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「良い商品なのに売れない…」事業を殺すマーケティング版シュレディンガーの猫について

シュレディンガーの猫、量子力学が不完全であることを説明するために作られた思考実験。

シュレディンガーの猫をモチーフとした設定はSFやミステリーを含めた創作に登場するため、「あー、大体知ってる」人も多いでしょう。

このシュレディンガーの猫の概念はマーケティング、ひいては経営においても登場します。

今日はマーケティングにおけるシュレディンガーの猫とはどのような状態か?それを解決するためにはどうすればよいのか?についてお伝えしていきます。

シュレディンガーの猫ってなに?

そもそもね、シュレディンガーの猫を知らない人もいると思いますので簡単に説明します。

簡単に説明すると

量子力学では観測されるまで電子の状態が定まらない(重ね合わさって存在してる)とされています。

明らかに、現実を生きる私たちにとっては受け入れがたいその理論に対して「じゃあ、電子の状態によって50%の確率で死ぬ空間に猫を閉じ込めたらどうなる?」と疑問を投げかけた学者がいました。

それがオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガー。

シュレーディンガーは「観測者が猫の状態を確認するまで猫は死んだ状態と生きた状態が重なって存在してるってこと?そんなんありえんくない?」と主張したのです。

どうでもいいけど、猫かわいそうですよね。

じゃあ、マーケティングに拡張したらどうなるのって話です。

マーケティングにおけるシュレディンガーの猫現象ってなに?

あなたの店を認知してない消費者にとって、あなたの店は存在していないのと同じ。

という現象を説明したものです。

「観測者の有無」によって猫の生死は不確定とされていた本家のシュレディンガーの猫とは異なり、認知されていないプロダクトは明確に死にます。

自分のビジネスを愛しているのはあなただけ

あなたは観測者なので自分の店の立地やいいところ悪いところ全て知っているのでしょう。

全てを知っているあなたは、そのテンションで「最高の事業ができた!世の中の不を解決するんだ!」と息巻いているかもしれません。

しかし、ここで悲しい現実をお伝えしなければなりません。

人から愛されるためにはまず、知ってもらう(認知してもらう)必要があるのです。つまり、あなたの事業がまだ知られていない場合、愛しているのはあなただけ。ただ一人の愛です。

認知されるまであなたの店の存在は不確定

あなたの店が何を提供して、どこにあるかなんて、認知してなければ分からないものです。

観測するまで猫の状態が分からなかった本家シュレディンガーの猫。それと同様に、あなたの店の良さが伝わるのは認知された後の話です。

そもそも、認知をされるまであなたの店・事業は顧客の中に存在していないのです。

物理学におけるシュレディンガーの猫は思考実験だったんで本当に死んだ猫はいませんでした。しかし、店の経営は現実世界の話なので事業は本当に死にます。

どう思います?店かわいそうですよね。

「商品(サービス)は良いのに売上が伸びない…」は経営者の責任

「商品(サービス)は良いのに売上が伸びない…」と嘆く経営者の方が結構います。

分かります。

恐らく、既存製品と比較して素晴らしいパフォーマンスを発揮したり、ユーザーの不便・不満・不安を解消する素晴らしいプロダクトなのでしょう。

しかし、これからも何度も申し上げますが「認知されてない商品は存在していない」のです。ターゲットに届けることができなければその事業は存在していないのです。

スモールビジネスの教科書ではこれまで20個以上のスモールビジネスのケーススタディを紹介してきました。成功しているスモールビジネスは認知の集め方が上手です。

詳細はマガジンを読んでいただきたいですが、売れるプロダクト・事業は集客と顧客維持のための施策を考えています。

プロダクト・事業が素晴らしいと自信を持っているのならばプロダクトを作るときと同じかそれ以上に集客に力を入れるべきです。

プロダクトの良さを知っているのはあなただけです。素晴らしいものが世の中に広がらないのは、プロダクトを認知しない顧客のせいではありません。

プロダクトの認知を広めないあなたの責任です。

もちろん、集客について考えていない経営者なんて存在しないことは分かっています。

しかし、「良いものだから」と誰かが偶然試して、口コミで広まっていくことを願っている人がいるのも事実。

商品があふれる現代において「プロダクト力」にあぐらをかいていては売れるものも売れません。事業を殺さないためにも観測者(認知)をとることに力を入れてください。

知ってもらう、手が届くところにある、スキになってもらう

マーケティング戦略の名著「確率思考の戦略論」にも書いてありますが、売上は定式化できます。

売上 = 認知率 * 配荷率 * 過去購入率 * 購入検討対象率 * 年間購入率 * 年間購入回数 * 平気購入金額

上の式を自分に有利にするために、あなたがコントロールできる要素はたった3つだけです。

  • 認知率

  • 配荷率

  • プリファレンス(選好性)

「プリファレンスなんて上の式に存在してないけど?」と思うでしょうが、上の式の背景に存在しているのがプリファレンスだと思ってください。

ざっくり言うとブランドに対して消費者が抱くイメージ、それがプリファレンスです。例えば、以前購入した時の店舗が綺麗だったり、商品体験が良かったりとすべてが関係してきます。

つまり、売上を立てるためには

  1. まず、知ってもらう(認知)

  2. 次に、行きたいなと思ったときに行ける距離にあること(配荷)

  3. そして、また来てもらえるようにすること(プリファレンス)

この3つが重要ということです。

まず、大前提として認知がゼロなら売上もゼロです。そして、「買いたい」と思っても買える距離に商品が存在しなくても売上げがゼロです。そして「二度と行きたくない」と思われれば二回目以降売上げがゼロです。

逆に言うと経営者はこの3つの指標をいかに高めていくか”だけに”集中すればいいのです。

良い商品を作ればお客さんはついてくるという考えは間違っている

たしかに、良い商品を作ればプレファレンスを高めることができます。しかし、良い商品かどうかは消費者が判断するものです。

つまり、「認知がゼロの商品なのに良い商品」と判断できるはずがないのです。トライアルなどでお客様が利用して何度もリピートしてくれていればいい商品でしょう。しかし、プロダクトが誕生した段階で良い商品であるかどうかを確かめる術はありません。

何度でも言いますが、いい商品かどうかを判断するのは消費者です。

分かったら認知を安く獲得して、様々な人が手に取りやすい配荷を行って、プレファレンスを高める施策考えましょう。

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【おまけ】誰にも見られない情報はゴミなのか?について考えてみた。

たとえば、誰にも見られない情報はゴミなのか?について自問自答してみました。

  • 誰にも見られない情報はゴミなのか

    • Yes、ゴミである

  • 仮に1000万円必ず稼げる情報をWebに放ったとする、Googleにインデックスされなければゴミなのか?

    • ゴミではない

  • なぜ?

    • SNSに投稿したり、友人に教えることで必ず見る人がいる

    • その人たちは儲かり、価値が発生する

  • 全く認識されなければ?

    • 何度も言うがゴミでしかない

    • 観測されないものは存在してないって量子力学もブッダも言ってた

  • "本当に"価値がある情報なら指数関数的に広がっていくか?

    • そんなわけがない

    • 1000万円必ず稼げる情報は人数限定かもしれない、そうすると親しい人の間だけで広まり、一部のコミュニティにしか広がらない。

    • "本当に"○○とか自分の思考の中でとどめるのは良いけど他者と共有しがたい概念をコミュニケーションで使うのはセンス無いよね

  • じゃあ、人数制限なく1000万円必ず稼げる情報があった場合、指数関数的に広まっていくと思う?

    • 広まらない

  • なぜ?

    • 情報をあたかも自分が考えた情報のように伝える人間が存在し、それが情報’などのように形を変えていくから

    • つまり、似たような情報は広がりを見せるがオリジナルで伝えたかった部分が消える可能性がある

  • 形が変わっていくと何が問題?

    • 情報Bを出した開祖が情報を発信しなくなる可能性

    • 形を変えた情報の再現性が不明

結論
誰にも見られない情報はゴミだし、価値がある情報だとしても指数関数的に広がりを見せるわけではない。

昨今のSDGsを考慮すると我々情報発信者はゴミ情報を作らないように認知を獲得していく必要がありますね。

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