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「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは!
「不思議な薬箱を開く時」です。
好奇心は、猫を殺すと言われていますね。
開けてみるだけ、使わない!
それでも、なかなか楽しめるかもしれません。
では、今日も、お薬箱を開けてみましょう。

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お薬番号・⑪

「狼人間に噛まれた時の薬」

これは、由々しき問題です。
狼男や、狼女に噛まれると、
死んでしまうか、生き残っても、
狼人間になってしまいます。
狼人間に出くわすだけでも、すごいことなのに、
噛まれたり、引搔かれたりした日には、
デミ・ヒューマン(半人間)として生きなくてはならないことに。
これは、なかなか、受け入れられそうにない現実です。
満月が来る度に、変身してしまうわけですから、
社会生活も、難しくなってしまいます。
あまつさえ、かなりの凶暴性を発揮しますから、
発見されたら、まず、射殺か、
なんとか、生きたまま拿捕されたとしても、
人体実験のあげく、解剖の憂き目でしょう。
この処方は、イタリア北部の名家に伝わっていた、
狼人間に噛まれた際の、治療法です。
では、調剤料をご紹介しましょう。

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「狼人間に噛まれた時の薬」処方

エキナセア・・・・・・・・・・・30g
ラヴィンサラ精油・・・・・・・・12㏄
パルマローザ・・・・・・・・・・40g
セントーリー・・・・・・・・・・50g
真黒い雄鶏の心臓・・・・・・・・1個
羊の胆石・・・・・・・・・・・・1個
人間の胎児の羊膜・・・・・・・・1人分
ブリュストリ石・・・・・・・・・1個

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備考欄
調剤料をすべて、丁寧に石臼で曳き、
ドロドロになったものを
布に塗って、よく乾かした後、採取します。
細かい粉状になりますから、
新月の晩に、被害者に飲ませましょう。
新月の晩ならば、魔力は増大し、
その上、月の放つ呪力が及びませんから、
狼人間に変身することもありません。
一回の服用では、効き目が薄い可能性がありますので、
数回の服用をお勧めします。
狼とは、人間の理性が消え去り、
命に近い本能が爆発した姿です。
経験談によれば、かなりの快感でもあるそうな。
一度でも、眠らせていた野生が解放されてしまうと、
苦しみながらも、心のどこかで、
変身を待ち望んでしまっているわけです。
これは、早めの服用が必要ですね。
狼人間は、旺盛な食欲に駆られて、
身内であっても、ただの獲物にしか映りませんから。

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