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「不思議な薬箱を開く時・薬種・薬剤編」 バロメッツ(Barometz)

黒海沿岸、中国、モンゴル、ヨーロッパ各地の荒野に分布する植物です。
かなり希少な為、伝説とされてしまったようですね。
確かに、非常に珍しい植物ですので、
知る者ぞ知ると言えましょう。
しかし、このバロメッツを身近に見ていた原住民たちにとっては、
まさに、当たり前の大自然でした。

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伝説とされ、なかなかその存在を信用されない理由の一つに、
バロメッツの、通常では考えづらい植生として、
子羊の入った実がなることでしょう。

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「スキタイの羊」「ダッタン人の羊」

「リコポデウム」とも呼ばれるこの木は、
本当の名を「プランタ・タルタリカ・バロメッツ」といい、
ヒョウタンに似ているものの、引っ張っても曲がるだけで折れない、

柔軟な茎をもっています。

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時期が来ると実をつけ、

採取して割れば中から肉と血と骨を持つ子羊が収穫できますが、
この羊は生きているとはされません。
実が熟して割れるまで放置しておくと、
羊様の鳴き声を上げ、生きた子羊様の生物が顔を出します。
子羊は、茎と繋がったまま、木の周りの草を食べて生き、
近くに畑があれば散々に食い散らかしてしまいます。
周囲の草がなくなりますと、やがて飢えて、羊は木とともに死ぬのです。
ある時期のバロメッツの周りには、

この死んだ羊が集中して山積みになりますから、
それを求めて狼や人があつまって来ます。
バロメッツを知らない人々にとっては、
世にも珍しい金色の羊毛であり、羊肉であるからです。
蹄まで無駄な所がほとんど無く、肉は甲殻類の味がします。

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「ダッタンの真珠」の採取方について

“不思議な薬箱を開く時”の中でも、
登場致しましたが、
“De margarita Dattan”
「ダッタン人の真珠」という、貴重稀なる薬種がございます。
バロメッツと繋がって、生存している子羊の体内に発見できるという、
純白の真珠様の塊のことですね。
正確には、胆石に似た物です。
パロメッツの子羊、すべての体内にあるわけではありませんので、
ヨーロッパ人や、中国人は、
パロメッツを見つけ次第、刈り取ってしまいました。
その結果、原住民たちは、
野生のバロメッツを苦心惨憺の上の移植に成功しました。
伝説と言われるほど、わかりづらい秘密の場所に、
バロメッツを移植したのです。

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「ダッタン人の真珠」は、突過した効果を持つ薬の薬剤に必要です。
その為、他国の人間たちは、パロメッツを探し求めたものです。

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バロメッツの子羊は、
雌の子羊には、胎盤や子宮、卵巣が備わっております。

「ダッタン人の真珠」よりも、
ともすれば、貴重かもしれないのが、
“Magna arbor utero”
「大樹の子宮」と原住民が呼んでいる肉腫が採集できるのですが、
子羊の子宮に、稀に育っています。

この、ある意味、病変の塊は、
世界中、あらゆる人種の子宝を望む女性たちの救世主たりえます。

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実際、原住民たちは、天災や疫病などで、
一族の人口が減り続けた場合、
「大樹の子宮」を薬種とした薬を服用し、
女性たちの妊娠を促したと言います。

つまり、全身、捨てる部位なしの貴重極まる植物なのです。

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バロメッツの子羊の採取法

バロメッツに繋がれた子羊たちを採取するのに、
まったく危険はありません。
牙を向くわけでもなく、猛毒があるわけでもなく、
意味不明な呪いがかけられているわけでもありません。

しかし。

一度は、壊滅するのでは無いかという危機に瀕した経験から、
それはそれは、険しくも荒々しい自然の中を選んで、
バロメッツを移植したのです。
到達するに致しましても、
まず、その場所は門外不出の秘密。
ましてや、行く道からして、命がけであるらしいですからね。
確かに、伝説と言われるだけのことはあるのでしょう。

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