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雲の切れ間から
雲の切れ間から、希望よりも淡いみずいろの空が見え。
薄墨の雨雲はところどころ重たくまたは掠れて、
見えない雨が、半袖の下の肌をかすめて落ち
アスファルトにいくつかのコンマを打つ。
アスファルトにいくつものコンマを打つ。
ふいに古い日本のポップスを聴きたくなった。
向こう岸に渡る橋が、まだ見えない。
たしかこのあたりにあったはずなのだが。
わたしの奥底からあふれて、
こぼれてしまわないように、慎重に一歩一歩、
重めに足を運ぶ。
(比喩ではなく実際に透明なプラスチックのコップからあふれてしまいそうなアイスコーヒーを手にしているのだけれど)
川の水は生臭い匂いがして、
人々は黙々と歩くために歩き、
目的地のある人はキックボードを走らせ
ほとばしる熱き血潮
わたしは慎重に歩く。
そうしてふと、足元に黒々とついてくるものに
顔をあげ、
雨上がりの夕焼けにやっと気づくのだ。