深夜番組
毎回ここどこかわかりますか?と聞かれるたびに私は好きな病院名を挙げていた。
市民病院
県中
済生会
とにかく知ってる病院をあげ続ける。
しかし、この病院が本当はどこの病院なのかわからなかった。
いつかこの質問にちゃんとした答えを返せる時が来るのだろうか。
まぁ、無理な気がする。
第一にこの病院がどこなのか聞いた覚えがないから。
多分この時期が1番混乱していた頃だと思う。
どこにいるかわからない
なんでここにいるかわからない
今いる病室の正しい見た目がわからない。
夢で見た病室に見えていた。
今日の夜からその部屋がかなり横長な部屋に変わってベッドが10台くらい横に並んでいる。
向かいのベッドにゼーゼーと息してるおばあちゃんがいるのは変わらない。もちろん隣に隙あらばトイレに行く人もいる。
いつものように夜中に目を覚ました私はもっちゃん、いないのーと騒いだ。
看護師さんはまたか…と思いながら対処してくれてたんじゃないかな。
カーテンを開け私の様子を確認してTVでも見る?と聞いてきた。
うん…
何か面白い番組をやってるわけではない
やっているのは通販番組くらい
だけど私を静かにさせるだけなら十分だった。
今となっては売っていた商品も覚えていない。
ただ、TVを眺めているだけ。
他のチャンネルに変えると言うことすら私の中にはなかった。
通販番組が終わり、次の番組がはいっても何も理解できてなかった。
ただぼーっとテレビを見つめるだけ。
ただ、私を静かにさせておくと言う作戦だけは成功していた。
今から思うにテレビをつけてから1時間ほど経った頃、見回りにきた看護師さんがきた。
あれ?テレビ見とるん?
面白いのやってる?
なんにも…
そか。
夜中やもんね
もうちょっとしたら朝のニュース入るよ
うん
また、何もなかったようにテレビをぼーっとみる。テレビ見てなきゃダメかなぁ?面白いのやってない…
つまらないと思いつつも静かにはしてる。
お相撲さんなら見てるんだけどなぁ…
そんなことを思いながらいつのまにかテレビをつけたまま眠っていいた。看護師さんの作戦勝ちだった。
朝目が覚めたら病室はいつものお部屋に戻っていた。昨日の夜のあの部屋は何やったんやろ。
今でもなんでそんなふうに見えたのかは理由はわからない。だけど、この時期は妄想なのか幻覚なのかよくわからないものと現実がごちゃ混ぜになって見えていた。
そしてこの日の朝から私の食事からご飯が消えた。代わりにパンが2個付いてくるようになった。果物と牛乳以外手付かずだった食事が果物と牛乳とパン1個食べる食事になった。相変わらず食べてる量は少ないがパンは食べてくれるということで、朝昼夜全ての食事がパン食に変わった。
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