娘3人殺害事件と食物アレルギー
この記事を読んでいろいろと考えてしまった。だいたいみんなこんな反応です。
どうもみんなは
・異常な食へのこだわり
・自分の努力と献身が踏み躙られていると感じてたのでは。そこから発作的に殺意を抱いた
みたいに感じるらしい。
そしてこう言う人もいます。
ちょっと待ってくれ。次女は食物アレルギーなんだって。自然派虐待ママかどうかはわからんでしょ?そんで、最後に「ドーナツ、レトルトカレー、パンケーキ」を選んだ事。これは誤解されている気がする。
食物アレルギーの子供を育てた親ならわかるはず。下の記事を読んでもそこまで脅迫的な食事へのこだわりではないと思う。
記事をそのまま読むと、あまり頭が良くない(僻地でもなさそうなのに高卒、アトピーやアレルギーをインスタで情報収集する)し、バイタリティも足りない(3か月で退職)タイプかと思われる。なのに真面目で完璧主義(こだわりが強い)。
そして、母親との確執がすごい。女性って子育てに悩んで父親に電話する?聞いたことない。働いてて子育てを重視していない母親に好かれてないところを見るともしかしたらASDタイプかもしれない。
母と娘の関係が希薄なまま生まれたのが全員娘。
リストカットの傷を見ても何も言わない夫。0歳、3歳、5歳の子供がいるのに、「夕方5時に食事が出来てない」と言われる環境。つまり旦那も義母も協力してくれてない。でもこれ、母親に甘えさせてもらえなかったことも原因なんじゃないだろうかと思った。
そして本人もアトピー持ち。次女は卵アレルギー。
そして本人は調理師免許も持っている。たぶん、ここが自尊心のコアなんだろうと思う。自分が母親に甘えられなかった分、自分に出来る事を精一杯子供にしてあげたい人だった気がする。
だって「添加物に気をつかうようになり、できるだけ食べ物は手作りして出来合いのものは与えないようにしていた」だけだよ?これが自然派虐待ママ?食物アレルギーって診断されるってことは、他のアレルゲンも敏感なんだよ。子供を守りたいと思ったら手作りになるんよ。
そんで最後にあげたパンケーキ、ドーナツ、、、、、
これね、卵アレルギーだと食べれないんだけど、子供が大好きなものじゃん。そんで、次女が食べれないのに長女にあげるわけいかないやん。食物アレルギーで一番辛いのは子供が喜びそうなものを食べさせてあげられない事なんだよ。
今はわりと検査の反応を基準に厳格にしろとは言われないらしいですが、あまりアレルギーに詳しくない町医者だった場合、「あ~反応出てますね。アレルゲンとなるものは除去しましょう。」とか簡単に言う可能性あると思います。
そんで、それをインスタで情報収集するという解決能力の無さ、、、
周りに協力してもらえないってことは、次女のために大きな病院とか行くの死ぬほど大変なんよ。この事件も本人の対応能力を大きく超えちゃったんだと思う。
最後のパンケーキの意味、もう一回考えてみてほしいし、少しでも食物アレルギーに対しての理解が増えればと思って、20年くらい前の昔の事ですが書いてみます。
食物アレルギーに関して(うちの場合)
次男が産まれて1週間も経たずにプツプツと湿疹が出始め、そのうち頬全体が荒れてジクジクとただれてきました。町医者の診断ではアトピーだと言われ薬を塗っていました。しかし状態は悪くなるばかり。(あまりに小さいとアレルギー反応が出ないから検査が出来ないのです)
それが3ヶ月程続き、やっと検査が出来るようになり、小麦、卵、牛乳でアレルギー反応。ちなみに卵、小麦で測定不能なくらい高い数値でした。母乳からも成分が出るようなので嫁さんは除去食をはじめる事になりました。そんで医者にプリントアウトした表をもらったので読みました。
「卵を除去する時食べてはいけないもの」
鶏肉
「それに代わるもの」
蛙肉
ウサギ肉
どこで売ってるんですか????
さらに
ホロホロ鳥
何それ?聞いたことない。調べてみたら
知らんがな、、、、、
他にもハム、ソーセージ、ウィンナーはダメ
代わるもの
ウサギ肉のハム、ウサギ肉のソーセージ
やたらウサギを食えっていうけどさ!!どこで売ってんだよ!?産まれて間もないころにこんな事言われて対応できますか?
うちの嫁さんは食欲が原動力なので、食べたいものが食べれない事はかなり苦痛でした。
特に小麦。これがあるとスパゲッティーもうどんも食べれない。簡単に食事をすます事が出来なくなります。さらに醤油の原料は大豆ですが発酵には小麦が使われています。盲点でした。でもなのでこれを使っていました。
https://www.ichibiki.co.jp/product/soy-sauce/11895_1/
こういう事をひとつひとつやらなきゃいけないのが食アレなんです。
しかし問題はそんなに簡単に解決しません。
それらを除去しても良くならないんです。
それからは大変。疑心暗鬼になって、あれもダメかな?これもダメかな?と除去メニューが増えてきました。ただでさえ子育てで大変な中で、「何をしたら良いのかよくわからない要素」を追加されるんです。そしてそれは、間違えれば子供の命の危険にもつながる事もある。
もう町医者のアレルギー検査では良くなりそうもないので、一度精密に検査してみようという事になりました。
国立相模原病院へ
大きな病院で見てもらうと、ただれた頬から悪い菌が入っているとの事で、早く入院した方が良いと言われ入院。
突然の母子入院です。
初日は全身包帯で包帯用のネットも全身(目とか口だけあけてある)
さらに手でかかないように拘束してかなりかわいそうな絵でした、、、、、
特にその頃はもう頬は常にジクジクしていて、洗ってもまたジクジクがたくさん出てきて、それが固まって、黄色っぽいかさぶたがたくさん出ていました。
それが、2日目には、、、、、、、、
ツルツルピカピカの赤ちゃんの肌に戻っていました!!!
ホントすげ~~驚いた
オレ「なんでこんなに綺麗なの?」
嫁さん「すごい洗い方だった、、、、、」
今まで行ってた小児科では
患部を”やさしく”洗ってクスリを塗ってください
と言われていました。
しかし!その病院はその患部を手で、、、、、、、、、
ゴシゴシゴシーー!!!
嫁さん「(||゚Д゚)ひぃぃッ!(゚Д゚||)。ちょwwまww看護婦さん、、、、ww」(20年前の表現ですw)今まで聞いてた事と全然違う、、、、、
看護婦さん「今までのやり方は全部忘れてください」
産まれてから1週間しか綺麗じゃなかった肌がツルツルのピカピカになって嫁さんは、本気で泣いたと言っていました。
しかし結構面倒なんです。
白色ワセリンにアルメタ(ステロイドの1種、たしかそんなに強くない)を混ぜたもの。
これを1日2回、洗って、また塗る
洗うっていってもワセリンだから全然落ちません、、、、
これも驚いた事ですが、病院で使ってるのは、安そうな石鹸。
看護婦さん「これで十分です」とのこと。
退院してからも1日2回、洗って、クスリ、洗って、クスリ、という非常に面倒な作業ですが、ジクジクした顔を見ながらの育児とツルツルの顔を見ながらの育児は精神的負担が違います。
やったら結果が出るって、本当に楽。疑心暗鬼に「あれが悪いかな、これが悪いかな?」なんて状態より全然楽。でもこれ一人でやってたら気が狂うよ?
終わりなき旅
とりあえず退院して肌がもとに戻ったのですが、コレで終わる訳はありません。除去食生活の始まりです。大豆、小麦、卵、乳、魚を除外しないといけない。
町医者の検査では小麦も卵もありえない数値が出ていたけれど、もっと反応の高い物があったのです。それは、、、、、
魚
でもそんなに頻繁に魚を食べてた訳でもないのになぁ、、、、って言ってたんですが、思い出しました。
ナンプラー
小麦がダメなので、米の麺を使ってパッタイなんかを作ってたのですが、それでよく使ってました。とりあえず魚は全般的にアウト
そのかわり、鳥肉、牛肉は検査で反応は出ているけれど肌には反応が出てこない、という事でOKになりました。これはアレルギーを得意としていない医者にかかると、「卵、乳ダメだから、鶏肉も牛肉もダメですね。」とか言われる可能性あるのが怖いところ。
こんな風に大丈夫だと思ってたものがダメだったりするので、「買うものすべての原材料をチェック」しないといけません。しかもスマホとか無い時代です。怪しいと思った原材料は帰ってからネットでチェック。これ、結構しんどいんですよ。
カゼインナトリウム、たんぱく加水分解物、乳糖、乳酸菌エキス、卵殻カルシウム、、、、、怪しそうな怪しくなさそうなものいっぱいあるんですよ。
そう、終わりなき旅のはじまりなのです、、、、
除去食
除去食でキツいのは、大豆除去だと醤油が使えない事。味付け方法が極端に減る。大豆、小麦、卵、乳、魚がダメとなると、残りは、、、、
塩、こしょう
いや、まじでこれしかないんですよ。食物アレルギーを簡単に思うやつは大豆、小麦、卵、乳、魚が使われてない「市販品」を探してみろ。
スーパーで立ち尽くすよ?(うちの嫁さん、スーパーの棚を見て、「何も買えない、、、」って泣いてました)
料理酒だって発酵にたんぱく加水分解物とか入ってる。
コンビニで買えるおにぎりなんて、塩と昆布やわかめみたいなシンプルなものだけ。こんなにたくさんの食料品があって、食べてよいのはこれだけなんですよ。
後になって、米醤油ってのがあるらしいと知ったのですが、今ならネットで調べてポチですけど、20年前はそんなに簡単じゃなかったですね。まじで、母乳育児で自分も除去しなきゃいけないお母さん、米が大丈夫ならこれ試してみて!うちの嫁さん、何か月も塩味ばかりだったからこれ食べて泣いてました。
除去ママは料理に対する情熱がかなり失われるので、旦那の出番だからな!なんとか食えるものを作ってあげろ!
しっかし、、、、、、
小麦、大豆が厳しい
味付けが全然出来ない。醤油って日本人にとって重要なもんだな~と実感
スーパーやコンビニに行っても、加工品の類は大体NG、いいかな~~って思ったものでも、
原料の一部に小麦大豆を含む
って表記があるとNG
市販品で結構ダメなのが植物油。ナタネ油、米油とかはいいんだけど大豆油ってのが多いんですよね~。
そうなると安全な材料を揃えて自分で作るしかないのよ、、、
食へのこだわりでやっていたわけじゃない
母乳が終われば、嫁さんは好きなものが食べるようになります。ここでだいぶ嫁さんも落ち着いてきた。
言っておくけど、俺も嫁さんもオーガニック自然派とかナチュラリストとか、全然そういうのじゃない。
でも365日!ほぼすべて食事を手造りしないといけないのが「食物アレルギー」なの!理解して!旅行も外食もすごいハードル上がる。
店にも行けない、市販品も使えない、ジャンクフードなんてもってのほか。一番辛いのは子供が喜びそうなものを食べさせてあげられない事。お菓子とかほとんど食べれないんですよ。例えば長女におやつあげても、次女は食べられない。当然泣くでしょ?そしたらどうする?どちらにもあげないって事になる。もう少し年齢が上がればいいけど、小さい子が納得できるわけない。
そんな中で、あの母親が最後に子供らにあげたのが
ドーナツ、レトルトカレー、パンケーキ、、、、
これはね、、、、泣いちゃうよ。経験した人にはわかる。子供が大好きなものばっかりじゃん。そんで除去してる材料のかたまりみたいなもんじゃん、、、、、
簡単に子供が喜ぶ料理を「作っちゃいけない」、もしくは「誰かが我慢しないといけない」って状況なんですよ。
もちろん真相はわからないです。本当に食へのこだわりだけだったかもしれない。でも「食物アレルギー」もあったら、神経質にならないと子供を守れないんだよ。アナフィラキシーショックとかも考えたら母親は子供を守るモードになって当たり前だよ。鬱にだってなる。
もちろん、子供を殺していいわけじゃない。有罪に決まってる。でもあの母親が大変だっただろうな、という想像は出来ます。どうしても食アレ当事者だった自分は同情的に見てしまう部分があります。
食べて喜んでる顔を見てどう思っただろう?特に、時間管理が出来ないとか、頭が良くないとかで悩んでたらしい。
「そうだよね、こういうの食べたいよね、、。でも私はそんなに全部出来ないダメな母親だ。」
って思ったかもしれない。
つーか、まわりの大人は何やってたんだよ?旦那は?親は?全部母親一人にに押し付けてなかった?まじで食アレは悩むことも多いし、終わらない除去食生活を続けるのに一人では無理。
こう思ってしまう事を、簡単に「お気持ち優先」「女性に甘い」とか言うような人間にはなりたくない。次女だけ別に作れって?毎日?3人育てながら?お前がやってみろ!!!!!
うちだって、俺と嫁さんと必死に協力してなんとかやってこれた。
ちなみに一番厳しい除去で10年、すこし緩めで良くなるまで18年、20年経って最近ようやく卵とかを試せるくらいになった。
簡単に言うんじゃねぇよ!
食アレ対応は普通の子育ての大変さとは違う
これだけは理解してほしいです。
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