「不思議な薬箱を開く時」
こんにちは!
「不思議な薬箱を開く時」です。
そろそろ、どの薬にしようかな?と、
選べるくらいに、ご紹介してきましたか。
どの薬も、人生を大いに満喫させてくれる冒険付きですね。
滅多にない薬ばかりですので、
どれをとっても、悔いはないと思いますよ。
では、今日も、お薬箱を開けてみましょう。
お薬番号・23
「吸血鬼に噛まれた際の治療薬」
昔は、よく、街、村などに生存が確認されていたようですが、
現代では、もう、滅多に聞かれなくなりましたね。
そう、ヴァンパイア、吸血鬼です。
人の生血を吸うことで、自らを活かしているあの呪われた種族です。
最強を誇る高貴なモンスターとしても、有名ですよね。
さて、この種族にガブリッと噛まれて、
血を吸われた場合、吸われた人もヴァンパイアとなってしまうという、
困った後遺症が出てしまいます。
それも、オリジナルの下僕としてです!
これは、あまり選択したくない人生ですが、
もし、運悪く噛まれてしまった場合、
もう、退治されるのを待つしか、
ヴァンパイアとしての生きざまを終わらせることは不可能です。
自ら、枯渇することを選べるほど、
吸血衝動は、抑えきれるものではありません。
さて、この処方は、
ルーマニアの山岳地方にある古い修道院で発見されたものです。
羊皮紙に残された処方箋ですが、
吸血症という、一種の病気の症状として記されていました。
吸血鬼、ヴァンパイアに噛まれても、
吸血鬼の下僕と成り果てることなく、
運が良ければ助かり、
たとえ、運が悪くても、安らかに往生できるのです。
永遠に近い間、ヴァンパイアの下僕として、
美しいディナーをさらって来るという、
かなりの重労働を強いられるよりはいいでしょう。
では、調剤料をご紹介しましょう。
「吸血鬼に噛まれた際の治療薬」処方
ヴィタルバの種の油・・・・・・・・・・・20㏄
アーモンドの油脂・・・・・・・・・・・・20㏄
エニシダの種子・・・・・・・・・・・・・10粒
羊の胎児の血液・・・・・・・・・・・・・10㏄
馬の脂肪・・・・・・・・・・・・・・・・5g
聖水・・・・・・・・・・・・・・・・・・30㏄
リーキの葉・・・・・・・・・・・・・・・1枚
聖書の創世記を焼いた灰・・・・・・・・・1枚
チョウジ末・・・・・・・・・・・・・・・10g
ボレイ末・・・・・・・・・・・・・・・・10g
センソ・・・・・・・・・・・・・・・・・2滴
シナモン末・・・・・・・・・・・・・・・適量
諸注意
油や油脂は、新鮮な物を良しとします。
搾り立てを用意しましょう。
羊の胎児の血液も、絞り立てが一番です。
リーキの葉は、微塵に切って磨り潰して使用しましょう。
聖書の創世記のページを焼く時は、
熱く焼いた鉄板の上で行いましょう。
偏らないように、よく混ぜてください。
油や油脂、脂肪、血液などと混ぜ合わせる時は、
ダマにならないように丁寧に。
備考欄
さて、この薬の服用のタイミングは?
噛まれた後? 噛まれる前?
はい、どちらでも結構ですが、
まあ、ヴァンパイアが住んでいるような、
街や村に好んで住むこともないですよね。
いたしかたなく、そういう危険区域で、
生活をしなくてはならない場合にのみ、
有効かもしれません。
しかし、彼らは、多少、蒼白い顔色をしているくらいで、
見掛けからは、あまり、識別できそうにありませんから、
そういう存在がいると起こりがちな事件などから判断して、
危機回避のために使用するということも可能ですね。
映画やドラマで伝えられているほど、
かっこうよかったり、美しかったりな生き様ではありませんよ。
永遠の渇望と飢え、死ねない苦しみなど、
モンスターにしては、けっこうたいへんな毎日だと思います。
煙のようになれる、蝙蝠や鴉に変身可能、
かなりの怪力となり、壁をよじ登ることもできる。
見つめる相手を魅了する力もあり、
人を操ることも。
こんな、特典でもなければ、やっていられないでしょう。
ルーマニアの一地方の吸血鬼を狩る者たちの一族は、
かならず、こういう薬を服用しているようです。
敵の軍門に下るくらいなら、
死を選ぶというところでしょうね。
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