滞留・失注リサイクルプログラムの設計方法~全商談の10%からニーズ検知に成功した事例~
セールスリクエスト原です。
今回はナーチャリング施策の一環として商談済み企業のリサイクルプログラムを設計した事例を共有します。
取り組みの発端は、支援先で失注・滞留商談はFSがフォローしてるからISからフォロー不要だと言われましたが、フォロー状況やtodoを洗い出したところ、フォローどころかtodoも付けられていない状況だったので、まずはフォロー入れてみるかと言ったところからスタートしました。
ただ、闇雲にフォローするよりも折角CRMを活用しているのであれば、しっかりと体系化して運用した方がより再現性があるのではないかと思い、いくつかのルールを決めてリサイクルプログラムを設計したところ、失注・滞留商談の10%程度から再検討のニーズを拾えるようになったのでその手順を公開します。
Step1:リサイクルの対象を決める
主に失注・滞留の2点をリサイクルの対象として設定しました。
失注商談・滞留商談の定義については以下に解説します。
失注商談
失注商談とは以下の理由で受注に至らなかった商談の事と定義しました。
①:優先度が下がりペンディングした
②:他社に決めた
③:担当者と音信不通になった
POINT
・CRM上の商談管理項目にプルダウンで失注理由を残すことを推奨
・価格懸念の失注商談は受注率が著しく低いため、リサイクル対象外とした
滞留商談
滞留商談とは最終コンタクト(メールやコールも含む)後、60日以上未活動の商談と定義しました。
企業によって滞留商談の定義は異なるので営業と一緒に定義付けする必要があります。
商材の購買頻度が高いサービスは、60日と言わず自社の平均リードタイムを超過した商談を滞留として定義する形でもokです。
Step2:リサイクルのルール策定を行う
リサイクル対象の商談をフォローするルールを決めて運用の定着化を目指していきます。
失注商談
①リサイクル商談を誰が対応するのか決める
リサイクル商談の対象だけ決めてフォローは営業に一任するケースを多々見受けますが、営業は既存のフォローや進行中商談対応に手一杯で対応出来ない状況になりますので、リサイクル商談は全てISでフォローする事にしました。
②失注した際、FSがCRMに記録する情報のルールを決める
失注時、以下3つの情報を必ず商談に入力する事にしました。
次回のアプローチ日
アプローチする担当者
何をフックに連絡するのか
③ワークフローを設定する
簡単なワークフローを組んでタスクの抜け漏れ対策を行いました。
④タスクの抜け漏れを誰が全体管理するのか決める
ISマネージャーがダッシュボードを使ってダブルチェックをしていく事にしました。
滞留商談
①滞留商談を誰が対応するのか決める
失注商談同様にISで対応する事にしました。
②ワークフローを設定する
失注商談と同様の対応を行いました。
③タスクの抜け漏れを誰が全体管理するのか決める
こちらも失注商談と同様の対応を行いました。
Step3:リサイクルプログラムの設計
策定したルールに沿ってCRM上で簡単な項目やダッシュボードの作成、ワークフローを設計していきます。(例としてSalesforceでの設計方法を公開します)
失注商談
✅商談オブジェクトに項目を作成する
①:「次回アプローチ日」を入力する項目をデータ型「日付」で作成
②:「アプローチする担当者」「何をフックに連絡するのか」を入力する項目をデータ型「テキストエリア」で作成
✅レポート&ダッシュボードを作成する
①:商談オブジェクトのレポートでアウトラインの行に「次回アプローチ日」を設定。検索条件で「次回アプローチ日」項目の相対日付を「今月」に設定
②:ダッシュボードに総計値グラフで表示
✅ToDoの抜け漏れを確認できるレポート&ダッシュボードを作成する
①:活動オブジェクトから「ToDoと行動」を選択してレポート作成
アウトラインの行に設定。検索条件は件名を「滞留商談掘り起こし」日付を「今月」で設定
②:ダッシュボードの総計値グラフで表示
滞留商談
✅最終活動日後、60日経過したらIS担当者にToDoが自動発行されるワークフローを設定する
①:設定からワークフロールールを選択
ルールの新規作成で商談オブジェクトを選択
ルールは「60 > DAY(LastActivityDate)」を適用
②:ワークフローアクションでToDoの作成
割り当て先をISのロールに指定
期日のルール適用日をプラス0日で指定
✅ToDoの抜け漏れを確認できるレポート&ダッシュボードを作成する
失注商談と同様の設定です。
結果
結果としては、以下のような形でわかりやすく商談獲得およびパイプライン増加に繋がりました。
失注・滞留商談からの再商談化を10%向上
滞留商談が動き出す場合、受注までのスピードは比較的早い傾向にあった
通常FSが管理すると認識されている失注・滞留商談の60%は未着手で放置されている傾向にあるのでISがフォローする事によって未着手の商談が0件になり、全体のアポイント数の向上にも貢献
最後に
運用に乗り出すと商談がナーチャリングとして機能する為、IS→FS→ISと綺麗なサイクルとなります。
よくあるのがFSは即案件化する商談が欲しく、温度感低い商談(失注商談の掘り起こしなども含む)はISで温めて欲しいとなるが、経験則からメール及び電話のみで温めるの難易度は非常に高いです。
結局のところ商談の場こそ顧客の購買意向の引き上げにおける最強施策なのではないかと思った次第です。今回行なった失注・滞留商談のリサイクルプログラムの設計は業績貢献に繋がる可能性大なのでCRM・SFAを活用する企業はぜひ取り組んで欲しいです。
以上となります。
リードナーチャリングでお困りであれば、ぜひお問い合わせください。
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