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食堂デビュー

初日のリハビリは無事何事もなく終わった。
言語のリハビリは自分的には必要なの?って感じだけどカードに書かれたものを答えたり、自分の名前を書いたりという簡単なものだった。

そう言えば夕ご飯は食堂って言ってたなぁ…
お話できる人いるかなぁ。
そんなことを考えていると夕ご飯のお迎えが来た。

「ご飯いこっか。」

私は見守られながらベッドから車椅子に移る。

「おぉ?できるようになっとるぜ?」

『教えてもろた。1人でできるようならんなんもん。』

「あっ、でもまだ1人でやったらあかんからね」

部屋を出てナースステーションの前を通り食堂へと移動する。私の席は窓際の1番奥のカウンター席だった。お隣には可愛らしい雰囲気の梅ちゃんというおばあちゃんだった。

よろしくお願いしますと挨拶するとこちらこそ〜とホワンとした話し方で返事が返ってきた。

なんか可愛いおばあちゃんやなぁ
とりあえずご飯の時間も嫌な思いはしなくてすみそう。たか〜こーの人も席離れとるし平和だ。
お隣の部屋の人が部屋の真ん中ほどに座っていた。彼女ともなかよくなれるといいんだけどなぁ。

この食堂に集められてるメンバーは食事に手のかかる人が集められているらしく、私は利き手が麻痺してるのとご飯食べないが理由らしかった。
自分的にはちゃんと食べてるんだけどなぁ…
と思っていたけど、今から考えれば食べない人だった。

この日も食べ切ったお皿はみかんが入ってきたものだけ。他は基本的に2〜3口食べて残っていた。
食べ終わったら食堂についた洗面台で歯磨きをしてお部屋に帰る。

「あっ、お部屋帰る?1人で帰れる?」

『行ける』

入院して初めての1人での移動。
車椅子からの移動は看護師さんを呼ばなきゃいけないけど部屋に移動するのは1人でもいいらしい。部屋までのそんなに長くない距離を左手左足を使って移動していく。
慣れないからか少し進んだだけで手足が疲れてくる。
車椅子ってこんな動きにくかったのか…
なんて思いながら短い道のりを2度ほど休憩しながら帰った。部屋に帰っても何もすることはない。テレビカードくらい置いてってくれたらいいのに…。か、お金置いてってくれるか…。
そう思いながら窓の外を見る。
時折電車が通り過ぎるのが見えた。
さ、ベッドに戻ろう。暇すぎるし寝るしかないか。ナースコールをしてベッドに戻る。

「テレビでも見る?」

『テレビカードないよ?』

「あるよ?誰も出してくれんだ?」

そう言ってテレビカードをテレビにセットしてくれる。これで見れるよ。とリモコンをベッドの枕元にもってきてくれた。
久しぶりにテレビをつけてクイズ番組を見た。
5分程見て疲れてテレビを消す。
明日見たいのあったら見よう。
今日は疲れたから寝る。
まだ19時を少し回った位の時間。
今までの私の生活からは考えられない時間に寝るようになってしまってた。

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