13.魂のカタルシス〜佳子編〜①
※登場する人物や団体は架空のものであり、実際の個人や集団を指すものではありません。
「COTOMIさん、もううざいんですよね。
正直。もう、あなたから学ぶことはない。」
とか言って
私を傷つけようとしてきたから
私はそれに応えた。
「傷つけようとしてるかもしれないけど、
私はなんとも思わない。
あー、あなたはそう思ってるのね、
どうぞ。
本物の佳子なら、私がそーゆー人って知ってる。
あなた生霊ね。」
言い方は悪いが、妖怪や死霊はそこまで
賢くない。
妖怪は単純、姿がみえてるし。
死霊は体の中まで入り込むことはあまりない。
あっても自分の感情を出すだけ。
「あなたは変に意地悪な賢さをもってる。」
その日、
一緒に活動している
一番弟子の佳子の様子がおかしかった。
佳子とはもう10年以上、一緒に活動しているので、COTOMIの支えになっていた。
「今日、なんかおかしくない?」
「そうなんです。たぶん、なんか、
憑けてきてますよね。
ここ数日、体調もよくないんですよ。
やる気も出ないし。」
「先に浄霊しておこう。」
その日は2人でYouTubeの動画を撮る予定にしていた。
COTOMIは目を瞑る
浄霊開始
目を閉じてもう一つの世界に入る。
現れたのは、佳子だった。
「COTOMIさん、うざいんですよね。」
生き霊は、生きている人の念。
恨みだけではなく、やきもち、心配、憧れ、
密かに抱く恋愛感情、など、
ネガティブな感情ばかりではなく、誰かを思う強い気持ちが生き霊として、憑いていることはよくある。
しかし、今回佳子に憑いている生き霊は悪質だ。
このタイプは私だけで浄霊は難しいので、
こちらの世界ではみんなに助けてもらう。
現れたのは白蛇の白禾(ビャクダ)。
「白禾」は、白蛇の別名。
古語で「禾」は「稲」を意味し、白い稲穂のように神聖な蛇であることを表している。
日本では、弁財天の使い、水神、家を守る神などとされている。
白禾が佳子の首に巻きつき、締め付ける。
「COTOMIさん、助けて!!」
と佳子の振りをして手を伸ばしてきた。
【死ぬ、、、
なーんてね、、、、あーめんどくさ】
と言って、佳子の姿が変わる。
現れたのは、
背の高い若い男性と背が小さな若い女性。
2人とも制服を着用していた。
佳子は実は普段、個人病院の眼科の先生をしていた。
(2人とも佳子の職場の子かな、、、?やきもち?)
女性の霊から感じたのは、
大人の女性、憧れ、自分と真逆の先輩。
そして、彼が佳子のことを気になっているのではないか、という気持ち。
そして、男性の霊から感じるのは、
憎悪。
私は彼に質問した。
「どうして、佳子に憑いてるの?」
彼は眉間にシワをよせて、睨んでくる。
【俺は悪くない。いつも俺のやった事を否定してくる。俺は院長に言われた事をやっただけなのに。】
どうやら、職場でのトラブルのようだ。
しかし、ここまで生き霊となって影響をおよぼすほどということは、よっぽど佳子に対して怒りがあるのだろう。
男性はとくに、わかってほしい、認めてほしいという感情が強い。
ましてや、若くやる気のある子だったら
多少、しょうがないかもしれないな。
佳子も大変だな。
「本当はあなたはどうしたいの?」
彼に聞く。
【俺はちゃんと確認して言われた事をやってる。いちいち、訂正しにしたり、確認しにきたり、口出ししにきたりしないでほしい。うぜー。】
私はこの彼の言葉を聞いた時に直感で思った。
きっと母親とタイプがにてるんじゃないか?
佳子は30代後半で若いが、真面目で律儀でしっかりしていて、母性愛溢れる人だ。
人から悪く思われるようなは人ではない。
彼に聞いた。
「お母さんと似てるんでしょ?」
彼はまた眉をしかめた。
図星だった。
生き霊のタチの悪いところは、
生きている人のエネルギーは強いので
通常の亡くなった方の浄霊の時より
すんなりいかないところ。
解決に時間がかかる。そこで、私は助けを求めた(佳子の守護の方にお助けお願い申し上げます。)
すると現れたのは、、、
つづく
#創作大賞2024 #ホラー小説部門
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