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「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは、
「不思議な薬箱を開く時」です。
みなさん、悪魔の存在を信じておられますか?
今回、ご紹介いたしますお薬は、
悪魔の存在を信じている方なら、
お役にたてるかもしれません。
悪魔を払うために、
教会に大枚を払わなくてもすむのです。
では、今日もお薬箱を開けてみましょう。

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「体の中から悪魔を追い払える薬」

悪魔祓いと言いますのは、
大昔だけではなく、
現代でも、世界各地で行われています。
山間の村から、近代都市の只中まで。
宗教の違いはあれ、
悪い神や精霊、邪霊などが人に入り込み、
被害を及ぼすという事態です。
いつの時代でも、この手の仕事には、
寄進という形で、大枚を払うのがあたりまえです。
しかし、村や町の外れに住む魔女や、
妖精先生などに依頼すれば、
低価格、時として、牛や羊、山羊などで、
仕事をしてくれることが多かったのです。
教会側からすれば、とんでもないことでしょうが、
金銭的な余裕のない人々からすれば、
民間に馴染んできた土着の宗教に頼ることを
止めることはありませんでした。
調剤法が、記録に残されている場合は、
皆さんにご紹介ができます。
今回は、ルーマニアに伝わる、
悪魔払いの薬にしましょう。
みなさんご存知の、吸血鬼で一躍有名になった国ですね。
ルーマニアの国内でも、
カルパティア山脈の麓、モルダヴィアに伝わる薬です。
伝道師が発見し、異端の薬剤書として、
ヴァチカンに持ち帰ったものだそうです。
モルダヴィアの人々は、
伝統薬として、心から信じていたとか。
神の力を説く伝道師たちにとっては、
まさに、邪魔もいい所です。
神の名の元に、極めて暴力的に、
異端の排除を徹底的に行使しました。
魔女や妖精先生が記した調剤書は、
すべて伝道師が、没収したのです。
では、調剤料のご紹介です。

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「体の中から悪魔を追い払える薬」処方

石の中の水・・・・・・・・・・・小瓶一本分
ジギタリスの花液・・・・・・・・小瓶一本分
トケイソウの根汁・・・・・・・・小瓶一本分
黒い雌鶏が生んだ卵・・・・・・・1個
赤葡萄酒・・・・・・・・・・・・小瓶一本分
蜂の子の煎じ汁・・・・・・・・・小碗一杯
井戸のクリーム・・・・・・・・・小碗一杯
羊歯の葉の煎じ汁・・・・・・・・小碗一杯
薔薇香油・・・・・・・・・・・・小瓶一本分
羊の胎児の肝油・・・・・・・・・大匙一杯

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諸注意
中に水が入っている石があります。
振ると、かすかに水音がしますから、
割って中の水を集めてください。
井戸のクリームとは、
新年になったと同時に汲んだ井戸の水のことです。
調剤料をすべて集めたら、
新月の夜に、調合してください。

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備考欄
モルダヴィアの人々が、
古くから信じて服用していたお薬です。
教会は、悪魔を祓うために、
高額な寄進を求めたり、
悪魔憑きから解放できなかった場合、
神の名の元に、火焙りに処すこともありました。
これは、魔女や妖精先生に依頼するのは、
仕方のないことですね。
小さな町や、山間の村などでは、
土着の宗教が、根強く残されています。
魔女や、妖精先生は、なくてはならない存在です。
さまざまな効果が期待できる薬を調剤したり、
出自不明な儀式を執り行うなど、
教会に行くよりも、信仰を集めていました。
魔女や妖精先生が記した調剤の書は、
教会が没収し、そのまま使用したのです。
歴史の陰には、宗教の熾烈な戦いがありました。
昔ながらの宗教からしてみれば、
キリスト教は、まさに侵略者でした。
ヴァチカン図書館には、伝道師たちが収集した、
各地の調剤書があると言われています。

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