「不思議な薬箱を開く時・薬剤、薬種編」
人体という薬種生成場
時代が進むにつれ、
禁忌とされてしまった薬種が生成される場所として、
"人体内"
がございます。
人間だけではございません。
諸動物の体内でも、薬種は生成されております。
人体内に於いても、
貴重にして、珍奇なる薬種が生成されます。
古来より、珍重される薬種、薬剤として、
記録に残されております。
採取の際に、
生成場所となった人間の生命を
奪うことなく、採取可能な薬種、薬剤もございます。
特殊な素材を飲食し続けた人体内に生じる結石や、
臓器内の内側に張り付いた結晶など。
ただ、通常の食生活や環境では、
効果の高い薬種、薬剤は採取出来ません。
分泌される体液や、
排出される老廃物も、
定められた食物、飲料だけを摂取し続ける事により、
人体内において、誠に不可思議な薬種、薬剤が生成されるのです。
採取の際に、生成者の生命に関わる場合は、
遺族に、十分な金子を渡す事を忘れてはいけません。
心臓内、脳内、肺などに生成されている場合、
採取する際に、死亡するケースは、よく聞いております。
液状の採取は、余程の量でなければ、
生成場である人体も、人命も、損なう事はないでしょう。
例を挙げますと、
東洋のある地域では、
少女を幼少期から、果物と花と蜂蜜だけで育て、
10歳になると同時に、朝一番の尿水を採取します。
その尿水を発酵蒸留して醸造した酒は、
馥郁たる甘い香りを持ち、
勢力増強、長寿、未病に効果がございます。
山鰐の肝油だけで育てた少年の排泄物は、
滋養強壮、妊産婦の産後の日だち、
赤子の血の病に効果があるとあります。
これらは、生成場の寿命は、
自ずと短命となりますが、
採取の際の死亡は、まずございません。
内蔵そのものを採取しなければならない場合。
例えば、10種の薬草だけを食させて生育した少年の生肝は、
万病に効果有り、とありますが、
流石に採取時の死亡率は、高かったようでございます。
脳内に結石や薬用脂を生成する為の食材もありますが、
やはり、採取と同時に死亡致します。
特異な食生活で発症した肉腫、腫瘍も、
もちろん、薬種、薬剤として採取されておりました。
服用だけではなく、
軟膏、塗布薬などにも使用されます。
人体内は、薬種、薬剤の生成場となる、
古来より、それを知り、学ぶ者達は、
おりましたのでございますね。
備考欄
まずは、生成場となる人間を用意しなければなりませんね。
採取の際に、生命の危険がなければ、
薬方にある通り、
"高貴な血筋を良しとする"、を執行出来ますが、
採取と同時に、生成者の命も失われるとなりますと、
相当な金額が必要となるでしょう。
この薬方を学び取り、
本国に持ち帰った、とされるイタリア人の記録がございますが、
人種による薬性の相違があると思われます。
東洋人の体内生成と、西洋人の体内生成では、
かなりの差異が生じる可能性がございます。
記録では、生成者の生まれ育つ環境や、人種についても記されております。
それ以外での生成に対しては、記載がございませんので、
生成、製薬、服用の際は、ご用心下さい。