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どんな事業を選ぶべき?スモビジ起業における領域選択。

「そうだ、スモビジ起業しよう」

こう思ったとき、まず初めに考えるのは「どんな事業を選ぼうか?」ということですよね。

スタートアップであれば「まだ世の中にないサービス」を作ろうと鼻息荒くアイデアを見つけるのでしょうが、スモビジ起業は違います。

市場に既に存在しており、ある程度儲かるだろうことが分かる事業で起業するのです。しかし、世の中には沢山の、それはもうたくさんの事業があります。

スモビジ起業するにあたって、私たちはいったいどの事業を選べばいいのか、だれか答えを教えてくれ!と叫びたくなりますよね。

世の中の起業本を読むと、その多くが「自分の原体験をもとに事業を作るべきだ」と語っています。つまり、「これまでの人生で、不安や不満を覚えたこと、憤りを感じたことで起業するべきだ」と述べているわけです。

しかし、これは本当なのでしょうか?

私たちは、自分が課題を感じていない領域で起業をしたら利益を生むことができないのでしょうか?

当然、そんなことはありません。世にある起業本の多くがスタートアップに寄り過ぎているため、あたかもそのように感じてしまうだけです。

露悪的な言い方をすれば、スタートアップとは資本家がカネで他人の人生をチップとして大金を得るための博打一部の特殊な業界で原体験が重要だからと言って無条件で一般化し、「原体験をもとに事業を作るべき」なんて言ってたら、それってあなたの感想ですよねとツッコまれて論破されてしまいます。

スタートアップにおいて”原体験”はなぜ大事とされるのか?→チップが勝手にゲームを下りないようにするため。」という記事でも言及しているので定期購読者はぜひご覧ください。

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皆さんご存じの通り、スタートアップとスモールビジネスは同じ”起業”という括りでも大きく違うのです。

スモールビジネスで起業をする場合

スモールビジネスで起業する場合、原体験がある領域で起業するメリット・デメリット、未経験の領域で起業するメリット・デメリットを比較してみて、自分にとってどちらが向いていそうか?を選べばいいだけです。

そこに「世の課題を解決する」とか「こんな世界はおかしい!」という大きな志など要りません。

わりかし低リスクで、そこそこのリターンが得られて、労力と比すれば会社員よりも十分良い人生が送れるように。とか、自分の素直な気持ちに従ってどんな事業をするかを選べばいいんです。

ということで、今回のnoteでは、未経験の分野で起業する場合のメリット・デメリット、経験がある分野で起業する場合のメリットデメリットについて解説していきます。

起業のアイデアを得る上で参考になるnote

起業したいけどアイデアがない人のためのスモールビジネスの作り方

スモビジ起業をする上で、アイデアとか”ぼくのかんがえた さいきょうのびじねす”なんて不要ですよ、ということを伝えています。

また、後半は儲かる事業の探し方や条件、どんなパターンで起業するか?などという部分にまで踏み込んで解説してます。

新規事業に斬新なアイデアはいらない-そのサービス既にあるよと言われたらチャンスなんだよ。

「いや!起業にアイデアは必要だろ!」というアイデア重視論者に対して、わかりやすく斬新なアイデアが不要な理由について説明しています。これを読んでもまだ、起業アイデアが成功を左右と考える人は、もうそれでいいです。

【5分でわかる】起業アイデアの考え方、気付き方~科学的に理解できるマインドセットの重要性

起業アイデアはいらない!と言い過ぎたせいで「一体何で起業すればいいんだ……」と過剰に悩ませすぎたことに反省して書いた記事です。

斬新なアイデアがいらないという話は変わらないのですが、「こういう領域で起業しようかな」というアイデアというか”気付き”は必要ですよねって解説してます。

スモビジ大全で紹介してきた60以上のケーススタディを踏まえて事業アイデア・起業アイデアへの気づき方をわかりやすくお伝えしています。

スモールビジネス大全

スモールビジネス大全では、海外のスモールビジネスのケーススタディを定期的に紹介しています。

変わった事業を紹介することもあり、購読者の中には、ケーススタディから着想を得て事業を作り売上を作るのに成功した人もいます。初月無料ですし、安いので何も考えずに購読しておけばいいと思います(Senden)。


さて、参考になるnoteを紹介したところで、そろそろ本題に。原体験がある領域で起業する場合と未経験の領域で起業する場合のメリットデメリットを説明していきます。

少々長いかもしれませんが、単純に読み物としても、他人の視点をインストールする媒体としても使えます。

ただし、最終的には「自分の経営資源と起業の仕方を考えた場合、こちらの方がよさそうだな」と判断する必要があります。起業をすると、嫌でも意思決定をする場面は増えていくのでこれくらいはパパっと考えられるようになっておきましょう。

経験ある(良く知っている)領域で起業する場合

一般的には起業する場合、自分の良く知った領域で起業することをイメージすると思います。少し考えただけでもいくつかメリットが思いつきますからね。

中でも一番大きいメリットは、実績や専門性をそのまま転用できることでしょう。もし、売り物になるスキルや実績がある場合、商品設計さえ外さなければ、すぐに売上を立てることができるようになるでしょう。

他にも、業界特有の課題に気づけたり、顧客が持っている課題感をリアルにイメージできるのは大きなメリットです。そして、独立して起業する場合、すでに顧客との接点を持っていることも多いため、ゼロイチ集客という最大の悩みを解決することが比較的簡単になります。

あんまり知られてないけど、デメリットもある

一方で、経験ある領域で起業する場合のデメリットも存在します。経験ある領域で起業する場合、その"経験"はおそらく務めていた会社組織で積み上げてきたものになるでしょう。

どれだけ「この会社本当にしょぼいなぁ」と思っていたとしても、おそらくあなたが独立した時点よりかは強い組織を持っているはずです。リード獲得のマーケ部隊、案件獲得の営業、業務をつつなく回すためのバックオフィス、PMO含めたデリバリー部隊、サプライチェーン部隊など事業領域によって求められる部隊は変わりますが、起業した瞬間に揃えられますか?

無理ですよね。

そもそも、会社員で自分の取り組んでいる事業の全体像を把握し、一から構築できる人は全体の1%もいません。

つまり、起業する前に属していた組織の仕事を"そのまま"サービスとして提供すると詰みます。

あなたにいくら経験があるといっても、法人単位でみると貢献度はほんの一部分でしかないのです。そして経験がある部分だけで仕事を取ろうとすると必然的に市場は小さくなってしまいます(経験の種類にもよるけど)。

「○○さん、独立したら仕事くれるって言ってたし独立してみるか」→案件はもらえたけど、契約書作成と締結、請求関連の処理、入金確認などの業務、クライアント対応、今後の案件獲得のためのマーケティング、全部やらねばなりません※。


※ちょっと大げさに言ってます。バックオフィスなどは外注できますし。ただ、外注するにも「どうやって人材を探せば?」と思考停止してしまう人も一定数います。


経験ある領域で起業する場合、自分の中のハードルが勝手に上がってしまっているので、何も考えずに「会社でやってたことをそのままやろう」と思うとほぼ確実に詰みます。気を付けてください。

お客様からしたら、あなたが独立したてだろうが組織のスタッフとしてだろうが関係ありません。あなたには、お金を払ってる分の価値が求められます。

また、toBの領域に限りますが会社員時代、予算を触ってなかった人はほぼ確実に”超安売り”します。これは間違いありません。クライアントが会社に支払っている金額と会社があなたに支払っている金額にはギャップがありすぎるのです。

それを知らずして起業する場合、安売りします、確実に。

経験のある領域で起業する場合だからと言って、高を括ってはいけません。ビジネスモデル、カネの流れ、金額の大きさ、サービスの品質など、もう一度調べましょう。

これ以上ないほどの生データが目の前(会社)にあるのです。独立したいと思った瞬間から、自分以外がどのような仕事をしているのか?組織としての全体像はどうなっているのか?を学ぶようにしましょう。吸収する前にやめてしまうのはもったいないです。


また、経験ある領域で起業する場合の最後のデメリットとして、”固定観念にとらわれてしまう”というものがあります。

「知っていること」は基本的に有利に働くことが多いのですが、「会社員時代はこうやって仕事をしてた」という知識が足を引っ張ってしまうこともあるのです。

どう考えたって、契約書はWebで完結させた方がいいのに経験から紙で用意してしまう。営業は必ず対面じゃないといけないという固定観念。

すべての知識がマイナスに働くわけではありませんが、独立すると組織の一員だった時とは違い、自分の行動・意識による影響をダイレクトに受けます。

すべての最高責任者はあなたであり、仕事の仕方一つとったとしても、「これでいいのか?」と考えられる人でないといつの間にか競合に劣後しているかもしれません。気を付けたいですね。

【まとめ】経験ある領域で起業する場合

長々と説明しましたが、簡単にメリット・デメリットをまとめると

メリット

  • 実績や専門性をそのまま転用できる

  • 業界・顧客の課題に気付きやすい

  • 顧客とのつながりがある場合もある

→概して「売上が立つまでの期間が短くなる」という利点につながります。

デメリット

  • 過信してしまう

  • サービスのハードルが無自覚に上がっている

  • 安売りしてしまうことが多い

  • 固定観念にとらわれてしまう

→脅しましたが、「調子乗んなよ」、「視野を広く持てよ」と言い聞かせることで解決可能な問題ではあります。


こうして確認してみると「調子に乗らない」、「視野を広く持つ」という戒めを持ち続けさえすれば売り上げが立つまでの時間が短くなる傾向にあり、経験のある領域で起業するのも悪くなさそうですね。

ただし当然ですが、人によってはここで挙げたメリットを享受できない人もいます。実績や専門性がないとか、業界・顧客の課題感に気付けない、顧客とのコネもないとか※。

メリットを享受できないのであれば、良く知っている領域にこだわる必要はないかなと、個人的には思います。


※超現実的なことを言うので見たくない人は次の章までスキップしてください。

長年働いているのに、今回挙げたメリットを享受できない場合、そもそも”各種能力値が低い”という可能性があります。あくまでも可能性ですが。

能力値が低い人の場合、領域を絞らず広く事業を探しても「起業しない方がいいですよ」って結論に至ることもあります。誰もが起業して理想とする生活をつかめるわけではありません。そんな幻想は捨ててしまいましょう。

「会社員としてはだめだったけど起業して成功した」系の話を聞くことがあると思いますが、よくよく聞いてみると組織の一員として働く能力に欠けていただけで、経営者としての能力は優れていることがほとんどです。

「起業して誰もが理想の生き方を✨」という発言を信じて勢いで会社を辞める前に、まずは副業的に、低リスクで自分の資質を確かめてみましょう。会社が辛くて起業したいと思っているならあなたに合った会社を探す転職活動を頑張りましょう。

普通の人にとっては、勢いで会社を辞めてスモビジ起業を成功させるより、自分に合った会社を探すほうが簡単なのです。スモビジ起業は万人を救う魔法ではありません。

これを見ているあなたが耳障りの良い言葉に騙されてしまわぬよう願っています。


領域にこだわらない場合

ちょっと現実的な話をしてしまいましたが、気を取り直して説明を続けていきます。次は知っている領域にこだわらずに起業する場合のメリット・デメリットです。

領域にこだわらず起業する場合も大きなメリットがあります。領域を絞らないことで労力はかかりますが、手広く「儲かる事業」を探すことができますし、別領域での専門性を転用することでブレイクスルーをもたらす可能性もあります。

遺伝的アルゴリズムはその名の通り、生物の進化を模倣する形で生まれましたし、深層学習も元々は人間の脳の仕組みを模倣する形で誕生しました。

リーンスタートアップも、元はスタートアップで使われていたビジネス開発の手法です。

他にも、遊休資産を活用することで格安で印刷することができるサービスであるラクスルの創業者は新卒でA.T.カーニーに入社したコンサルタントでした。

別領域の視点をもって見ることで新しい風を吹かすことは珍しいことでもありません。上で挙げたような大きな変革とまでいかなくとも、小さな効率化・改善などであれば難易度は高くありません。

他にも、経験がない領域というのはそれ自体がメリットなのです。まず、必然的に人を頼るようになります。仕方ありません、分からないんですから。

漫画「ワンピース」の主人公ルフィのように叫んじゃってください。

漫画「ワンピース」より

船長である主人公が「自分は何もできない」ことを開示し、船員であるみんなの助けが必要だと叫んでいるのです。所詮は漫画に登場する一コマですが、結構芯を食ったことを言っています。

なまじ経験がある領域だと「自分の方が詳しい」とか「自分がやったほうが早い」となんでも自分でタスクを巻き取ってしまいがちです。しかし、経験がない領域であれば、他人に頼るしかありません。

必然的に「他人と協力するスキル」が身につくのです。このスキル、少し考えればわかりますが組織を作っていく上ではめちゃくちゃ重要ですよね。

会社員として評価するとポンコツもいいとこなのに、会社を経営してエリートサラリーマンの何倍もいい生活ができる人がいます。そういう経営者は、他人に頼ることの凄さを知っているのです。

自分にできないことは他人にやってもらえればいい。

未経験の領域だといい意味でプライドが邪魔をせず、他人の力を頼ることができます。これは将来的にみると大きなメリットですよね。

「いや、でも人を雇うとお金がかかるじゃん。無理だよ」なんて考えている人は甘いです。何も社員として雇うだけが他人に頼ることではありません。

SNS上で、業界に詳しい人とコミュニケーションをとって関係を築いてからごはんに誘うとか、ビジネスマッチングアプリを使うとか、お金をそれほどかけずに他人の力を借りることなんて簡単にできます。

また、経験がない領域で起業するということは試行錯誤を繰り返すことになります。嫌でもPDCAをまわすわけです。

一発で正解を引き当て続けるラッキーマンにあこがれるのは勝手ですが、そんな夢のような話はありません。「これはいける!」と思った施策が滑るなんて起業すると当たり前のように経験します。

施策が上手くいかなかったとき、下手に経験があるせいで「なぜ、この施策が上手くいかないんだ……。おかしい!」と思考停止になるよりも「まぁ、経験ないししゃあない。いろいろ試していこう!」と考えられる方がいいに決まってますよね。

そして最後のメリットとして、商品に対する「これくらいでいいや」も「これくらいはやらないといけない」という基準が固定されていないということも挙げられます。

下手に経験があると、良くも悪くも「こんなもん」という基準が設けられてしまうものです。

「業界ではこういうサービスが普通だから」

「このくらいのサービスを提供するのが当たり前だから」

「最低でもこの品質は出さないと」

このような考えが悪いわけではありません。しかし、「顧客のことをゼロから考えたとき、本当にこの品質でいいのか?」と考えることで市場に求められるサービスが誕生する可能性もあります。結構なメリットだと思いません?

当然、デメリットもある

経験ある領域で起業する場合のメリットよりも長々と語ってしまいましたが、デメリットも当然多いです。

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