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明日からスタートですよ

「kaoさん。ご飯だよ〜」

うつらうつらしてしばらくした頃看護師さんの声で起こされた。ふえ?ご飯?
あまりお腹減ってないよ…
と思いながら車椅子に移りテーブルの前に行く。
今まで自分で移動したことなかったから車椅子をどう動かしたら良いのかわからず、左足と左手で動かす方法を教えてもらう。

「今までやったことなかった?」

『いつも誰かがいて移動する以外ベッドの上にいたから動かすチャンスもなかった』

「自分で行きたいところ行けるようになってよかったやん」

回復期に移動するってそう言うことなんかと何気に納得した。
できる事は自分でやる。
やれることを増やす。
まぁ、行動範囲広がるのは良いことや。
そう思いながら出てきた食事を見る。
……
量多っ!
食べきれんよ?

まぁ、食べれるものだけ食べよ…

ご飯
………
味噌汁
…………
おひたし
……………

えっと……
味しない……⁉️
病院食だから?
病院食でもご飯の味はするよね?
む?
薄味だからか。

まぁ、あっちの病院もこんな感じやったしいっか…

とりあえず、ご飯3口、味噌汁半分、おひたし1口。
以上終了。
もちろん下げに来た看護師さんにはなーんも食べてないのと一緒やんと突っ込まれた。

「歯磨きはそこの洗面台ね。あと、ベッド戻りたくなったらナースコールしてね」

洗面台で歯磨きする。
これすらも久しぶりだった。
誰にも片付けてもらわなくても歯磨きできるって良いね〜
歯磨きした後も部屋の中を車椅子でしばらくウロウロすると窓際で外の風景を見下ろした。

ここ、どこの辺なんやろ。
全然わからんな…
そのうちわかるかなぁ…

そうして数分フラフラするとナースコールをしてベッドに戻った。

ひま…

話し相手もいない。
本もない。
テレビはあるけどカードがない。

寝るか…

なんて考えているとスタッフが1人入ってきた。
看護師さんとも違うし、だれ?

「Kaoさん。はじめまして。
理学担当します。Iです。
明日からリハビリの時間にお迎えに来ます。
よろしくお願いします。」

PTのIさん。
リハビリかぁ。
何するんやろ。
しばらくIさんと話した後、ふと急性期の方で散々脅されたことを思い出す。

リハビリの怖い人?
全然怖そうに見えんだけど…。

Iさんとの最初はほんの数分。
ご挨拶しただけ。
見た目の印象はなんか仲良くなれるかわからないなぁって感じだった。

次に部屋に入ってきたのはIさんよりも若そうな男の人。なんかうちの子と歳変わらなさそうに見えた。

「はじめまして。
作業担当します。
Tです。」

『ねね、作業って何するが?』

「んー、主に手のリハビリとか…。
前の病院でもリハビリでしませんでした?」

『えっ…リハビリ?
リハビリしてないよ?』

「えっ?してない?え???」

Tさんとは初対面から???がいっぱいになってた。

最後に会ったのが言語担当するSさん。
初めての女性。
リハビリの人って女の人もおるんやなぁとか素っ頓狂なことを考えていた。

何にしても明日からリハビリが始まるらしい。
よくわからないけど暇な時間がなくなれば良いななんて考えていた。

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