赤ちゃんって、素晴らしい!
以前に体験した
お産のお話です。
前期破水で入院をされていた、
初産婦のA様のお産のことです。
私が、
当直でA様を受け持った17:00には、
A様の子宮口は
8cm開大していました。
ですが、
陣痛が弱く、
陣痛の間隔も、
5分間隔から、
なかなか短くなりません。
ですから、
本当にゆっくりと、
じわじわと、
お産が進んでいく感じでした。
いくら早く産みたいからと、
お産に焦りは禁物です。
赤ちゃんには、
赤ちゃんのペースがあるんです。
そして、
牛歩の様な進み方で、
1:07にやっと、
赤ちゃんの頭が出ました。
すると、
赤ちゃんのお首に、
臍帯が巻き付いています。
しかも、
お首に二重に巻き付いているのが、
見えています。
臍帯をお首から解くにも、
とてもきつく締め付けられていて、
解けそうにありません。
そのまま、
赤ちゃんを娩出すると、
臍帯がさらにきつく、
お首を締め付けることになるので、
臍帯を先に切断してから、
赤ちゃんを娩出することにしました。
そして、
臍帯を切断して、
赤ちゃんのお首から
臍帯を解くと、
なんと、
臍帯は二重ではなく、
三重にしっかりと
巻き付いていました。
ほどいたお首には、
臍帯で締めらていた
赤い跡がくっきりと残っていて、
かなり
きつく締められていたことが
わかります。
お産の時の陣痛は、
赤ちゃんが信号を
送ると言われています。
赤ちゃんは、
ちゃんとわかっていたのですね。
どんどん強い陣痛がきて、
勢いよくお産が進むと、
自分の首に巻きついている、
臍帯が引っ張られて、
締められることになって、
苦しくなることを。
また、
強く臍帯を引っ張ると、
臍帯が短い場合には、
胎盤が引っ張られて、
胎盤早期剥離になってしまい、
死ぬ可能性もあることを。
だから、
お産のスピードをゆっくりに、
自分が苦しくならないように、
陣痛の強さをうまく調整しながら、
生まれてきたんですね。
臍帯は電話のコードのように、
クルクルとコイル状になっているので、
ゆっくりと引っ張られると、
そのコイル状の部分が、
伸びてくれるので、
臍帯の長さが、
伸びてくれます。
そうすると、
胎盤を引っ張ることがないんです。
だから、
お産のスピードをゆっくりに、
自分が苦しくならないように、
陣痛の強さをうまく調整しながら、
生まれてきたんですね。
赤ちゃんにとっては、
最初で最後の、
1回きりのお産。
そんな、
赤ちゃんにとって、
初めての体験を、
誰に教わることもなく、
臨機応変に対応していく。
赤ちゃんって、
本当にすごいです。
恐らく、
このお産が日中になっていたら、
病院によっては、
陣痛促進剤を
使っていたかもしれません。
そうすると、
どうなっていたでしょう。
あくまでも、
予測でしかありませんが、
陣痛は強くなり、
お産は進んだかもしれませんが、
臍帯がきつく締まって、
赤ちゃんはしんどくなり、
お産を急がなくてはならなくなって、
吸引分娩などか、
もしかしたら、
帝王切開術が
必要になっていたかもしれません。
赤ちゃんは、
きっとそんなこともわかっていて、
夜に生まれることを
決めたのでしょうね。
本当にお産って、
神秘の世界ですね