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マンハッタンの闇から学ぶ情報の非対称性~24ドルが8,700億ドルに化けた最強の取引

100万ドルの夜景。

キレイで価値があるものを「100万ドルの○○」と表現する文化があったことから生まれたフレーズ。

100万ドルの夜景と名付けられた場所は世界各地に存在しており、有名どころで言えば、マンハッタン島の中心付近に位置するエンパイア・ステート・ビルからの夜景ですよね。

キングコングが怒り狂って登った由緒正しいエンパイアステートビル

エンパイアステートビルと言えば、アメリカを代表する建築物の一つでもあり、特撮映画「キングコング」で、人間の所業に怒り狂うコングが登ったビルだと言えばピンとくるかもしれません。

映画では、エンパイアステートビルの頂上で森の王者であったコングは命を落とします。マンハッタンを一望できるその場所で彼は何を思い、世を去っていったのか分かりません。

しかしコングが、かつてこの地に生きたネイティブアメリカンの事を知っていたならば「こいつらえげつない取引しとるな…そりゃ勝てんわ……。」と諦観の念を抱いたかもしれません。

マンハッタンの歴史においてはキングコングですら「こりゃ無理だ」とあきらめたくなるほど非情な取引が行われていたのです。

今回の記事は、そんな歴史の闇とも言える非情な取引から「情報の非対称性を活用する方法」について解説していきます。

世界有数に地価が高いマンハッタン

ご存じの方も多いと思いますが、マンハッタンは世界トップクラスに地価が高いアメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市に属しています。

色がついているのがニューヨーク州

灰色以外で塗られた部分がNYであり、マンハッタンはピンク(#D067D0)の部分です。この土地が世界でもトップクラスに地価が高いんです。

グローバル不動産ジャーナルによると、マンハッタンの坪単価は48,784ドル円/坪。ピンとこない人は東京の1.6倍くらい高価だと思ってください。

マンハッタンの広さは59.1㎢なので、先の坪単価からすると合計8,700億ドル(大体100兆円)ほどの価格になる※。もちろん、これは不動産価格から算出した価格なので本当の地価の合計とは言えません。それでも相当に価値のある土地だということは分かっていただけたと思います。

※マンハッタンの不動産価格の計算
平方キロメートル=1000^2平方メートル∴59.1平方キロメートルは59.1×1000^2平方メートル1坪≒約3.3平方メートルなので、マンハッタンの不動産価格合計は(59.1×10^6平方メートル/3.3)×48,784ドル≒873,677,090,909ドル

ざっくりした計算(間違ってたらご指摘ください)

そんなマンハッタンですが、先住民族であるネイティブアメリカンが24ドル相当の物品と交換していたことをご存じでしょうか?

8,700億ドルを24ドルですよ?マジかと。

そりゃ、キングコングも「こりゃあかん。人間の欲望には勝てまへん。」と諦めます。

「客を人間と思うな!同情したら金にならねェ。」と豪語するウシジマくんですら、この取引にはさすがにビビるでしょう。

闇金ウシジマくん

今回のnoteは、

  • 自分の資産を安値で売り渡したくない

  • マンハッタンを24ドルで売るネイティブアメリカンになりたくない

  • 何なら、24ドルでマンハッタンを貰いたい

  • 24ドルで8,700億ドルとは言わなくても有利な取引がしたい

そんな人に向けて8,700億ドルを貰う側になるために知っておくべき情報の非対称性について解説していきます。

アンフェアトレードのおさらい

1626年、オランダ人の提督ピーター・ミニュットが60ギルダー相当の物品を私、ネイティブアメリカン(インディアン)から譲り受けたのがマンハッタンです※。

※1626年当時の60ギルダーの価値
19世紀の歴史家が米ドル換算したところによると約24ドル。
2011年時点の価格に直すと、734.77ユーロ、951.08ドル

だから正確には951ドルで交換したってことですが、24ドルの方がインパクトあるからね

見てください、この美しいマンハッタンの景色を。このビルたちの足元に存在するのはたったの24ドルで交換された土地なんて、信じられません。

もちろん、当時はこんな立派な建物などなく、ただの更地に近かったのでしょう。当然今よりもっと価値は低かったのは間違いありません。今のマンハッタンの価値は、その後の土地整備、ビルの建設など様々な努力があってこそです。

とはいえ、24ドル。
正確には24ドル相当の商品(確かビーズと装身具)。

「いやいや、そうはいっても当時の24ドルでも現在価値に直したら相当価値があったんじゃないの?」

インフレ調整すると951ドルなので、確かにまぁまぁ高価です。しかし、土地の価格として安いのは間違いないでしょう。実際、ビーズと装身具で交換しているのでピーター・ミニュット提督からすると「なんかこいつらビーズを珍しがってるから取引持ち掛けたろ」くらいの気軽さだったと思います。

どうして先住民たちはビーズと交換で土地を売ってしまったのか?

聡明な皆さんは「おい!ビーズと交換で土地を売るな!」と思うかもしれません。しかし、当時の先住民の生活を考えるとそれも仕方のないことでした。

当時ネイティブアメリカンに不動産(土地)を所有するという概念が無かったのです。※

※諸説あり。
実際には”土地の権利を認識していた”とか、”売り渡したというより「追加で済んでイイよ」って認識だった”とかありますが、何をやり取りしたのかを正確に理解していなかった可能性は十分にあります

例えば、ピーター・ミニュットから取引を持ち掛けられたときに、このようなやり取りがあったんではないでしょうか。


「ん?なんや、このキラキラしたものと格好いい装身具をくれるんか?」

「あぁ、ただ一つお願いがあるんだ。この土地の権利をくれないか?もちろん、あなたたちはこのまま住み続けていいから。」

「ん?住んでて良いんか?権利?だけあげるってことやな!よくわからんけど、ええで!」


よくわからないけど、欲しいものがもらえるからOKする。皆さんは「そんなバカなことはしない!したことがない!」と思うかもしれません。

しかし、私はネイティブアメリカンをバカにすることができません。幼い頃に似たような経験をしていたのです。

アンフェアトレードに気付けなかった幼い頃の記憶

当時小学生だった私は、同年代の少年たちと同様に遊戯王にはまっていました。なけなしのお小遣いからカードパックを購入して、一喜一憂しながら「ぼくのかんがえたさいきょうのデッキ」を作っていたのはとてもいい思い出です。

しかし、マンハッタンの話を聞いたとき、一つの嫌な出来事が思い出されました。


いつものように公園で決闘デュエルしながら遊んでいた小学校低学年の私たち。

すると、お兄さんが近づいてきました。年のころは14歳くらいでしょうか?とにかく、当時小学校低学年だった私からするとずいぶん大人に見えました。

今考えると小学生(しかも低学年)の遊んでいるところに来る中学生なんてやべー奴だと分かるものでしょう。

しかし、おもちゃ屋では大人ともデュエルをすることもありましたし、当時の私たちからすると決闘者デュエリストはみな平等だったため、仲間に入れてあげて決闘デュエルしてあげていたのです。

何戦か決闘デュエルをした後に、彼はトレードの話を持ち掛けてきました。

「君の持ってるサイコショッカーとこの○○をトレードしないか?」と。

交換する相手のカードについては覚えていません。しかし、複数枚のウルトラレアとの交換で、口が上手かったのもあり、悩みながらもOKしました。当時はスマホなど普及しておらず、すぐに相場を知る手段などなかったのです。

しかし、後々相場に詳しい決闘者に話を聞くと、どうやら受け取ったウルトラレアカードは使い勝手の良くないもので、相手に有利なトレードだったのです。

それを知ったとき「べ、別にいいし、URが増えたほうが嬉しいし」と強がっていましたが心中は穏やかではありません。

当時のプロコンの心境

しかし、いくら嘆こうとも成立してしまったトレードを覆すことはできません。

マンハッタンを24ドルで取引した先住民も、サイコショッカーを失った私も、額は違えど愚かなアンフェアトレードにのせられたのです。

しかし、私はこの苦い体験からアンフェアトレードで愚かな交渉相手にならないための教訓を学びました。

アンフェアなトレードが成立する条件

  • マンハッタンを24ドル相当で売り渡す

  • サイコショッカーと雑魚カードをトレードしてしまう

この二つのアンフェアトレードが成立した究極の原因は、自分が取引するものについて理解していなかったことです。取引によって「自分は何を手に入れるのか?」、「自分は何を手放すのか?」この2つについて正確に把握すればするほどフェアなトレードに近づいていきます。

マンハッタンの取引の場合は、手に入れるものと失うもの、両者に対して正確に価値を認識していなかったため超絶アンフェアなトレードが成立しました。

一方遊戯王の場合は手放すもの(サイコショッカー)の価値は認識していたつもりでしたが手に入れるもの(複数のウルトラレア)の価値を誤認させられました。

アンフェアトレードで損をしたくなけれ、取引するものについて正確に理解することです。

相手から取引を持ち掛けられるときは疑ってかかるべきです。相手が提示しているものがいくら魅力的に見えたとしても、あなたが手放すものはもっと価値があると認識してください。

アンフェアであっても合法の取引である

いままで、アンフェアトレードと言ってきましたが、どちらの例も脅迫されて取引に応じたわけではありません。第三者から見るとアンフェアに見える取引ですが、当事者間では合意されている取引※なのです。

つまり、マンハッタンを手に入れたピーター・ミニュットとサイコショッカーを手に入れた謎のお兄さんのヤリ得なわけです。

アンフェアトレードを成立させるために必要な「価値の認識の差」の事を一般的には「情報の非対称性」と呼びます。

情報の非対称性が大きければ大きいほど、お得な取引をすることができます。

ここからは、

  • 「アンフェアだ!」と騒がれないようにするためのポイント

  • 今もアンフェアトレードが頻繁に行われている市場

  • 情報の非対称性を利用して有利なトレードをする2つの秘訣

について説明していきます。

情報の非対称性とは?

商品やサービスの売り手と買い手の間、または企業と投資家など異なる経済主体の間で保有する情報に格差があること。株式市場では、情報の非対称性を解消するために、重要情報を知る企業関係者らの取引を禁じるインサイダー取引規制などが設けられている。

株式会社時事通信社より

つまり、取引するときに片方はめちゃくちゃ詳しいけど、もう一方はそれほど知識がない状況の事です。

情報の非対称性が重要な役割を果たす○○市場

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