ma donna-わが淑女

表現主義の絵画はいつだって、わたしの純情を踏み躙って、精神をぐちゃぐちゃに掻き乱してくる。
そんな作品たちに、わたしはいつでもこころを奪われてしまう、これは不可抗力だ。
得体の知れない、わたしを呑み込んでしまいそうな、畏怖の対象とさえ捉え得る蠱惑を、言語化してしまえればきっと、恐ろしさは軽減されるだろう。
しかし、そんなことをしてしまえば、わたしがこれほどまでにこころを鷲づかみにされるような経験も、ふ、と白昼夢のように消え去ってしまうような気もするのだ。

あなたにならばわたしのすべてを台無しにされてもいいような気さえしてしまう。
それは恐ろしいことであると言うのに、あなたを失ってしまうことのほうが、ずっと恐ろしい。


エドヴァルド・ムンク《マドンナ》


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