終始キツそうにしている姿も印象的です。
終始曲の雰囲気が大きく変わることがなく、Aメロ→Bメロ→サビと徐々に盛り上がっていき、二番が終わった頃に一度萎んで、また大サビに向けて盛り上がっていき、ここで曲のピークは最高潮を迎える。下は最後のサビの最後のフレーズです。
"何にも縛られちゃいない だけど僕ら繋がっている
どんな世界の果ても この確かな思いを連れて"
桜井さんの振り絞る高音ロングトーンとともに、いよいよ曲のアウトロへ雪崩れ込んでいきます。大きく曲調が変わることなく、ほとばしるようなドラム、ギターとベースの力強いサウンド、強調されるストリングスも相まって熱量はどんどん高まっていく。
ある程度進んだところで、そろそろ終わるかな?と見せかけてまだまだ続く。アウトロ後半戦だ。もうボルテージはマックス。Worlds end最高だ。こんなハイになれる曲がアルバム一曲目に構えているI♥️Uのすさまじさを改めて感じる。
そんなことを考えていたら、そろそろ終わる。このまま徐々にテンポが下がって、あのよくライブの曲の〆でありがちな盛り上がりがちな、ジャンジャンジャンジャン~!!ダダダダダダドドドドドンドンドン!!デケデン!ジャーン!!デデドン!ってやつで終わるのだろう。
と思わせて、プッツリ曲が切れてしまう。ここまで高まりに高まった熱を、発散させる余暇すら与えず、速攻で曲を終了させてしまう。この思い切りの良さと、不完全燃焼感がたまらない。もし、あのライブでありがちなジャンジャン(以下略)で締められたなら、「あ~!worlds endよかった!腹一杯!しばらく聴かなくていいや!」となってしまうのだ。すっきり終わらせないことで、ある程度のモヤモヤが残り、またWorlds endを聴きたくなる。そしていつしか沼にはまってしまっている。そう。これはミスチルの仕掛けた罠だ。
アウトロの可能性を大いに活かしたWorlds end。曲の完成度をこれでもかと高めたのちに、完璧な〆にするのではなくプツリと切ってしまう。この勇気ですよ。素晴らしい。
② インスタントラジオ/SEKAI NO OWARI
公式じゃないです。ごめんなさい。
さて二曲目です。個人的にインスタントラジオは印象の深い曲でして、BUMP OF CHICKENやMr.Childrenに初めてハマることになるその3年ぐらい前には知っており、特に理由もないけどなぜだかクセになってずっとリピートしていた思い出があります。今ではセカオワ全般に聴くようになったのですがその中でもインスタントラジオは特別なんです。一番好きです。
先程のWorlds endのアウトロは、曲全体として統一された雰囲気の中で、最終章のごとく堂々と曲の最後尾に居座る存在でしたが、
ここでのアウトロは、それまでの一番や二番、Aメロやサビの雰囲気とは独立し、アウトロの独自の世界を醸し出しています。
この曲には、Cメロがありません。二番の終わりとともに一旦緩やかになり、大サビに突入。"30 minutes INSTANT RADIO"のリフレインが入り最後のこのフレーズで深瀬のロングトーン。ここで歌声のみの瞬間が訪れ、曲として一区切りをつけた後にいざアウトロへ。
アウトロで終始続くのはかなり長めのギターソロ。イントロから続いた流れを僅かに汲みつつも、ドラムやピアノもテンポを少しずつ変えながら、まるでアウトロがひとつの曲であるかのように進んでいく。
そして最後の最後は、Worlds endのようにプツリと切れるのではなく余韻をしっかり残してフェードアウト。腹一杯。満足感。
真新しい「アウトロ」というひとつの独立した楽曲を産み出すことで、アウトロはここでは「最終章」ではなく「エピローグ」の役割を果たします。名探偵コナンとかよくありますよね。本編が終わりスタッフロールと主題歌が流れたのちにある数分の小噺タイム。あれがいいんですよね。本編は本編ですごく楽しいんですが、アレが挟まることで物語の〆を、曲全体の終了をすんなり迎えられます。
曲というジェットコースターに乗せられ、散々振り回されたあと終着点につくやいなやスタッフに飛び蹴りされ速攻でジェットコースターから降ろされ現実を突き付けられるのがWorlds endだとしたら、インスタントラジオは、ジェットコースターに振り回されたのち「皆さん!お疲れさまでした!今回の旅はいかがでしたか?」というアナウンスとともにコースターがゆっくり進み、さながらジェットコースターとはまた別のアトラクションが始まったような演出が入り、ゆっくり終着点に着いたらスタッフが安全レバーをゆっくり上げてくれ、降りるときに足場を用意してくれ手を貸してくれエスコートされながらジェットコースターを終える。そんな感じです。
アウトロの潜在能力をこれでもかと引き出したインスタントラジオ。素晴らしい。
インスタントラジオの他にも、[Alexandros]のワタリドリも同じようなアウトロがあります。
こちらも併せてよろしくお願いします。
さて三つ目の紹介の前に。
ここまで「最終章型」と「エピローグ型」のふたつを紹介してきました。てか最終章とエピローグってほぼ同じ意味かもしれませんね。ごめんなさい分かりにくくて。
そんなわけで大体のアウトロは、この二つの方のどれかに該当することになると思います。つまりJポップには「最終章型」「エピローグ型」そして「アウトロがそもそもない型」の3種類の曲が存在することになります。
ひとつ補足するとすれば、「最終章型」は、全てが全てWorlds endのようにプツッと切れるタイプではないということです。あいみょんのマリーゴールドやOfficial髭男dismのPretenderもこの型に当てはまりますね。
というわけで今回最後に紹介する曲は、そんな全てのアウトロの中で、僕が今まで聴いてきたアウトロの中で、一番好きなものを紹介して終わりたいと思います。
③ Merry Christmas/BUMP OF CHICKEN
はい。これに関してはね、もはやアウトロどうこう以前に曲のメロディーも歌詞も全て評価されるべきなんですよね。
説明とかそんなんどうでもいいんで、歌詞も込みでメロディーも込みでアウトロも込みで一回だけ聴いてみてください。お願いします。Merry Christmasにもっと陽の目を浴びさせてやって下さい。可哀想なシングル曲なんです。A面として収録されたのにスタジオアルバムに入れなかった悲しい奴なんです。どうか宜しくお願いします。