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「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは、みなさん。

さて、今回は、ちょっと趣向を変えまして。

歴史に残る薬種・薬剤料のご説明などを

させていただこうかと思います。

今までにも、

「聞いたことないよ!」

「なんなの、それ!」

という、お声が聞こえてきそうな、

謎多き神秘の天然薬種・薬剤料が出てまいりました。

ファンタジー小説や、映画、オカルト業界の中でも、

なかなか、有名な薬種からです。

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薬剤・薬種資料番号・1

マンドレイク(Mandrake)

別名をマンドラゴラ(Mandragora)
ナス科マンドラゴラ属の植物です。
茎はなく、釣鐘状の花弁と赤い果実を実らせます。
古くから薬草として用いられ、

魔術や錬金術の原料としても盛んに用いられます。

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人のように動き、引き抜こうといたしますと、
おぞましい悲鳴を上げます。
その苦悶の叫びたるや、まともに聞いた者は発狂して死んでしまうとのこと。

またこの植物のヘブライ語「ドゥダイーム」は、
「女性からの愛」を指すヘブライ語「ドード」と関連し、多産の象徴ともされております。

南方熊楠は、周密の書いた中国の文献に登場する「押不蘆」なる植物が、
麻酔の効果らしき描写や、黒犬によって抜くなどがマンドレイクと類似している点、
ペルシャ語ではマンドレイクを指して「ヤブルー」と言っている、
また、パレスチナ辺で「ヤブローチャク」と言っているなどからして、
これは恐らく宋代末期から漢代初期にかけての期間に、
アラビア半島から伝播したマンドラゴラに関する記述であると指摘し、
雑誌『ネイチャー』に、その自生地がメディナであると想定した文を発表しました。

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マンドレイクは地中海地域から中国西部にかけてに自生する種もあり、
コイナス属又はナス科マンドラゴラ属に属します。
通常の市場においての種としては、
「Mandragora officinarum L.」
「M. autumnalis Spreng.」
「M. caulescens Clarke」の3種が知られています。

これら全ての根にヒヨスキアミン、
トロパンアルカロイド 
クスコヒグリンなど数種のアルカロイドを含魔れており、
麻薬効果や、鎮痛薬、鎮静剤、瀉下薬として使用されましたが、
毒性が強く、幻覚、幻聴、嘔吐、瞳孔拡大を伴い、
場合によっては死に至る為、現在薬用にされることは殆どないようです。

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大プリニウス『博物誌」によれば、
マンドラゴラはかつてこれから取られる液が目薬の材料として使われたことがあり、
臭気が強く、男のマンドラゴラが白、女のマンドラゴラが黒い色をし、
ヒッポプロモス、キルカエオン、アルセン、モリオンとも呼ばれます。
また、南方熊楠は、プリニウスの『博物誌』に登場する「ケンツムカビタ(「百頭草」の字があてられる)」は、
「根に男女あり」、

「男性のようなものは男が帯びると娘に言い依られる」、
「ファオンはこの根を持っていたためにサッフォーに慕われた」、
とある点から、マンドレイクであるという説を展開し、
『本草綱目』に「押不蘆」の次に曼荼羅華がある点から誤解される旨を指摘しています。
「マンドラゴラは薬だがマンダラゲは毒」として区別していますが、
アト・ド・フリース『イメージ・シンボル事典』ジャン・シュヴァリエや、
大プリニウス『博物誌」では、
「MANDRAGORA」「MANDRAKE」「MANDRAGORE」の訳語が「マンダラゲ」とされています。

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ここで、実際に「媚薬」「妙薬」などに用いられる”マンダラゲ”または、”マンドレイク”の根は、
“人参に似た形状”か、先端部分が二股に分かれ足のようになった人間の様な形をしたものに限られております。
それらは、野育のマンドレイクではなく、
「無実の罪で処刑された」男が苦悶のあまり、精液を滴らせた大地から芽吹いたものこそ、
本来の不思議な薬効をもたらすマンドレイクです。
主に処刑場の絞首台の下で採集することができるでしょう。
マンドレイクは完全に成熟すると自ら地面から這い出し、
二又に分かれた根を足のようにして辺りを徘徊し始めます。
その容貌はゴブリンやコボルトに似て、非常に醜怪です。

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さて、次回は、

マンドラゴラの採取法について、ご説明させていただきます。

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