15.魂のカタルシス〜佳子編〜③
「私みたいになってほしいって気持ちだよね。」
私は自分の気持ちに気づいていないふりをしていたからわかった。
「佳子はもう1人の私にはならないよ。」
生き霊の私は黙ってきいている。
「どこか寂しかったんだよね、1人でやっていくのが。
佳子に色々教えていても、
本格的にやってる訳じゃないって思いもあって、
それなら本腰いれてこっちの仕事してくれたらいいのにって、ずっともどかしさがあって、
仕事を辞めればいいのにって実は思ってたから
守護に見せかけて、生き霊になって邪魔してたんだよ。
だから、今回、職場で人間関係のトラブルを引き寄せた。
佳子は何も言ってなかったけど、最近ずっとキツかったと思う。
ごめんね、佳子。
だけど、ありがとう、COTOMI。
その事を教えてくれて。
そうじゃなかったら、私は佳子に期待して執着してた。
そんな事思わなくても、佳子は離れて行ったりしないのにね。
そう、どこか、離れていくんじゃなかって
思いもあった。
これは、1人で頑張らなきゃって昔から私の中に持ってるインナーチャイルド。
ずっと、1人で頑張らなきゃって無意識にいつも
そう感じてる。
そろそろ、その感情もちゃんと癒して
手放そう。
それも、教えてくれたのよね。
ありがとう」
生き霊のCOTOMIは目を細くして下を向いた。
私はゆっくりと近づいて抱きしめた。
「寂しかったね、苦しかったね、辛かったね」
声をかけると、私が子供の頃の場面になった。
夜、布団に妹達と寝ている。
両親がいなくて、私が長女として
しっかりお留守番しなきゃ、って気を張っている。
子供しかいない家の中で不安でなかなか寝付けない。
「そっか、怖かったんだよね。」
子供の頃の私に声をかけた。
「ちゃんとお留守番したいけど、1人じゃ不安だから、一緒にしてほしい。」
子供の頃から責任感が強いところがあったから、与えられた任務はこなしたかったけど、
1人ってことに不安が大きかった。
その思いがずっとあった。
浄霊の活動も本当は毎回どこか不安があって、
本当は誰かと一緒にできたらって
思いがあったんだ。
でもその気持ちはこの子の感情。
「もう大丈夫。持ってなくていい。
1人とか不安とか誰かとか思う必要はなくなった。
だって、ちゃんとやれた。
お留守番もできたし、浄霊も毎回できてるよ。」
そう声をかけると子供の私は嬉しそうな顔をして落ち着いて目を閉じて寝た。
抱きしめていた生き霊のCOTOMIが言った。
【もう、1人で頑張らなくていいよ。】
そして、消えた。
私は心がスッとなった。
浄霊終了
別室で待ってもらっていた佳子に終わったことを話す。
途中、何度もビックリしていた。
職場の子達は実際に最近あったトラブルだったから
原因がわかってよかったと。
そして、まさかの私の生き霊。
「ありがとう、佳子のおかげで私もスッキリした!
憑いててごめん!」
今回のYouTubeではこのネタを話すことにした。
つづく
魂のカタルシス〜佳子編〜完
#創作大賞2024 #ホラー小説部門
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