Vol.38 外からの視点の大切さ
日本のモノづくりの強火サポーター、愛社精神育成コンサルタント 中小企業診断士の足立早恵子です。
読んで頂いてありがとうございます。
2カ月も前の話ですが…。
2024年6月21日 京都市倫理法人会第2116回モーニングセミナーは、藤井絞株式会社の藤井浩一社長のご講話でした。藤井絞さんは大正4年(1915年)創業の絞り染め呉服製造卸業で、藤井社長は3代目のお嬢さんと結婚して4代目を継がれています。
神戸で呉服業界とは無関係の家庭に育ち、大学卒業後は機械商社にお勤めされ最先端の技術開発に携わられていたため、呉服業界に入られた当初は驚かれることが多かったそうです。
信頼関係をベースに口約束で商売が成り立つというのは今から二十数年前とはいえ、他の業界の人間からしたらびっくりな話です。
呉服業界は1980年代のピークから市場規模が1/6にまで縮小していると言われますが、業界自体が時代や人々の意識の変化に付いて行けていなかったことが大きな要因のように感じました。
藤井絞さんでは22~23年前に「雪花絞り」という染め方の浴衣をオリジナルで販売されたのですが、布おむつの時代におむつ用の布に使われていたため業界の人たちから「おむつ柄の浴衣」と揶揄されたそうです。
しかし、2007年に着物雑誌に紹介され、2009年に大手ビールメーカーのCM衣装に採用されたことから人気に火が付き、15年経った今でも売れ続けているそうです。
そうしたことが実現したのも、藤井社長が呉服業界の外から入り俯瞰的に業界を観察した上で慣習にとらわれない自由な発想で事業を進められたからでしょう。
「良いモノは売れる」という藤井社長の言葉には説得力がありました。
今回のご講話で一番印象的だったのは、藤井社長が業界に入られた当初、呉服業界に誰も着物を着ている人がいなかったという話でした。
それは何故かという問いに「着物は売るもので、着るものではない」と堂々と答えられたと言います。
それを聞き、「そりゃ、売れんようになるわ」と思ってしまいました。
そして、業界が大きく縮小したということはそうした方々が淘汰された結果とも言える気がします。
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