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【トレンドに惑わされるな!】ザモデル型分業制が“逆効果”になる企業の落とし穴とは?
1. はじめに
近年、大きな注目を集めているザモデル型分業制。
「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4部門に役割を分割し、専門性を高めて効率的に営業活動を行う──という理想的なスタイルとして広まっています。
しかしながら、すべての企業にとって「ザモデル型がベストな選択」とは限りません。実際、導入後に想定外のコスト増や部門間連携の混乱などが発生し、むしろ業績を落としてしまうケースもあるのです。
この記事では、あえて「ザモデル型分業制を導入しないほうがよい可能性がある企業」に焦点を当て、どのような落とし穴が潜んでいるのかを具体的に解説します。自社の営業組織改革を検討する際に、安易に飛びつくのではなく、ぜひ一度この記事の内容を参考にしてみてください。
2. ザモデル型導入で生じがちな5つの落とし穴
2-1. 部門間連携コストが想定以上にかかる
ザモデル型は、営業プロセスを4つ以上の部門に細分化するため、部門間連携がうまくいかなければ情報が分散・断絶してしまいます。
課題例
顧客情報の重複や抜け漏れが発生
インサイドセールスからフィールドセールスへの引き継ぎが不完全
結果
顧客対応が遅れたり、担当者不在でフォローが止まるなど、かえって顧客満足度が下がる可能性も
2-2. 小規模企業・低単価商材には採算が合わない
ザモデル型は導入にあたって、新部門の立ち上げやツール導入など、少なからず投資が必要となります。
課題例
従業員数が少なく、複数部門を作るほどのリソースがない
商材単価が低い場合、かかるコストに対してROI(投資対効果)が見合わない
結果
組織の分業化による初期コストを回収できず、営業利益を圧迫してしまう
2-3. 柔軟性の喪失による機会損失
ザモデル型は、標準化されたプロセスに従って運営されるため、イレギュラーや一度きりの大きな案件などに柔軟に対応しにくい側面があります。
課題例
特別要件のある大型商談が発生しても、フィールドセールスの担当外になり動けない
迅速な意思決定が求められる場面で、部門間の意思疎通に時間がかかる
結果
機動力が失われ、貴重なビジネスチャンスを取り逃す可能性が高まる
2-4. 部門ごとのKPIが“部分最適”に陥る
分業制では部門別にKPIを設定するケースが一般的ですが、全体を俯瞰した視点が希薄になると、各チームが自部門の数字だけを追いかける“部分最適”に陥りがちです。
課題例
インサイドセールスが「アポ数」だけに注力して質の低い商談を大量に発行
フィールドセールスが新規受注だけに集中して、既存顧客のフォローが疎かになる
結果
チーム同士の足並みが乱れ、最終的な売上や顧客満足に悪影響が出る
2-5. 企業文化と合わずモチベーションが下がる
ザモデル型を成功させるには、顧客中心主義やデータドリブンな企業文化が必要になります。
課題例
もともと“属人的なトップ営業”が成果をあげていた企業文化に変革を迫るのは困難
KPIやデータ管理を徹底しすぎるあまり、創造的な営業活動がしづらくなる
結果
営業担当者のモチベーションが下がり、生産性低下や離職率の増加に繋がるおそれ
3. ザモデル型以外の選択肢・見直す際のポイント
3-1. 部分的なリニューアルも選択肢
ザモデル型をフルスケールで導入するのではなく、まずはインサイドセールスの立ち上げやフィールドセールスの分業化だけなど、段階的に試すアプローチも考えられます。
メリット
投資リスクを抑えつつ、どの工程が効果的に機能するかを検証できる
最終的にフル導入が難しくても、部分的な改善は営業効率を高められる
3-2. ハイブリッド型の検討
時にはインバウンドとアウトバウンドを組み合わせたり、既存組織と新部門を並行運用する“ハイブリッド型”を検討するのも一案です。
例
マーケティングやインサイドセールスは社内に組み込み、フィールドセールスは引き続き既存の営業担当が担う
注意点
組織構造が複雑になるため、運用フローとコミュニケーションルールの整備が重要
3-3. 自社にフィットした仕組み化支援を相談
営業組織改革の専門家やコンサルタントに相談すると、自社の規模・商材・予算などに応じたベストなスキームを提案してもらえます。
メリット
成功・失敗事例の知見が豊富なので、自社だけでは気づけない課題に早めに対処できる
仕組み化支援の実績がある場合は、最新のツールや成功パターンを踏まえたアドバイスが可能
4. まとめ
4-1. まとめ
ザモデル型分業制は、専門性を活かした効率的な営業体制を作れる一方で、導入コストや部門間の連携難度、企業文化との相性といった課題も数多く存在します。
ザモデル型が合わないケース
十分なリソースがない(人員・予算)
柔軟性やスピード感が重要なビジネスモデル
ビジネス単価が低く、ROIが見込めない
属人的な営業スタイルが強く根付いており、企業文化に馴染まない
一方で、部分的な導入やハイブリッド化、既存組織の強化など、検討すべき選択肢はほかにも多く存在します。自社の現状と照らし合わせ、慎重にメリットとデメリットを比較することが大切です。
4-2. 今後のアクション
まずは現状整理
営業プロセスを分解し、どこにボトルネックがあるのかを明確にする
「今すぐ必要な施策」と「中長期的に必要な体制」を切り分けて考える
専門家・コンサルタントの意見を取り入れる
「自社にザモデル型は本当に必要か?」という問いをプロの目線で検証
部分的導入のシミュレーションなど、客観的な視点でアドバイスを得る
無料相談の活用
弊社では、営業DX導入コンサルティングからツール選定・運用支援まで、一気通貫でサポートしています。営業組織の立ち上げ・仕組み化支援を専門とするサービスの無料相談をこちらでお受けしています。
営業組織改革は企業の生命線を左右する重大なプロジェクトです。だからこそ、慎重に情報を収集し、ベストな一手を選択することが大切。あなたの企業が、“自社ならでは”の戦略で成長を加速させられるよう、最適なサポートをさせていただきます。
ぜひ今、ザモデル型“以外”の可能性も含めて、もう一度営業組織を見つめ直してみてはいかがでしょうか?