インターネットの正しい歩き方を考えよう【自分の頭でしっかり考えるための問題提議】
遅いインターネット/宇野 常寛
この本は、考えるきっかけや、考えるべき議題をくれる作品です。したがって、これを読めば答えが出るというものでも、すっきりするという類の書籍ではありません。
本書の中で登場する議題は数多いため、人によって、議題と感じたところ、感じなかったところはそれぞれあるでしょう。読者一人ひとりが、この作品に触れ、デジタル社会との付き合い方を自分の頭でしっかり考えようとする姿勢が大事であると感じました。
私は、自分の頭で考え、自分なりの結論を出していく過程が大好きです。
本書を、「問題提議の書」と考えている私としては、自分の価値観に改めて向き合ううえで、「考えることで、調べることが増え、知ることが増える」という、まさに、「遅いインターネット」を実現している書籍であると感じました。調べさせるための工夫が各所にちりばめられているからであり、大衆に流される単調な人間には、「この書籍すばらしい」と単純には、語ることができない文章となっているからです。
そのため、本書を読み進めるにあたって、言葉の定義など、たくさん調べましたし、積み上げてきた知識と紐づけながら、ページをめくりました。
本書に、触れる際には、解決策を求めるのではなく、疑問を求めていくハングリー精神を大切に、向き合って頂ければと思います。私は、突き刺さるテーマが多いのが、本書の魅力であると感じております!
本書で語られていること
インターネットの発展により、考えない「愚民」が増え、その愚民を先導しようとする「カルト」の勃興を「速いインターネット」が後押ししてしまっているという風刺を行い、私たちは、問題から目を背けるのではなく、しっかり自分の頭で考え、「遅いインターネット」の使い方を歓迎しようというのが、本書が導こうとする本質的な結論のように感じました。
その結論に導く過程でのポイントは、以下の3つだと考えます。
順番に、解説していきます。