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#20 ヨーロッパ研修記 〜ナチュラルワインとワイルドエールの交差点(後編:イタリアの記録)〜
前書き
ビールなのか、ワインなのか、はたまたシードルなのか、分からなくなる時がある。
そんなことを言ったら馬鹿にされそうで、なかなか言えなかった。
ただ、例えばワイルドエールやランビック。ほとんど発泡のないスティル、柔らかい酸味とバレルの香り、タンニンのような複雑な渋みを感じるビールを飲んだ時の、僕の本音だ。
その正体が知りたくて、今回 "Wild" をキーワードに世界中のビール、ワイン、シードルの作り手が集まるWild Festival Groningenをはじめ、幾つものつくり手を訪れた。
そしてその後、それぞれのお酒を学ぶべく、ベルギー、ドイツ、フランス、そして、イタリアと地続きのヨーロッパを南下しながら、思うこと。
これはヨーロッパの移動中、その土地その土地で、感じたことを日記のような形で羅列しています。各チャプターは現在進行形で変化する思考の変遷を記録したような内容です。突然飛んだり、また結論のないまま終わったりもします。つまり、取り留めもない話ということです。挙句の果てには思いの外、長文になってしまったため、下記の構成で整理します。
オランダ・ベルギー滞在時の記録(2023年10月17日-11月2日 滞在)
ドイツ・フランス滞在時の記録(2023年11月3日-11月7日 滞在)
イタリア滞在時の記録(2023年11月8日-11月23日 滞在)※今回
前書きが長くなりましたが、総論としての僕自身の理解や解釈はありますが、あくまでも思考の変遷の記録であるため、各チャプターには、参考になりそうなブログや写真の追加、てにをはレベルの変更はあれど、内容に影響するような手は加えずに、当時のメモをベースに公開しています。
※イタリアには約3週間弱滞在していたため、都市によって記載を分ける。
ミラノ・トリノ・フィレンツェ・シエナ滞在時
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つい最近までクロスオーバーしていたお酒たちも、ここまで来ると全く交わらなくなっている。ミュンヘンとストラスブールに立ち寄った後、イタリアはミラノ、トリノ、フィレンツェ、そして今はトスカーナは、キャンティ・クラシコの産地の最南端である・カステルヌオーヴォ・ベラルデンガにいる。
ここイタリアは葡萄の国。北はオランダから始まり、ベルギー、ドイツ、フランスと、少しずつ南に下ってきたから、その気候や作物の変遷がよくわかる。お酒は農業の産物だということが。
トリノのあるピエモンテは、ネッビオーロやバルベーラ、バルバレスコ、トスカーナだったらサンジョベーゼ。何はともあれ葡萄だ。
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トスカーナのキャンティ・クラシコのつくり手であるPacinaに滞在している。このあたりは一面、サンジョベーゼを中心とした葡萄の産地だ。これだけワインが作れたら他のお酒を作る必要も余地もない。交わらなくて当然だと思う。自分たちや仲間が作ったワインを飲む贅沢。それでいいんだと思う。
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ワイナリーの木樽を眺めて思う。
あ、この木樽って3 fonteinenにもLambiek Fabriekにもあった。Jo(※Lambiek Fabriekの共同オーナーのひとり)が言っていたトスカーナのワイン樽ってこれのことだったんだ。
僕がランビックにワインのテイストを感じたのはこういうことだったのかもしれない。葡萄で始まるのか、麦とホップで始まるのか、その大きな違いはあるけど、野生酵母による発酵、そして木樽による熟成。タンニンの渋みも感じる(これはホップ由来なのか?ワイン樽に残る葡萄のタンニン由来なのか?)。いずれにしても、なんとなく自分の感じていた直感の正体が分かりつつあるような気がする。
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ヨーロッパは地続き。オランダやベルギーのように、同じ瞬間、同じ時代にワインとワイルドエールが、クロスオーバーをしなくても、時間と距離を超えて交わるということがあり得る。
こうしてワインの熟成で使われた樽が時間と距離を経て、ランビックやワイルドエールの熟成に使われる。これも一つのクロスオーバーと言っていいのでは。
しかしイタリアは本当に飯がうまい。あれだけ自炊していたけど、もうここでは思う存分、この土地の食事を楽しもう。
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ローマ・ナポリ滞在時の記録
ローマは都市のど真ん中に突然、遺跡が現れたりする。それも一つ二つじゃなく、数えきれないほど。世界中においてこんな街はないんじゃないかとただ驚く。
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ローマでは、ミラノやトリノといった北イタリアとは明らかに異なる雰囲気を感じる。人はカジュアルでオープン。街を歩けばレストランやバーの数も非常に多い。街自体は歴史を感じる街並みだが、モダンな飲食店も多く見受けられる。
またクラフトビールやナチュラルワインのお店も、イタリアのどの都市と比べても、多い。気になったお店があったからMa Che Siete Venuti A Fàというお店に入る。ここはイタリアのクラフトビールだけでなく、フランコニアやベルギーのビールもある。
驚いたことに、この研修の前半で訪れたCantillon、Boernerf、3 fonteinenのようなランビックの作り手から、なんとAntidootやHill Farmsteadまで。なんならDuponのモアネットブロンドまでがタップでつながっていた。
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街にいる人も若くて、情報感度も高いことが窺い知れる。歩いているとなんとなく感じるのがイタリアのどの都市よりも、カジュアルだけどおしゃれ。いろんな人間がいる。東京も、その人の多様性が幅広いゆえに、ビールもワインも、日本酒はもちろんのこと焼酎、ジンといった蒸留酒の専門店もある。人の多様性とお酒のそれは確実に正比例していることがわかる。
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ナポリに来てよかった。
いよいよこの研修も残すところあと3日。体調も良くなかったし、あのままローマに滞在するか悩んでいたけど、本当に来てよかった。
まずは何よりもその気候。11月も下旬だと言うのにとても暖かくて、日中は半袖で出歩く人もいるほど。そしてここにいる人たちは皆、とても優しくて温かい。街を歩けば、おばあちゃんが笑顔でCiao!!と声をかけてくれる。
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街自体はとても大きく、イタリアの中でもローマ、ミラノに次ぐ第3の都市らしい。ワインやビールの選択肢も豊富だが、人々の社交性や飲み方はローマのそれと比べるとずっとオープンで明るく、そして豪快。またナポリではワインとビールを一緒に提供するお店が複数ある。
イタリアに来てからしばらく経つがワインとワイルドエールのクロスオーバーはないと思っていた。ワインだけだろうと。
だけどローマやナポリのような大都市ではまた状況は異なるようだ。
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この国は葡萄の国だから、それをうまく使う。
最後の夜に飲んだIGA(Italian Grape Ale)はワインが25%もブレンディングされている。サワーと言われたけど、実際飲んでみると、強い酸味というより、いわゆるブレットエールに近い雰囲気がありつつ、葡萄の果実味を強く感じる。とても美味しい。葡萄の味わいは日本人好みだから、日本でも再現したい。これくらい柔らかい味わいであれば、手に取りやすいはず。
つくり手はベルギーのランビックにとても影響を受けていると言っていた。「ベルギーだと、さくらんぼだからクリークだよね。桃だってあるからペシェだよね。でもイタリアは葡萄だからさ。」、なるほどなるほど。
もはや副原料の範疇を超えている。イタリアのワイルドエールが面白くて、もうスーツケースに入らないと思っていたのにハーフボトルを2本も買ってしまった。まさか研修最後の都市イタリアで、ワイルドやブレンディングに帰ってくるとは思わなかった。
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過去3回、つくり手を中心に記載をした通常のnoteとは別に、「ナチュラルワインとワイルドエールの交差点」という表題をつけて、前編・中編・後編という形で、駄文を連ねてきました。
前書きで言い訳したように、この「ナチュラルワインとワイルドエールの交差点」は僕がヨーロッパに研修に出てから、その土地で感じた思考の変遷をメモしたものがベースです。
とてもじゃないけど、誰かにお見せするようなことは考えていなかったので、突然終わったり、結論のないまま、次の街へ移動していたりしました。ごめんなさい。
でも、そんな取り留めのない文章にもかかわらず、読んでくださりありがとうございました。
1ヶ月半の研修を終えた今、ワインとワイルドシーンで起こっている現時点での自分なりの答えがあります。思考の変遷はこの辺りで終わりにして、次は結論やもう少し具体的な考察や学びについて書いてみたいと思います。
また読んでいただけたら幸いです。
salo Owner & Director
青山 弘幸
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